手作り品マーケット、本日開催｜リアクション

手作り品マーケット、本日開催

【フリーマーケットへ行こう】

「そういえば、フリーマーケットは今日でしたね」
　洋菓子店『Raton』のオーナー荒井景貴は、店内のカレンダーに目をとめてつぶやいた。
　本日開催されるというフリーマーケットでは、手作り品のみが販売されるのだという。
　紅林柳霞も、先日、手作りの小物を販売するのだと言ってはりきっていた。
　彼女から話を聞いていた景貴は、仕込みと接客が落ち着いた合間をみて、母親に店番を頼んだ。
　こころよく引き受けてくれた母親に礼を述べ、店を後にする。
「どんなものが並んでいるんでしょう。楽しみですね」
　外に出ると、容赦のない日差しが景貴を照らす。
　景貴はまっすぐに、会場に向かって歩いていった。

「おーい、マイマイ～！」
「え？　あ……、空音ちゃん……」
　食べ歩きをしようとして、街中を一人で歩いていた河原舞の名を呼ぶ、元気の良い声。
　その主は、隣のクラスの桃原空音だ。
「マイマイ、一人？　これから一緒にフリマ行こ！」
　ぶんぶんと手を振って小走りにやってくる空音を待ち、舞はわずかに首を傾げた。
「今日、フリーマーケットがあるの？」
「そうそう！　そうなのー！　行こーよ、ねっ」
　くったくのない笑顔で誘う空音に、舞はこくりとうなずいた。
「行きたい！」
「そうこなくっちゃ！」
　両手を打ち鳴らして空音は喜んだ。
「前にね、あたし、フリマでかわいいぬいぐるみ買ったことあるんだよね」
「じゃあ今日も何かみつかるといいね。天気もいいし、楽しみだなー……」
「ねっ、楽しみだよー！」
　さっそく２人は、軽い足取りで会場を目指した。

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