冴え冴えとした月が寝子島を淡く照らしている。街の灯は乏しく、穏やかな時間帯を迎えていた。
その時分、足場のない上空では散歩を楽しむ者がいた。
身長は百三十センチ前後。ふわふわとした白い髪からは一対の螺旋状の角が生えていた。中性的な顔立ちで白いタキシードに身を包み、手にした銀製のステッキをグルグルと回している。
「……数奇な運命を歩む者が多い島だ」
金色に輝く双眸が眼下の光景を捉えた。
おもむろにステッキの尖端で宙の一点を突いた。瞬間、四角く縁取りされた寝姿が浮かび上がる。次々と突いては口の端に笑みを浮かべた。
「今宵の余興に、この者達に夢を見せてやろう」
その場でクルクルと陽気に回り出す。不意に止まって、ただし、と言葉を付け加えた。
「夢の内容は各々の心に問うがよい」
安らかな寝姿の個々に語り掛け、再び回り始めた。
――引き攣るような笑い声が寝子島に降り注ぐ。
シナリオガイドに登場した人物の正体は不明ですが、健全な寝子島を舞台にした夢のお話になります。
ですが、普通の夢とは少し違います。その点について詳しく説明したいと思います。
夢の特徴
① 舞台は晴れた日曜日の寝子島と限定(季節は八月中旬)。時間の概念があり、PCの好む時間帯に活動ができる。
② アクションに書かれていれば夢と自覚して行動できる。
③ PCの姿を変化させることはできない。性転換や若返り等(ろっこんによる変身は例外とする)。
④ 悪事に手を染める行為は、特殊な夢の影響で自浄作用が働く。
⑤ 目が覚めても夢の内容を各々のPCが、はっきり夢として覚えている。
⑥ 夢を仕掛けた人物と接触することはできない。
※GAの場合、待ち合わせは不可。突然、夢の中に引きずり込まれるので偶然の出会い等が望ましい。
細々と注意点を書き出しましたが、それ以外は自由にアクションに盛り込めます。
健常者と同じように振る舞えたり、超人に匹敵する能力を発揮したり、自由自在のやりたい放題なのです!
一夜の夢を大いに楽しみましょう。目が覚めた時、あなたの記憶に残る夢はどのようなものでしょうか。
現実で夢の続きを見たくなる、そのような夢であることを願っています。