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「ふふふ、悔しいかね私よ……!」
風に体をがんじがらめに縛められ動かぬ己が身を、
畑生 言嗣
は心底から楽しげに笑い飛ばす。
鮮やかに青い空を真っ逆さまに落ちながら、けれど涼しげに細めた黒の眼を僅かも動揺に歪ませず、
「おや、地面が遠いね?」
まるで他人事のように呟く。
耳元で唸る風と、風圧に潰されまともに動かぬ身と、それでも遥かに遠い地面。伸ばした視線は緩く弧を描く凪の海と海風にさざめく緑の草原を捉える。
「……ふむ」
(落下しているようだね)
唇に状況を面白がる笑みを刻み、視線を周囲へ巡らせる。
(私のセンサーからすると久雨君も近くにいる気がするが……)
果てない青空を探して、
「あぁ、いたようだ」
すぐに目当ての少女を見出す。
落ちる我が体よりもまだ下方、青空よりも青い髪を風に激しくなびかせ、深い海色した瞳に落下に対する恐怖を滲ませ、
「綺麗に落下しているようだね」
浮舟 久雨
が何も無い空を落ちてゆく。
恐怖に余裕を失っているのか、こちらに気付く様子の無い久雨の様子に、言嗣の瞳にほんの僅か力が籠もる。
瞳に浮かんだ真摯なほどの光は、
「私も見習わねば……!」
風の束縛を振り払い、くるりと体勢を変えた瞬間に消える。
(とりあえず、抱きに行くとしよう)
体を押し潰そうとする風の流れに逆らわず、痩躯を出来る限り流線型に近く縮め、言嗣は落下速度を上げる。空を渡り久雨に近付く。
「やあ久雨君、本日もいい天気だね」
寮の食堂で出会う時のように話しかければ、恐怖に曇っていた久雨の青い眼が、まさか、とばかり驚愕の光を灯した。
「ひっ、く……」
細い喉から引き攣った声が漏れる。瞳に言嗣を捉え、久雨は理解不能な状況を伝えようと唇を開く。
「落ち……っ!」
落ちている。それは間違いない。けれど、何故。
体に染み付いた落下の感覚と恐怖に心臓を掴まれ、
(嫌だ、嫌だ……!)
心に悲鳴が噴き上がる。
言嗣に助けを求めて伸ばした手が、風に打たれる。
(このままでは)
落ちて死ぬ。
「ぁ……」
状況を理解し得ないまま、結果だけを理解して、久雨は端整な顔を泣き出しそうに歪める。
「つ、ぐ……」
死を思い、死に逆らって呼んだのは、こちらに向けて両腕を広げる男の名。
「ときつぐ……!」
伸ばした指が言嗣の指と絡み合う。痩せた長身の胸に力強く抱き寄せられる。それだけで、心を占めていた恐怖が消える。
「さて」
常と変わらぬ尊大な口調で、言嗣は笑う。
「とりあえず落ちるしかないわけだが」
「っ?!」
抗議の声をあげかけて、頭を優しく撫でられた。頭を大事に抱え込まれ、男の胸に額を押し付けさせられる。
唸る風音よりも近く、言嗣の含み笑う声が聞こえる。
「まあ、そう心配せずとも良かろう」
「貴様は何故そう……!」
声を荒げかけて、落ちる空が眼に入る。急降下する己を再認識する。
「……っ!」
「う……」
瞼を開けば、頭上に広がる青空が見えた。視線を彷徨わせれば、手足や頬をくすぐる色とりどりの野の花が、青空を背負ってこちらを覗きこむ言嗣の顔が、見えた。
「すまん」
「ふむ、疲れていたのだろうか」
気を失っていたようだな、と呟いて、頭の下にある言嗣の足に気付いた。膝枕をされていることに、髪に言嗣の指先が触れていることに、思わず息を詰めるようにして起き上がる。立ち上がろうとして、膝に力が入らなかった。腰が抜けたように立ち上がれない。
「座っていても良いか?」
「あぁ、ゆっくり休むといい」
「感謝する」
花の上にゆったりと座る言嗣に生真面目に頭を下げ、久雨はちらりと首を傾げる。
「ところで貴様は何故ここに?」
「何故、か」
久雨の言葉を不思議そうに受け止めて後、言嗣はどこか人を食ったような笑みを浮かべた。
「君が此処に居るから、私も此処に在る」
それだけだよ、と常と変わらぬ表情で、受け取り様によっては愛の告白ともとれる言葉を差し出され、久雨は視線を惑わせる。
「そう、か」
惑わせた視線は、周囲に広がる花畑に移る。
「随分と色々な花が咲いているのだな」
「そうだね、季節感はあまりないと見えるが……」
言嗣は久雨の視線の後を追う。天国の花園のように色様々に咲き誇る一面の花畑を見遣り、至極冷静な感想の後、そっと付け足す。
「様々な花があり、良いところだ」
「ああ。切り花よりも、こういった野の花の方が好きなんだ」
「ふむ、何故かね?」
「理由? ……さあ。何故だろうな」
くすりと笑い、久雨は手近な花を手に集め始める。何本かの花を細長い茎でまとめ、
「ふむ……何を作っているのかね?」
「確か、こう……いや、こうして……? 違う、何故……」
草花の汁に指先を染め、真剣な青の瞳で集めた花と格闘する久雨の手元を言嗣は眺める。なかなか形にならないそれは、
「もしや、花冠だろうか」
「昔は作れていたんだ、昔はっ……!」
ムキになる久雨の指先に言嗣の指先が触れる。久雨は我に返る。
「……悪い。変だよな、今日」
詫びる久雨にちらりと笑みかけ、言嗣は久雨の肩に肩が触れるほどに近付く。花冠の作り方を丁寧に指示する。
「いや、ここをこう……」
「おお! そうか。これを通して、こう編めば……」
「そう、そのようにするのだ」
「段々と思い出してきた」
半ば手を取り合い、二人は夢中になって花冠を編み上げる。
「……できた!」
「流石は久雨君、素晴らしい出来だね」
言嗣は手放しに褒めてくれたが、久雨はしょんぼりと瞳を伏せる。久雨の眼に、花冠はどこか不恰好に映る。
「感謝の気持ちに贈りたかったが、これでは……」
「む、……ふふ、嬉しいね」
「良いのか?」
微笑む言嗣の頭上に、久雨は花冠を感謝の言葉と共に捧げる。
「言嗣。ありがとう。ここに、いてくれて」
言ってから、久雨は照れて笑う。普段傲岸不遜な態度の言嗣と、可愛らしい花冠と言うのは珍しい組み合わせな気がした。言嗣もどこか不思議そうな笑みを浮かべている。
「さて、そろそろ」
「いや、待ちたまえ」
立ち上がろうとする久雨の手を言嗣は押さえる。
「貰ってばかりでは申し訳ないよ」
何か良いものは、と僅かに考え、短く笑う。そうだ、これが良い。
「少し、顔を貸してくれないかね」
「っ……は、あ……」
ゆっくりと近付く言嗣の顔に、久雨は言葉を失う。
「ときっ……!」
「~~ッ!? 私は、何と分かりやすい夢を……っ!」
寮の食堂で朝食を摂っている最中に昨晩の夢を不意に思い出し、久雨は箸を握り締めてテーブルに赤い頬を突っ伏す。
「やあ久雨君、本日も良い天気だね」
「う……あ、ああ。おはよう言嗣」
随分と爽やかな目覚めを迎えたらしい言嗣を、久雨は直視出来ずに微妙に視線をそらす。
「何かあったのかね?」
「心配には及ばん。昨晩、妙な夢を見ただけだ」
「君もか? 実は私もでね」
「む? 貴様も?」
「奇妙というより、素晴らしい夢だったのだが」
まさか同じ夢ではあるまい、と久雨は傍らに立つ言嗣を仰ぐ。まさかとは思う。まさかとは、
「残念なことにシメが甘くてね」
思ったが、口元をそっと押さえる言嗣の手を目にした途端、その僅かな望みは潰えた。やはり同じ夢を見たのだ。
(ということは)
甘い夢の最後が脳裏を過ぎる。触れ合う息、近付く言嗣の頬と唇――
言嗣は心底残念そうに首を横に振る。
「キスが――」
「……!? 待て、それ以上口にするなーッ!」
朝の食堂に久雨の絶叫が響く。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年07月14日
参加申し込みの期限
2014年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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