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青空を全力で蹴りつける。
夢なら猫鳴館の自室の壁を蹴るかどうかして覚めるはずの眼は覚めず、空を蹴った足には風以外の何も感じない。
体を支えるものの一切無い宙で体のバランスが崩れる。悲鳴を上げる間もなく体がぐるりと回る。どこまでも青い空が回り、眼下に海の蒼が広がる。
(これ無理なのだ)
広く深く、全てを呑みこむ蒼さを宿した海を眼にした途端、
後木 真央
の脳裏に幼い頃から聞かされ続けてきた海の怖さが過ぎる。
(おじぃ、叔父貴)
話を聞かせてくれた人々の顔まで一緒に掠めて、もしかしてこれが走馬灯なのだ?、と真央は海の蒼の映る碧の眼を泣き出しそうに歪める。
(真央ちゃん死んだ)
縋るものもなく落ちてゆく自分自身の全てを、早々に諦める。体を海に投げ出すように全身から力を抜いて空を仰いで、
「……?」
空を貫く積乱雲の眩しい天辺、自分と同じように空を落ちる人の影を見た。
海面に後頭部を向け、仰向けにした遠目にも筋肉質な体を風に任せ、どこか投げ槍な雰囲気を纏わせて空を落ちる――
「武道ちゃんセンパイなのだ!?」
聞いたことのある声を下方に聞いて、
志波 武道
はぼんやりと空を眺めていた栗色の眼を見開く。
空を落ちていると気付いた瞬間に周囲を見回し、誰も居ないことは確認したつもりだった。この高さから海に落ちれば海面は鉄と同じだと知っていて、けれど傍に誰も居らず自分一人であるならこれはこれでまた一つの結末、と片をつけていた。
空の美しさに憧れ見惚れて、落ち続けて、
「……え!?」
ほぼ真下から聞こえた少女の声に、武道は弛緩させていた全身の筋肉が軋むほどに力を籠める。誰か、居る。
(助けなきゃ……!)
風に打たれながら瞳を声の方へ向けて、
「真央ちゃん!?」
風に体を投げ出して落ちる陸上部の元気印な少女を見つけた。
(アンニュイしてる暇なんてない!)
風に掴まれ思うより自由にならない手足を、水泳で鍛え上げた筋肉でもって強引に動かす。高飛び込みをするように体勢を流線型に近く縦にする。途端、風が轟く。体の傍を疾走する風を波を切り裂くように体で掻き分け、急落下する。
「真央ちゃんゲンキー!」
氷塊のような風に全身を殴られながら、いつも通りの明るい声で呼びかける。
「所でコレやばいよな落ちてるの!」
軽口を叩きつつ、再度周りを確認する。
見えるのは空と海ばかり。助けを得られそうなものは、皆無。
(海しか無いなくそう、水面落下しかないか?)
喉元に競りあがる焦りと緊張を丸ごと呑みこむ。真央の隣にまで追いつき、弟と同い年の後輩を怖がらせまいと茶目っ気たっぷりな笑顔を見せる。
「どしたの真央ちゃん!」
キャピルン☆とばかり言ってから、気付いた。いつも弾ける笑顔が印象的な後輩が、今は何だかどこか元気を失って見える。
「よーし武道ちゃんセンパイ、真央ちゃんが元気になるなら何でもしたゲル!」
黒髪を風に暴れさせながらおどけて言えば、真央の瞳にほんの僅か、胸を衝かれた色が浮かんだ。詰まった息を吐き出すように、真央は誤魔化したそうな笑みを浮かべる。
「センパイの瞬間脱衣を見たら元気になるかもなのだ」
「ハイ瞬間脱衣頂きまシタ! ただ瞬間じゃなくて神速っ!」
リクエストされるまま、上着をすぽーんと脱ぎ捨てる。空に舞うシャツを背景にポージングまで決める。
「センパイ凄いのだ……こんな時でも人を元気づけようとするのだ」
真央は笑おうとして失敗する。誤魔化そうとした意気消沈を気付かれて、口が滑った。
「真央ちゃんは入院してお姉さんに会って理学療法士になりたいって思ったのだ。プラコン極めた武道ちゃんセンパイが、他の人にもそんなに一生懸命になるのは何かあったからなのかなって……」
滑った口を押さえる。
武道が困った顔で考え込んでしまっている。そんな顔をさせたかったわけじゃないのに。
「ごめんなのだお口チャックするのだ」
「……そういや何で俺ここまで必死になるんだろうな」
呟いた声が風にさらわれて、武道は我に返る。
「っと、今はそれより助かる事をダゼィ!」
暴風の中に手を伸ばす。真央の手を掴み、小柄な体を抱きしめる。
「大丈夫なのだこれは夢できっとみんなお布団の中なのだ……だから」
悪い夢にうなされるように囁く真央の頭をきつく抱く。
「夢でもリアルでも、出来る事はシヨウゼ!」
頭から海面に落下しながら、武道は挑むように強気に笑ってみせる。水面を裂く飛び込み体勢を取る。
(もれいびの頑丈さとこれが夢であることを祈るのみか……)
静寂の魔物の顔して、海面が迫る。
武道に守られる姿勢で、真央は頬を歪める。高所から落ちれば水もコンクリート以上に硬いと、聞いた。
(助からなくても自分が先に落ちれば、少しは)
両腕を突っ張らせ、武道の胸から逃れる。
「って、真央ちゃん!?」
悲鳴に近い声で名を呼んでくれる武道の頭を逆に抱きしめる。海面と武道の体の間に自分の体を晒して、
その、ほんの数瞬後。
何かが爆ぜ散る音を、武道は聞いた。
音と同時、体に衝撃が走る。皮膚が裂け骨が潰れるような痛みを、
(生きてる証だ……!)
武道は真直ぐな意志で押し退ける。体を包む慣れ親しんだ水の感覚に力を得る。このまま水面を目指そうと、そうして岸を目指して助かろうと、力強く水を掻く。水圧に負けじと瞼をこじ開ける。
「……っ?」
こぽり、唇の端から空気が零れた。
海が赤い。
赤い海に、真央が居ない。
血が溶けた色した海中に真央を呼ぼうとして、息が詰まった。口に鼻に雪崩れ込もうとする苦い水を振り払う。全身で水を押し、雲間のように光の揺れる海面を目指し、赤い中を必死に泳ぐ。
(俺は、弟のフツウを守れなかったのか……?)
赤い水の中を、武道が泳ぎ昇って行く。
(センパイ……キレイなのだ……)
海にその身を微塵に砕かれ、意識だけ残して水中に漂って、真央は武道の背を見詰める。
絶望を振り払うように身を捩じらせ、血の色した海を泳いでいく武道の姿は、ひどく美しかった。いつまでも見ていたかった。
けれど、もう、海に意識が溶けていく。冷たい海流が昏い海底へと溶ける意識を押し流す。視界が赤から深い濃紺に引きずり込まれる。
海に呑まれてゆきながら、真央は何故だか少し哀しかった。
自身の血肉の赤と、武道が遠くなる――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年07月14日
参加申し込みの期限
2014年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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