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夏のマヨイガ
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大天使 天吏
の場合
目覚めると、見知らぬ場所にいた。
傷のついた木の天井、水分を含み過ぎて変色した畳、汚れた障子、埃の浮いた古い文机、部屋をぼんやりと照らす小さな行燈、その行燈のそばの窓辺には、空の鳥籠が吊るされている。
訪れた覚えのない部屋。過去の記憶にもない部屋。けれど、特に気にはしなかった。
(……ここがどこだろうと構わない。なぜなら私の心は、私と鳥のいる世界以外には何の魅力も感じないから)
自分一人しかいない部屋の中に立ち尽くし、薄く光る行燈の灯りに目をやりながら、
大天使 天吏
は心の中でそうつぶやいた。
それからゆっくりと視線を移す。目を向けた先にあるのは、空の鳥籠。木製の粗末なもので、だけど壊れたりはしていなくて、牢獄の役割はまだまだ果たせそうだ。
天吏はふらふらとした足取りで、その鳥籠へと近付いていった。それから籠を吊るす紐に手をやる。結び目は緩く、素手でもほどけそうだった。
手を伸ばし、結び目に触れる。そして。
力を込めて、鳥籠を床に叩きつけた。
音が響いて、籠がバラバラに壊れる。修復も難しいほどに大きく壊れて、部屋の中に木の破片が散らばった。
何も言わずに、天吏はその破片たちを見つめた。そうしながら思う。
牢獄が壊れた、と。
「……何をしているんだ?」
ふと、声が聞こえた。振り向くと、いつのまにか開けられた障子の隙間から、一組の男性と女性がこっちを見ていた。
「近くを歩いていたら、この部屋から大きな音が聞こえた。ちょうど、その鳥籠が壊れたような音が」
「……」
「もしかして、君が壊したのか? なぜそんなことをしたんだ?」
落ち着いた声で、男性が尋ねてくる。でも女性のほうは、こちらを見つめながら不安そうな表情をしていた。
「どうした? なぜ黙っているんだ?」
何も答えずにいると、再び男性が言った。
二人を見ているうち、今日は特別に人間と口を利いてあげようか、となんとなく思った。だから。
「……江戸時代。鳴き合わせが流行して、皆、鳥を飼っていた」
「何?」
「鳴かせ合うために鳥籠に閉じ込めて、自分達の楽しみのために鳥を利用していた」
「いったいなんの話をしているんだ……?」
「……愚かの極み。人の愚かさは昔も未来も、そして現在も変わらないのね」
それだけ言うと、天吏は口を閉ざした。それ以上、何か言う気にはならなかった。
男性は、奇妙なものを見るかのように顔をしかめている。きっと何も伝わらなかったのだろう。それでいい。何かを伝えたかったわけじゃない。
「……そうか。では、愚かな人間は立ち去るとしよう」
「……」
「邪魔をしたな。行こう、佳乃君」
「あっ、は、はい」
二人が去っていく。最後まで、女性は不安げな顔をしていた。
「愚かな人間は……ね」
男性の言い方は、まるでこちらが人間じゃないというように聞こえた。もしかしたら、幽霊か何かだと思われたのだろうか。
そうだとしても、どうでもよかった。見知らぬ人間にどう思われようと構わない。自分のこの心を埋めてくれるのは、鳥だけだから。他のものには何の価値もないから。
窓の外に目を移す。
だけどそこにはただ闇が広がっているだけで、何も見えはしなかった。
・
司馬 佳乃
の場合
「なんだか不思議な人でしたね……」
奇妙な女性と出会った後、廊下を歩きながら、
司馬 佳乃
はすぐ隣にいる
斑鳩 遙
に向けてそうつぶやいた。
「もしかしたら、幽霊か何かだったのかもしれないな。あるいは、妖怪が化けていたのか」
「えっ、ま、まさかそんな」
「冗談だ。きっと俺たちと同じ、夢の中でここに迷い込んだ人間だろう」
「そ、そうですよね。でも、あの部屋で何をしてたんでしょう。鳥籠を壊したのもたぶん彼女なんでしょうし……」
「さあ、ね。この世には様々な人間がいる。にわかには理解しがたい人間も。君も仕事柄、そういう人間に出会う機会は多いだろう。事件なども追うだろうし」
「まあ、そうですね……」
自分が就いている新聞記者という仕事は、本当に様々な人間と出会う。その中には、たしかに変人と呼ばれるような人もいる。
「でも、驚きました。いきなり大きな音が聞こえたから」
「俺と会った時も、君は盛大に叫び声を上げていたな」
「あ、あれは……まさか他に人がいるとは思わなかったので。すいません……」
「まあ、たしかに夢の中で見知らぬ人間に会うとは、俺も思っていなかった」
この家は、夢の中のもの。それを、遙は出会った時から気付いていた。
それは佳乃も同じで、気付けたのはついこの間、『眠っている間に見知らぬ屋敷に迷い込む』という噂を聞いたからだった。でも遙は噂のことは知らず、自力で夢と気付いたようだ。
「しかし、まさか伝承であるマヨイガが自分の身に降りかかるとはな」
「そうですね。まさか、私もよく聞いていたマヨイガの話を実際に体験するとは思ってませんでした」
「よく聞いていた?」
「はい。私の故郷、岩手なので。子供の頃からマヨイガの話はよく知っていました。姉がよく話してくれて」
あの頃のことは、今でもはっきりと思い出せた。9歳上の姉が、地元の方言をまじえて色々な本を優しく読み聞かせてくれて。
……懐かしかった。姉と別れて、もう15年ほどが経つ。
「どうかしたのか?」
「あ……いえ、ちょっと昔のことを思い出しちゃって」
「……故郷に、悲しい思い出でもあるのか?」
「そういうわけじゃないんですけど、私の姉、今は遠国にいるんです。しばらく会ってなくて、会いたいなって思ったら、つい」
「そうか……」
こっちを見る遙の顔が、なんだか少しつらそうなものに見えた気がした。でも彼はすぐに顔を前方に向けてしまったので、はっきりとはわからなかった。
会った際に聞いたところによると、彼は29歳で、寝子島水処理センターに勤めているらしい。眼鏡をかけた外見は落ち着いた印象で、その印象通り、このおかしな夢の中にあっても慌てたりという素振りはまったくなかった。
頼れる大人の男性。この短い時間で、佳乃は遙のことをそんなふうに感じていた。
その後も遙と二人で、廊下を進む。目覚めるまで時間つぶしに探索でも、と言ったのは遙で、断る理由もなかったので承知した。
初めは少し不安もあったけれど、今は楽しめる余裕も少し出てきている。
それは隣の歩く男性の落ち着きのおかげなのかもしれないと、なんとなく佳乃は思っていた。
・
斑鳩 遙
の場合
佳乃と歩いているうち、ずいぶんと印象的な場所にたどりついた。
「これ……座敷牢ですよね?」
「そのようだな」
遙は、目の前に現れた牢獄を興味深く見つめた。中には机や鏡台、それに小さな本棚が置かれているが、鍵がかかっているのか、扉に手をかけても開かなかった。
「嫌ですよね、こういうの……。こんな場所に無理やり閉じ込められた人たちのことを思うと……」
言葉通りの嫌悪感が滲んだ口調で、佳乃が言う。
座敷牢とは主に白痴や狂人を幽閉する場所。そういう忌むべき因習に対し、嫌悪を覚える気持ちはわからないでもない。
「仕方のないことだと、本人のためだと、閉じ込めていた人間はそう思っていたりしたのだろうな。直視できない現実を、そういう欺瞞と偽善で塗りこめて。うすら寒いことだ」
「閉じ込められたまま、死んじゃった人もいたんでしょうか……?」
「おそらくはな……」
死。その言葉に、過去の記憶を思い出した。それはここに来るまでもたびたびあったことで、もしかしたらこの屋敷にいるせいで、死人とつながりやすくなっているのかもしれない。
その記憶とは、友人の記憶。時任という名の、自ら死を選んだ親友の記憶。
(……もしかしたらあいつは、この世界を牢獄のようなものに感じていたのかもしれない。遠い過去、この牢に囚われた者たちのようにすべてに絶望して、その末にあいつは死を選んだのだろうか)
マヨイガは、あちら側とつながっていると以前に読んだことがあった。彼岸と此岸の境界にある屋敷。あるいは、望めばあちらに行くことができるのかもしれない。
それもいい、と少し思った。この世にさほど未練はない。あいつと同じように、このままあちら側に行ったとしても……。
「そろそろ行きましょう、斑鳩さん」
不意に聞こえてきた声で、我に返る。佳乃がこっちを見ていた。
「ああ……そうだな」
答えながら、胸に湧き始めていた思いを追いやる。
今はまだ、その時じゃない。それに、同行者を危険な目に遭わせるわけにはいかない。彼岸に近付けば、彼女を道連れにしてしまう可能性がある。出会ったばかりの人間だが、それは許されないだろう。
佳乃が歩き出す。自分も、と足を動かそうとした時。
ひらり、と紙のようなものが牢の隙間から舞い出てきた。
「ん……写真?」
舞い出てきたのは、一枚の写真だった。本棚の辺りから出てきたように見えたが、書物に挟まっていたのだろうか。
しかし、触れてもいないのにどうして。
疑問を覚えながらも、写真を手に取って眺めてみる。その瞬間、はっとした。
写っていたのは自分と、時任だった。
「これは……学生時代に撮った……」
写真には、子供みたいに笑う時任と、その隣でどんな顔をしたらいいか戸惑い、苦笑する自分の姿が鮮明に映っている。しかしこの写真は、何年も前に紛失したはずのものだった。
自分たちで撮った最初で最後の写真。見ていると、懐かしさが湧いてきた。
笑っている時任の顔。本当に懐かしかった。時任が死んで、時間が経ち、あいつも笑顔なんて忘れてしまっていた。
こんな頃もあったのだ。あいつがこんなふうに笑う日々が、以前はたしかにあったのだ。
「どうしたんですか?」
少し離れた場所から、佳乃が首をかしげて聞いてくる。
「いや……なんでもない」
言いながら、写真を服のポケットへとしまった。佳乃に聞いたところによると、このマヨイガでは欲しい物を見つけたら、目覚めてもなくならないらしい。
だからたぶん、この写真は……。
それからもう一度、座敷牢の中を見つめる。そこには何もない。だけど、かすかな気配を感じた気がした。
それがなんの気配だったのかはわからない。時任のものか、それともまったく関係のない何かのものなのか。
「……」
それでも、わからないままでよかった。
もしかしたら時任がいたのかもしれない。
ほんの少しそう思えただけで、今はよかった。
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担当ゲームマスター
北見直弥
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
冒険
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月30日
参加申し込みの期限
2014年07月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年07月07日 11時00分
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