this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
今宵の夢を召し上がれ
夏の夜のイリュージョン
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
九夜山の頂から北に下った先に、穏やかな湖面の三夜湖が変わらない風景で人々の目を楽しませていた。その近くには閉園となって久しい、変わり果てた
寝子島イリュージョンランド
が廃墟として佇んでいた。
遊園地の門を潜ったところで
斑鳩 遙
が目を見張った。長袖の青いストライプシャツにベージュのズボンを穿いて、ふらりと立ち寄った感がある。
「これは一夜の夢なのか」
細いフレームの眼鏡の中央を中指で押し上げた。
メリーゴーランドが虹色のネオンを纏い、流れる音楽に合わせて白い木馬が延々と駆け回る。
対抗するかのようにコーヒーカップが目まぐるしく回っていた。
ミラーメイズは真新しく、周囲のネオンを反射して独特な雰囲気を醸し出していた。
観覧車はどっしりと奥に控え、全ての遊具施設を見守る高みから穏やかな光を降り注ぐ。
遙は夜空に目を向けた。白いアドバルーンに似た月が遊園地の復活を宣伝するかのように浮かんでいた。
「華やかだが。寂しくもあるな」
現役の頃の活気に満ち溢れる遊園地には人がいなかった。
その場に遙だけが立ち尽くす。
「遙さん?」
声の方に振り向くと、眼鏡の奥の目を細めて
呉井 陽太
が歩いてきた。だぼだぼの臙脂のTシャツに七分丈のジーンズを穿いていた。
「これ、夢の中だよねぃ? 遙さんに会えるなんて思わなかったですよぅ」
「それは俺も同じだ。良ければ一緒に歩かないか」
「もちろん、いいですよぅ。最初はどこに行きますかねぇー。あー、ゴーカートはさっき試してみたんですが、オレには合わなかったですわー」
陽太は金色の前髪を手で適当に分けて言った。
「観覧車はどうかな。遊園地内の全てを一望することが可能だろう。それに良い記念になると思うが」
「んー、まあ、観覧車には乗ってみたいですねぃ」
陽太の煮え切らない態度に遙は、どうした? と声を掛けた。
「乗り物ではないのでどうかと思うんですが、野外音楽堂のピアノが個人的に気になるかなー」
「あの壊れたピアノか」
「ダメですかねぇ」
「いや、悪くない選択だ」
遙は薄っすらと笑って返した。
石造りのステージには威厳を取り戻したグランドピアノが置かれていた。目にした陽太は、おおー、と驚いた声を上げて駆け寄った。
ステージに上がると開いた天板の間に頭を突っ込んだ。
「見た目だけじゃないですよぅ。弦は錆びてないし、切れてもないですわー。新品ですよぅ、これはー」
「これが元の状態なのか」
遅れてきた遙は鍵盤の方に回った。白い部分に指を置いて力強く押し込んだ。澄んだ一音が辺りに響いた。
「良い音だ。現実のピアノも直ればいいな」
「そうですねぃ。頑張ってはいるんですが、正直なところ、オレの力でここまで直せるかはわからないですわー」
陽太は困ったような表情で鼻先を掻いた。遙は表情を緩めて言った。
「気長に待っているつもりだ。それよりもどうだろう、呉井君。何か弾いてはくれないか」
「えっと、何が良いですかねぃ」
「選曲は任せるよ」
陽太は首を傾げて唸るような声を漏らす。深い悩みを目の当たりにして遙は言葉を付け足した。
「今を表現した曲がいいかな」
「今ですとー」
陽太は苦し紛れに上を向いた。月の淡い光が降り注ぐ。
「……ドビュッシーの『月の光』にしようかなぁ」
その声を受けて遙はピアノの横に移動した。代わって鍵盤の前に立った陽太は一呼吸を置いて弾き始めた。
月の滴が静かに滴り落ちる様を表したかのような一音を紡いでいく。徐々に鍵盤を舞う指が軽やかになって、少しの力強さも加わってきた。
遙はピアノの奏でる旋律に聴き入った。ゆったりとした音の流れに身体を任せて微かに揺れる。夢の中で夢に誘う心地良さを全身が無理なく感じ取っていた。
およそ四分の演奏が終わると、遙が惜しみない拍手を送った。
「時任のピアノとは、まるで違うのに安らぎを感じたよ」
「喜んで貰えたようでオレも嬉しいっす」
「心からの感想だ。俺には澄んだ一音が、オアシスに憩うアゲハ蝶のように思えたよ」
「褒め過ぎですよぅ。もしそれが本当なら、ピアノのおかげですわー」
陽太はピアノの側面を優しく撫でた。遙は好ましい目を向けた。
「最近の俺は夢見が悪くてね。無心になって熟睡したいと思っていたが、君の演奏を聴いて考えが変わった。今日の夢は見る価値があるよ」
「ふんわりとした軽い弾き方が、今日の遙さんには合ってたのかもしれないですねぃ」
「そうだな」
二人は話をしながら野外音楽堂を離れた。
ゴンドラの制御室には誰もいなかった。同様に誘導員も不在なので二人はタイミングを計って乗り込んだ。
ドアを閉めて向かい合わせに座る。ゴンドラはゆっくりと上昇を開始した。
陽太は左手の窓に顔を近づけた。規模の小さな遊園地の遊具が強い輝きを放っている。
「あー、上からの眺めが最高ですわー。小さい光が集まると、こんなにも輝いて見えるもんなんですねぃ」
声に釣られて遙も窓に顔を寄せた。個々の遊具が宝石の煌めきを身に纏って寄り集まる。じっと眺めていると宝石箱の中を覗いているような気分になった。
遙は胸ポケットからイヤホンを取り出して片方の耳に嵌めた。オーディオプレーヤーを操作して曲を流す。どこか遠い目となって口が自然に開いた。
「君には心を許せる友達はいるか」
「んー、そうですねぃ。ぼんやりした人見知りですが、少し腹黒いところもある友達ならいますねぇ」
照れ臭そうに言う陽太に遙は満足したような表情を見せた。
「そうか、いるなら大切にした方がいい」
はい、と陽太は笑いながら答えた。そのあと、少し顔を引き締めて遙のイヤホンに目をやった。
「もしかして時任さんの曲ですん?」
「そうだ。前にも聴かせた、あの不穏なレクイエムだよ」
遙は残りのイヤホンを差し出した。陽太は手に取って耳に嵌めて目を閉じた。眉間に薄らと皺が寄る。上体は不安定に揺れているようだった。
「曲の感想は以前と同じか」
「あー、そうですねぃ。色んな音が織り交ざってクラクラですわー」
遙は微かに笑って夜景に目を移した。
「……勝手に逝くなんて馬鹿な奴だよ、時任お前は……」
陽太は同じように外を見ながら呟いた。
「全部が見える日がくるですよぅ。たった一人の理解者なんですから」
耳にした遙は遊具の宝石の煌めきに目を細めて、ありがとう、と口にした。
二人は同じ曲を聴きながら一夜のイリュージョンを楽しんだ。
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
今宵の夢を召し上がれ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年07月08日
参加申し込みの期限
2014年07月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!