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バイクのエンジンを始動させる。
相棒の駆動音の軽快さに思わず嬉しくなる。
諸星 譲
は短く笑う。
シートに腰掛けたまま、メット越しの視線を上げれば、乾いた砂礫の大地を蒼く貫くアスファルトの一本道。
地平の向こうに広がる、日本よりも鮮やかに青い空。
砂塵を巻き上げ過ぎて行く乾いた風の後を追おうとスロットルを回しかけて、
「Hey! 譲さん!」
夢のように唐突に、友人の声を背後に聞いた。
「杏さん?」
振り返る。道の真中に立ち、こちらに向けて手を振る
十二月晦日 杏
の姿を確かめて、譲はメットを脱ぐ。
「奇遇だな」
地平線まで続く真直ぐな道に眩しげな瞳を向け、杏はまるで地元で偶然会っただけのような気軽さで笑う。
「今暇だろ? 乗せてくれよ!」
屈託無い笑顔に、譲は明るく笑み返す。
「いいよ、もちろん!」
「JOのバイクの後ろに前から乗りたかったんだ」
どこからか取り出したゴーグル付きメットを被り、杏は身軽にタンデムシートに跨る。
「Let's drive!」
「いいね、ニケツでドライブ!」
はしゃいだ声を聞きながら、譲はメットを被り直す。相棒の機嫌を確かめ、頼むよ、とばかりガソリンタンクを軽く叩く。
「ぶっとばそう! 誰も居ないからNo problem」
杏の声に応え、バイクを走らせる。風に追いつき、風になる。砂礫の大地がエンジン音に合わせて飛び去る。石畳の敷かれた道の左右にビルが建ち並ぶローマの街並、幾重にも連なる岩山の隙間を縫うオーストラリアの道。白い砂浜に沿って延々と海辺を走る湾岸道、蜘蛛の巣のように張り巡らされた高速道、大昔に滅んだ大国の遺跡がジャングルの向こうに覗くオフロード。
行ったことのある場所、まだ写真でしか知らない場所。
次元を飛ぶように景色がどんどんと変わる。空を渡るかのように心も体もふわふわと地に足が付かず、それがむしろとても心地良い。
(んーこれって夢なのかな……?)
譲は異国の街を杏と一緒にバイクで駆け抜ける。風景が次々と変わってゆくことに違和感を覚えるどころか、わくわくと胸が弾む。
どんな道でも攻めて行けそうな気がした。
今ならなんだって出来る気がして、スロットルを全開にした、その瞬間。
道が失せた。
バイクごと空に飛び出して、二人は咄嗟に背後を振り返る。宙に浮くような数瞬の間に、青空を背負う切り立った崖を見る。
「落ちたー!?」
「WHYYYYY?!」
譲と杏の叫び声が何もかもを呑みこんで広がる青空に響く。
「あ、杏さんしっかり捕まって!」
バイクから離れそうになって、譲は慌ててハンドルにしがみ付く。腰に必死の力で抱きついてくる杏の手を片手で掴む。
歯を食い縛り息を止めて落ちて落ちて、
(……これどこまで落ち続けるんだろう)
止められ続けられなくなった息を思い切り吐き出して、体から力が抜けた。恐怖に強張り狭まっていた視界がふわりと広がる。
下に着く気配を全く感じない。
(いや地面に激突したりとかしたら凄く困るんだけどね!)
自分に自分で突っ込みを入れる。バイクの車体の下に広がる大海を確かめるも、落ち続けているはずの身は一向に海に近付かない。
「よし、気を紛らわす為に写真撮ろう!」
「Why?!」
首から提げたカメラを片手で構える譲に、杏は思わず悲鳴じみた声をあげる。
「なんだか凄く暇だし!」
「暇じゃないよ怖いよ!」
「はいちーず!」
「わーキレイな景色だなーってそんな余裕ないよ俺!」
肩越しにカメラを構える譲に杏は喚く。
「そう? だってこんな経験普通出来ないよ」
杏に向けてシャッターを切り、譲は楽しげに笑う。記念とばかりに周りの風景も写真に収めてゆく。遥かな空も、海に向けて落ちるバイクと自分達も足元も、彼方の水平線に沸き立つ雲も。
「君、こんな時に悠長な!」
状況をどこまでも面白がる譲に、杏は慌てた自分が馬鹿らしくなった。笑みが零れる。
「……ん?」
「What?」
ファインダーから怪訝そうに眼を離し、譲が首を傾げる。風に髪を乱しながら、つと青空に指を伸ばす。
譲の指が示す方向に瞳を凝らして、青空から海へ一直線に落ちていく黒髪の女性を見つけた。遠くない距離に、けれど彼女の悲鳴もなにも聞こえない。
空を抱くように、空に向けて差し伸ばした両手は、助けを求めているようにも見えた。
「俺達以外にも落ちてる人が!」
杏は声を上げると同時、譲の腰から手を離す。ぶわり、風にさらわれ空に浮く。風の中、水をかくように両手両足を動かし女性に近付く。
「助けるよ!」
バイクのハンドルから躊躇無く手を離し、譲は杏の後を追う。
「Are you OK?」
杏に片手を掴まれ、
「大丈夫?」
譲にもう片手を掴まれ、
「え?」
閉ざしていた瞳を、永姫は開いた。
手を取ってくれた初めて出会った青年二人に、ふわり、どこか少女じみた笑顔を見せる。
「うん、大丈夫よ」
花咲く笑みに譲が思わずカメラに手を触れさせた瞬間。
空に大波が湧きあがる。白波が三人に覆い被さる。悲鳴を上げる間もなく、海に飲み込まれる。
(これは結構やばいんじゃ……)
波に揉みくちゃにされながらも掴んだ手を離さず、譲は塩水に眼を押し開く。光差し込む青い水中に、どこか呆然と浮かぶ杏と、夢見るような黒い瞳を周囲に巡らせる女性の姿。
三人を水中に引きずりこんだ波が、揺らいで海の底に落ちてゆく。冷たい海流が去る。温かな海の真中、
「あれ?」
譲は透明な空気の玉を吐き出す。息が出来る。
すぐ傍に機械の熱を感じれば、バイクがいつでも走れますよとばかりにエンジン音を立てて水中に浮かんでいる。
「JO!」
杏が興奮した声を上げ、青い海底を指し示す。白い砂の海底には、色とりどりの魚達を住人とする、階段が幾重にも重なる不思議な建造群。
「遺跡かしら」
永姫が呟いて、水中で言葉が声となることに少女のように楽しげに笑う。
「綺麗なところね」
二人の青年の手をそっと離し、人魚のように滑らかな泳ぎで二人の傍を離れる。
「こんな綺麗な夢を見れるなんて幸せ」
黒髪を白い頬に纏わり付かせ、水中で心底楽しげに舞う。
「あなた達のお陰ね、きっと」
海に呑まれる瞬間に手を繋いでいてくれた明朗な青年達に綺麗なお辞儀をする。さよならと小さく手を振る。
「一緒に――」
「ありがとう」
自分の唇に人差し指を押し当てて譲の言葉を遮り、永姫は海を一人で泳ぎ始める。
(ああ、この夢から覚めたら、次はきっといつもの悪夢を見るんだわ)
涙のような空気の小さな泡を体に巻いて、波の揺れる海面を目指す。このまま泳げば、青空の下に出られるだろうか。
(……いつか、)
いつか、悪夢から解放される日が来るのだろうか。
「またねー!」
「See you!」
白い魚のように遠ざかってゆく永姫に手を振り、譲と杏は再びバイクに跨る。地上でするように水を蹴れば、バイクはさしたる抵抗も無く水中を駆け出した。
海底遺跡を目指してバイクで水を沈み、白砂の海底に辿り着く。
「凄い……!」
海の底を肉眼で初めて見た譲が歓声をあげる。
海中に響くバイクのエンジン音に合わせ、海底に踊る魚達が貝の擦れ合うようなシャラシャラとした声で歌う。
「お魚さん可愛いなー♪」
「Fish達の歌が聴けるとか凄いな……まさにDream Worldだ」
一時停止したバイクに跨ったまま写真を撮り始める譲の後ろで、杏は白亜の海底遺跡に圧倒されて呟く。
「杏さんにもカメラ貸すね」
カメラを詳しく知らない杏に撮り方を教え、タンデムシートから写真を撮って貰いながら、譲はバイクをゆっくりと走らせる。
「秘宝とか眠ってたりしないかな」
「何かの遺跡っぽいから宝箱とかあるかも」
物珍しげに近づいてくる魚に、近付いて見れば思っていたよりも大きな階段状遺跡に、次々とファインダーを向けながら、譲に応じて杏も声を弾ませる。
Fish達に宝の在り処を聞くのも手かな、と集まってくる銀や赤や黄色の魚を見回していた杏の動きが固まる。白い石を重ねた遺跡の建物の影、黒く蠢く巨大な魚。
「って鮫!? NOOOO! 俺達食べられちゃうー!?」
「しっかり掴まってて!」
「全速力で逃げてJO!」
白砂に黒い影を揺らがせ現れる巨大鮫の凶悪な顔から眼を逸らし、杏は譲の背中にしがみ付く。
水を巻き上げ砂を巻き上げ、光揺らぐ海底の街を、鱗を煌めかせる小魚達と共に遺跡の街路を滅茶苦茶に駆け抜ける。水底深く続く階段さえバイクで滑り降りて、――
鮫を撒いたその先に、二人は夜よりも深い空の色した街の底に迷い込む。白壁に囲われ、床に藍色のタイルが敷き詰められたその部屋の中央には、ぽつり、涙を固めたような碧く輝く小さな宝石がひとつ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年07月14日
参加申し込みの期限
2014年07月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月21日 11時00分
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