こびとになっちゃった！～隠れ里に遺された落神伝説～｜リアクション

こびとになっちゃった！～隠れ里に遺された落神伝説～

●プロローグ～道化たちはかく語りき

　そこは不思議な四方四季の世界。
　それはこの世ならざる証。

　先を行くのは灰色猫のテオドロス・バルツァ。
　彼と有志たちはいま、クローネに落神伝説の巻物を渡すものかと北の洞穴へ向かっている。
　その背を遠くに追いかけながら。
　エレノア・エインズワースと骨削瓢と維都月茉菜は、ただ目配せしあっただけで互いの意図を理解する。

　骨削瓢はかく語りき。
「あっしにとって混沌＝喜劇であり、それを堪能することが生きる意味さ」

　維都月茉菜はかく語りき。
「皆、テオに説明も無く危ないところで戦わされているのに自分の境遇を疑いもしないの？
　……皆そんなに盲目なら、世界が完全に壊れたってきっと気づきもしないよね……？」
　誰にも気づかれない様、昏い笑み一つ。直ぐに笑顔に切り替えて。

　エレノアは後木真央に声を掛ける。
「猫鳴館勢の底力を見せて頂けません？　後木さん」
「猫鳴館と言われたら黙っていられないのだ。目的があるなら協力するのだ。
　真央ちゃんクローネ大嫌いなのだぎゃふんと言わせたいのだ！
　それに、ののちゃんやテオと卒業するまでは一緒に居たいのだ！」

　エレノアは屑利執に声を掛ける。
「いの一番に巻物をご覧になりたいとは？　屑利さん」
「もれいび初心者、神魂を科学的に解明したい俺にとってどんな情報でもありがたい」

　そうしてエレノアは静かに嗤う。
「ふふ……この前世界の安寧より信念を優先する人間の存在を話しましたよねテオ？
　今日その実在を立証しようと思います」

このページにイラストを設定する