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今宵の夢を召し上がれ
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屋敷野 梢
はベッドで目覚めた。天蓋付きで周囲を白いレースに覆われていた。
眠たそうな目で上体を起こし、自身の服装に目を落とす。首周りの広い純白のドレスを着ていた。広がるスカートには波打つレースが幾重にも連なって白薔薇の花弁を思わせた。
ベッドから降りた梢はスカートの裾を摘まんで、淑女らしくお辞儀をしてみた。
「そんなことをしている場合ではありません!」
おさげの髪を振り乱して周囲に目を向けた。
無骨な石畳が床から壁までを覆う。高い天井から引きずり出された電線の先には裸電球が付いていた。豪奢なベッドを除けば、そこは石牢という呼び名が相応しい。
「早くここから逃げないと――」
その時、鉄扉の上部の窓が開いた。金網越しに脂ぎった顔が覗き込み、好色そうな眼が梢を捉えた。
「無駄な足掻きはやめとけ。明日になればお前は俺のものだ」
「早く私を解放してください!」
「そうはいかねえ~な。俺はお前を気に入ったんだよ。一目惚れってヤツだ。明日の結婚式が終われば、お前の考えも変わると思うぜ?」
喉の奥で笑う中年男に梢は強気の姿勢で前に出た。
「闇組織の首領だからって、好き勝手が許されると思わないでくださいね!」
「ドラゴンの名に誓って、贅沢させてやるぜぇ。その前に存分に可愛がってやるがな」
中年男は肥え太った両手を鉤爪にして、何かを弄るような動きを見せた。瞬間的に両腕で胸を隠し、梢は後ろへと下がった。
話は終わったとばかりに鉄扉の窓が閉められた。下卑た笑い声は徐々に遠ざかっていった。
虜囚の境遇が肩に重く伸し掛かる。崩れそうになる膝を両手で支え、梢は後ろを振り返った。
「まだ、諦めませんよ」
梢は唯一の窓に助けを求めた。黒いガラス窓の中央にある左右の金具を握って奥に押し込んだ。微動だにしないので思い切って引っ張ると、抵抗なく開いた。
梢の表情が泣き顔に変わる。外の世界を縦に寸断した鉄格子が希望を打ち砕いた。
「どうにかならないんですかー」
駄々っ子のように鉄格子を平手で叩いた。掌が痛くなって頻りに摩る。
梢は沈んだ目を外に向けた。庭の街灯に照らされた大きな門扉が見える。その向こうには通りがあった。
「意外と近いのでは? 風もありますね」
鉄格子の隙間に指を突っ込んで言った。梢の表情が俄かに明るくなった。
胸元に隠し持っていた極薄のハンカチを抜き出した。側面の髪に指を入れて耳の上に挟んでいたペンを取り出し、ハンカチの中央の蝶柄に『誰か、助けて下さい!』と書いて外に解き放った。
純白のハンカチは風に煽られ、上空を頼りなく揺蕩う。
「王子様、囚われの身の私を助けて……」
梢は祈るように手を組んだ。ハンカチは羽を広げた蝶のように通りを目指して飛んでいった。
夜の街を
春夏秋冬 真優
が青いマントをはためかせて走っていた。腰には金属のリングに通したレイピアが街灯の光を反射して銀色に光る。
「助けが欲しい奴はいねーのか! 俺が力になるぜ!」
真優に声を掛けられた若い女性は顔を赤くして俯いた。ほとんどの女性が同じ反応を示す。
真優の黄金の髪は気品に溢れ、青い目は冷静と情熱を併せ持つ。中性的な容姿は性別の垣根を越えて相手に安心感を与えた。それと同時に気恥ずかしさが伴う。
真優は王子の呼び名が相応しい姿をしていたのだ。
「今日は困った人がいねーみたいだな」
閑散とした通りにきて真優は速度を落とした。周囲を窺うような目で歩く。
「ま、俺が活躍できないってことは、街が平和ってことだからな」
視界を白い物体が過って道に落ちた。
「ハンカチか?」
拾い上げると『助けて』の切羽詰まった文字が目に飛び込んできた。ハンカチが飛来した先に顔を向けると、門扉の向こうに大きな屋敷が見える。両端の一方、尖塔の窓にうろうろする梢を目にした。
真優はハンカチを強く握り締める。
「助けを求める人がいる――それなら、助けない理由はねーよな!」
輝く笑顔で走り出し、立ち塞がる門扉に向かって跳んだ。上部の隙間を狙ってブーツの先端を押し込んだ。仮の足場を確保して更なる跳躍を果たした。
青いマントをはためかせ、真優は優雅に敷地内へと舞い降りた。
数秒の停滞も許さず、滑らかな走りで尖塔に行き着いた。真優は腰に片手を添えて窓を見上げる。
「六メートルくらいか」
尖塔の壁は石で組まれ、生い茂った蔦薔薇が窓まで続いていた。真優は蔦の一本を握ってみた。棘がないのを確認して引っ張ると呆気なく壁から剥がれた。
「ロープにはならないか」
言いながら白い歯を見せて笑う。奥の手だ、と真優はブーツの踵を地面に打ち付けた。鋭い飛び出し音と共に先端から鋭利な刃が現れた。石を組んだ僅かな隙間に刃を蹴り入れて、ゆっくりと体重を掛ける。
「いけそうだな」
残りのブーツからも刃を出して夜のロッククライミングと洒落込んだ。
「うぅー、私の純潔が……。なんであんなヘンなオッサンに。理不尽ですよ! 私にだって選ぶ権利がー」
焦りの表情で梢は窓辺をうろついた。再度、両手を祈るように組んで口にする。
「運命の王子様……私をここから助けて」
「お姫様、俺でよければ助けてやるぜ。ちっと待ってな」
鉄格子の端の一本を掴んだ真優が外から梢に笑い掛けた。
「あなたが私の――」
「あぶねーから後ろに下がってろよ」
「は、はい、わかりました!」
少し不安を滲ませた表情で梢は奥に引っ込んだ。んじゃ、いくぜー、と気合を入れて真優は鉄格子の中央に渾身の蹴りを見舞った。一発で大きく内側に凹むと、手と足を使って一気に広げた。
「これで出られるよな」
「はい、大丈夫だと思います!」
嬉々として喜ぶ梢が駆け寄ってきた。
「なんだ、今の音は!」
鉄扉の向こうで怒気を孕んだ声が上がる。複数の足音が急速に近づいてきた。
梢は窓枠に足を掛けた途端、大きな身震いを起こした。
「こ、この高さ、私には無理ですよぉ」
「任せとけって。俺の首に両手を回すんだ」
「あ、はい……こうですか?」
梢は窓から怖々と身を乗り出した。手を広げて待ち受ける真優の首に両腕を回した。
「もっと強くだ!」
その時、鉄扉が荒々しく開いて強面の男達が部屋に雪崩れ込んできた。
梢の迷いは消えた。思い切って身体を密着させた。真優は梢の胴体を片腕で抱き、残りの手で蔦薔薇の一本を掴み取る。
「一本でダメなら、これでどうだ!」
近くの蔦を束ねて握り、一気に跳んだ。蔦の抵抗で落ちる速度は軽減され、よろけながらも着地に成功した。
「なんだ、テメエは!」
「逃がすな、追え!」
真上から降り注ぐ怒号を真優は黙殺して言った。
「走るぞ」
首に縋りついていた梢は、足が震えて、と弱々しい声を漏らす。
真優は両腕で梢を抱え、口付けするかのように顔を寄せてきた。
「言わなくてもわかるよな」
梢は顔を胸に押し当てて何度も頷く。ほんのりと色付いた頬で首に回した両腕に力を込めた。
「それじゃあ、飛ばすぜ!」
風を切って走る中、はい、と梢はしおらしい声を出した。
真優は門扉を易々と蹴破り、後方の敵には威嚇でレイピアを投げ付けた。
暗がりを選んで疾走した。直線ではなく、雷の軌跡をなぞるようにして闇に紛れた。
行き着いた小さな空き地で二人は身を潜めた。近くの街灯は具合が悪い様子で弱い光の明滅を繰り返した。
「……逃げ切ったようだな」
「あの、助けてくれてありがとう」
伏し目がちの梢が顔を横に向けて言った。その言葉で思い出したのか。真優は蝶柄のハンカチを手に取った。
「そうだ、ハンカチを返さねーとな!」
「あ、少しいいですか」
梢は受け取ったハンカチを真優の額に当てた。浮き出た汗を丁寧に拭き取っていく。その手が最後に乱れた前髪を揃え、急に引っ込めた。
「あ、あの、ごめんなさい。勝手なことして」
隠れるところを探すかのように目が揺れ動く。連動した手の動きを真優が止めた。手を握った状態で片膝を地面に付けて恭しく頭を垂れる。
「困ったらいつでも俺を呼べよ。これは約束の証だ」
梢の手を引き寄せて甲に軽く唇を当てた。
側に立っていた街灯の光が蘇り、お姫様と王子様はスポットライトを浴びた。両者は幸せを噛み締めるような顔で互いを見つめ合う。
街灯の光が消える頃、二人の夢もまた、ひっそりと終わりを迎えた。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年07月08日
参加申し込みの期限
2014年07月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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