逢魔時(おうまがとき)なるものをご存知だろうか?
大禍時(おおまがとき)とも言われ、夕方の薄暗くなる、昼と夜の移り変わる時刻。
つまり黄昏どきを指す。
昔からこの時間帯は、あの世とこの世の境目が曖昧になり、互いの世界が入り混じると信じられてきた。
薄暗く、他人の顔がよく見えないことから、『誰ぞ彼』が転じて黄昏となったという説もある。
寝子島、お盆を迎えた8月中旬の黄昏時。
神魂の影響か、はたまた逢魔時のせいなのか。
……迷い込んだ20名の男女の恐怖体験が、幕を開ける。
この日、
恋々出 オリーブは友人と別れ、寝子島旧市街にある3階建て木造アパートの自室へ戻ってきた。
「まじかるぴかれる魔法美少女恋々ちゃんってば今日も絶好調だったんだよ!! 恋々ちゃんにかかれば『退屈』なんて日本語はこの世から消失したも同然なんだよ!! 流石恋々ちゃん超エンターテイナー!! 寝子島中を、いやいやっ、銀河中を爆笑の渦に巻き込んで新世界の笑いの女神として君臨してやんよなのだよ!! まさに我を崇めよーなのだよ、えっへん!!」
どうやら今日もマシンガントークは大盛況だったようだ。
「……さて、今夜の夕食は何にしましょうかね」
すっ、と憑き物が落ちたかのように無表情に戻る素の彼女が、自室のドアノブに手を掛けた瞬間。
ふと、部屋の中から声が聞こえた。
――おねぇちゃん、あ そ ぼ ?
幼い少女の声だった。
なんで自分の部屋に? 鍵は閉めて出かけたはずだが?
「……手の込んだイタズラですね」
恋々出は自室の鍵を差し込み、ドアノブを回して部屋に入った。
「え……? どういうことですか……?」
目の前の景色は、見慣れた自室ではなく、古びた洋館と思しき一室だった。
慌てて閉めたドアを開けると、真紅の絨毯が延々と続く薄暗い廊下に出てしまった。
彼女は廊下を走った。
いくつもの角を曲がり、ようやく見付けた窓から建物の外を眺めることができた。
「ひっ……お墓……だらけ……」
外はおびただしい数の和式の墓石で埋め尽くされていた。
それこそ、地平線の彼方まで、ずっと。
――うふふふっ、おねぇちゃん、鬼ごっこしようよ……!
唐突に浴びせられた言葉に、彼女は恐る恐る振り返った。
そこには、
全長40cmくらいの、赤い糸で腹を縫われたネコのぬいぐるみが、
ぬらぬらとナニカが滴る包丁を両手に持って、
にんまりと笑っていた。
わタしが鬼、こレから、おネぇちャンを探シて、見付テ、そシて……!
「――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!」
彼女は言語化できないほどの悲鳴を上げながら全力で駆け出した。
後ろからは、幼女の声を発するぬいぐるみが、不気味に呟いていた。
も~いいかイ?
ま~だダよ?
も~いいかイ?
も~いい~ヨ?
うふふふ……あはははは……っ!
難易度:手強い
※難易度については、焼きスルメのマスターページ参照
※この難易度は、乾物のシナリオのみに適用されるものです。
恋々出 オリーブさんにガイド登場願いました。
ありがとうございます。
参加できなかった場合は、無事に寝子島へ帰還できたとします。
マスコメ長いよ!!! ゆっくり読んでいってね!
ガイド概要
参加者のみなさんは、黄昏時にドアを潜った際に、不気味な洋館に迷い込んでしまいました。
洋館は3階建て。かなり老朽化しています。
(ドアはコンビニの自動ドアでも、トイレのドアでも構いません)
所持品は着ている衣服以外は持ち込めません。
窓ガラスは不思議な力によって割る事も開ける事も出来ません。
洋館内はカンテラが点在するだけで、全体的に薄暗い。
洋館の中には、猫・熊・兎の3体の『追跡者』が徘徊中。
PCと遭遇すると執拗に追ってきます。
奴らは神出鬼没で、瞬間移動もできる模様。
*PL情報*
3体の『追跡者』は、生物の呼吸音・心音を聞き分ける程の聴覚を持っている。
奴らの腹は赤い糸で縫われており、綿の代わりに米が詰め込まれてる。
3体は口に含んだ塩水を吹きかけると動きが10秒だけ止まる。
その間に捕まえて腹を裂き、中にある『血染めのお守り』を焼却すれば撃破可能。
ただし、素早く焼却しないとお守りの呪いによって精神が蝕まれてしまう。
お守りをぬいぐるみへ戻したくなる欲求に抗う気合が必要。
これらの情報を知るためには、2つの方法がある。
・2階書庫でオカルト関連の書籍を調べる
・3階貴賓室のA~Eの部屋の何処かにある手記+2階子供部屋の絵日記
情報を拡散するかどうかは、個人の判断に委ねる。
それぞれ所持している凶器が違います。
【猫】
全長40cm。白猫……だが、帰り血を浴びて、ところどころ褐色気味。
凶器は肉切り包丁二刀流。接近して連撃を浴びせてくる。
【熊】
全長60cm。茶色。青いスカーフを巻いている。動きは愚鈍。
凶器はスレッジハンマー。障害物ごと標的を粉砕する。
【兎】
全長20cm。黒兎。素早い。
凶器はアイスピック。忍び寄ってブスリと一撃。
ここから脱出するためには、2種類の方法があります。
・『追跡者』を全て撃退する
・1階の施錠された正面玄関のドアから脱出
正面玄関の鍵は3つ必要です。
館内を隈なく捜索する必要があります。
皆さんの初期位置は、洋館3階。
3階であれば、初期位置を自由に設定していただいて構いません。
各階層の階段は腐食しており、何の対策もなしでは非常に危険(PL情報)。
上手く脱出のプロセスをイメージするべし。
この洋館には以前誰かが生活していた形跡があります。
一般生活で使用できる機材・施設はそのまま残っているとお考え下さい。
調査することでアイテムを入手したり、窮地を救う情報を入手できます。
(PL情報のPC情報化など)
*施設内一覧*
【3階】
回廊(赤絨毯が引かれている)
貴賓室(A~Eの5部屋。このうち何処かに手記あり)
娯楽室(ダーツ、ビリヤード、暖炉あり)
物置(掃除道具からガラクタまで様々、持ち出し自由)
リネン室(シーツ類たくさん)
トイレ(洋式。水は流れるようだ)
【2階】
回廊(青絨毯が引かれている)
書斎(50音順にジャンル分類されている)
子供部屋(血生臭い。絵日記がある)
アトリエ(描きかけの絵が沢山放置されている)
寝室(F~Hの3部屋。3階と貴賓室と同じ部屋の作り)
談話室(椅子、テーブル、暖炉あり)
【1階】
厨房(調理器具、調味料、食材など)
応接間(ソファー、机、事務机)
広間(何故か出来立ての食事が並んでいる)
風呂場(風呂桶、鏡)
トイレ(洋式。何かが詰まってて水が流れない)
警備室(正面玄関はここを必ず通らないといけない)
正面玄関(このドアを開ければ帰還ができるが、3重に施錠されている)
特別ルール
『追跡者』とのエンカウントは、ダイス判定を行っていただき決定します。
ダイス判定は4回行います。
参加PCの皆さんは、コメントページに2回発言をお願いします。
コメントのダイスが、皆さん1人1人のエンカウント状況になります。
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【エンカウントのダイスルール】
1番目の書き込みの、左のダイスが1ターン目、右が2ターン目、
2番目の書き込みの、左のダイスが3ターン目、右が4ターン目を示します。
白ダイスの1・2の目、黄色ダイスの2の目 = 兎と遭遇
白ダイスの3・4の目、黄色ダイスの4の目 = 猫と遭遇
白ダイスの5・6の目、黄色ダイスの6の目 = 熊と遭遇
黄色ダイスの1・3・5の目 = 回避(ぬいぐるみとの遭遇なし)
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このダイスの目を元に、脱出までの4回分の行動を明記していただきたく思います。
ダイスの目によっては、複数のPCが同時に鉢合わせする可能性もあります。
*例*
Aさんの出目とBさんの出目が両方とも4だった。
→2人とも猫に追われる身となる。
ただし、アクションの内容次第では遭遇しても助かる見込みも……?
ろっこんを使うことで有利に進むことが出来ます。
ですが、この洋館内でろっこんを使用すると、虚脱感に見舞われます。
この状態下ではアクションに大幅な下降修正をかけます。
最悪の場合、行動不能になりますのでご注意を。
また、GA内でもアクション内容次第では、襲撃によって仲間とはぐれる可能性もあります。
ご了承くださいませ。
マスターより
そろそろ現実世界も夏本番。
怪談の季節になってきました。
這い寄る乾物こと、焼きスルメです。
今回は、王道のホラーシナリオをお届け。
あなたは無事に脱出できるのか?
でも、あえて被害者に回って盛り上げるのも手かもしれません。
ただし、難易度は若干上なので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
それでは、皆様のガチのアクション、お待ちしております。