this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
ネコミュージックフェスティバル in SUMMER!
<< もどる
1
…
32
33
34
35
36
…
49
つぎへ >>
傾き始めてもまだ強い光を注ぐ真夏の太陽の下、
市橋 奏楽
はスターステージの専用座席への道を急ぐ。
生の音楽を求めて星ヶ丘駅前に溢れる人波を擦りぬけ、男性歌手の悲しみとそれを包み込む強さを持った歌声を耳にしながら、専用座席の後ろ側に設けられた立ち見スペースで足を止める。
弟から届いたメールによれば、スターステージでピアノ演奏予定の弟の出番は、この男性歌手の後らしい。
(誉の演奏をじっくり聴くなんて、本当に久し振りだ)
演奏するから観に来るようにと届いた弟のメールに、断る理由を思いつけなかった。奏楽は、今は舞台袖に控えているだろう弟を思う。
己がピアノを教えた弟は何を思って、演奏を聴いて欲しいと伝えてきたのだろう。
ファンが訪れて居るのだろう。熱狂的な拍手を受け、男性歌手が笑顔で丁寧な礼を述べて舞台から引く。
「今は海外で修行中の元アイドルデュオの片割れ、『Sandalphon』の
フィンレイ・ランカスター
、さすがの歌唱力!」
ステージの際、テレビ中継でもしているのか、活発そうな少女が小型カメラを構えている。
「続いてはジャズピアニスト志望の男子高校生、
市橋 誉
――っと、うちと同学年だ」
小学生じみた童顔を朗らかに笑ませ、
小泉 和
はテレビねここのマークがついた小型カメラを巡らせる。スタッフが次の準備に入る舞台から、観客席の人々へと向ける。
男性歌手が扱っていたキーボードが舞台袖へと仕舞われ、代わって舞台の央にピアノが設置される。
奏楽は世話になった養い親の事業を継ぐ為に遠ざかったピアノを見つめる。己がピアノから離れていた間も、弟はずっとピアノを弾いていた。
(差が出るのは当然だけれど……)
何処まで置いていかれてしまったか、思い知るのは少し怖かった。
(兄として、誉に負けたくない)
まだそう思ってしまう己の安っぽいプライドに、奏楽は苦笑する。
(けれど、もう決めたんだ)
奏楽はピアノから、やがて出て来るだろう弟から逸らしたくなる視線を堪える。
逃げないと決めた。
音楽と向き合うと決めた。
誉と向き合うと、決めた。だから。
(逃げるなんて選択肢は、無い)
観客の拍手を受け、黒髪の少年が舞台に歩み出る。
観客の多さに動じぬ笑み浮かべ、
市橋 誉
は一礼する。ピアノに向き合う。深い呼吸をひとつして、鍵盤に指を走らせる。
初めに奏でられたは、熱気を穏かに和らげるような軽やかな音楽。誰もが知るクラシックをジャズ風にアレンジした、例えばお洒落なカフェでゆったり寛ぐのに丁度良い、そんな音。
(本当に上手くなった)
弟の奏でる旋律に聞き入りながら、血の繋がらない兄である奏楽は、胸の内に走る衝撃に、言い様のない感情に、温和な黒の瞳をほんの僅か、歪める。
ゆったりと軽やかな音が、不意にガラリ、雰囲気を変える。体が思わずリズムを刻みたくなるような演奏に切り替わる。気持ちを盛り上げる派手で楽しい音に、歓声が湧く。
(技巧では、今の俺では太刀打ち出来ないだろう)
周囲に湧き上がる拍手と歓声に、奏楽は小さく嘆息する。
(あぁ、悔しい、な)
つくづくと思う。あの時、どうして逃げてしまったのだろう。
己が逃げ出している間に、弟は技巧だけでなく、一番の長所である表現力にまで更に磨きをかけている。
(今からでも間に合うだろうか?)
弟の隣に並べるだろうか?
今直ぐにでもピアノに向かって練習したい衝動に駆られて、――舞台の上の弟と、目が合った。
観客席の更に後ろに立つ己に気付く訳がない、そんな奏楽の思いを吹き飛ばすが如く、遠い舞台上、誉は大人びた表情をほんの一瞬、華やかな笑みに崩す。
弟の笑みと共に変わった旋律に、奏楽は弾かれたように瞳を見開く。
(……G線上のアリア)
間違いなく己に向けられる己の好きな曲に、一緒に弾こうと訴えかけるような音に、奏楽は身動ぎも出来ず立ち竦む。
曲を弾き終え、誉が焦れたように立ち上がる。
奏楽に向け、真直ぐに手を差し伸べる。
「奏楽、弾こう」
観客が眼に入っていない一途な表情で、奏楽だけに向け、言う。
誉の言葉と差し伸ばされた手に、奏楽は射抜かれたように瞳を見開く。何て無茶ぶりだ、と呻く。
――俺はまだ、お前と並べるような腕は持っていないというのに
――足を引っ張るかもしれない
――無様な姿を晒すかもしれない
そんな思いが次々と湧き出す。けれど、それでも。
誉の誘いを、断れる訳がなかった。
誉と演奏したい。その願いだけで、足を竦ませる思いは全て掻き消された。
震える指を拳に握りこむ。奏楽は舞台へと足を踏み出す。
思わぬ飛び入りを迎え、観客から温かな拍手が注がれる。舞台への階段を登る兄の手を弟が取る。観客に向けて二人で一礼する。二人で、ピアノに向き合う。
「無理言って、ごめん」
鍵盤に触れようとする兄の指先の震えに気付いて、誉は呟く。けれど、
(俺は、……奏楽の音が聞きたい)
奏楽の音と合わせたい。
奏楽の音を、皆に聞いて貰いたい。
その思いを伝えようと、いつか二人で音を重ねた時のように鍵盤に指を走らせる。
思うまま、好き勝手に楽しい音を奏で始める弟の音を傍らに聴いた途端、奏楽の指先の震えが止まった。そうだ、と思う。
子供の頃を思い出す。あの頃、好きに跳ねる誉の音に合わせるのが、好きだった。幸せな一時だった。
そうしてそれは今も変わらない。変わってなど、いない。
(あぁ、奏楽の音だ)
隣で響き始める端正で瑞々しい音に、誉は微笑む。
(少しも変わってない)
寄り添い支えてくれる奏楽の音が、大好きだった。あの頃も今も、ずっと変わらず。
(何て幸せな一時だろう)
音を重ね、思いさえ重ね、兄と弟は即興にも関わらず息の合った連弾の一曲を真夏の青空に躍動させる。
「音楽とは不思議なものですね」
兄と弟の連弾の合間に、
秋ノ宮 こまち
はぽつり、漏らす。
「同じ曲でも、誰が演奏するのか、どんな状況で聴くのかによって心が癒される時もあれば、かき乱される時もある」
彼らを目にして、その直後のほんの僅かの間、傍らに肩を並べて座る
斑鳩 遙
の唇が皮肉に歪んだように見えた気がしたけれど、
「今日のステージは?」
そう優しく問い返してくれる遙の顔に、そのどこか苦しげにも見えた表情は欠片も見つけられない。
「今日のステージは、……」
せめて今は遙が笑っていられるように、こまちは微笑む。
「私にとってはどれも癒されるものです」
曲を終えた二人を拍手に見送る。
舞台袖に引いた瞬間、誉は兄に突然の無理難題を押し付けたことに対して礼と謝罪の言葉を告げて頭を下げた。
「誉の無茶ぶりには、もう慣れたよ」
涼しげに笑う兄に安堵した途端、
「……っ、あー……」
誉は普段は冷静さを然程失わない顔に朱を上らせる。
「誉?」
どうした、と案じる兄の傍ら、弟はその場にしゃがみこむ。膝に額を押し付け、
(ギャラリーも気にせずやっちまった)
今更ながら、舞台上での思い切った行動を震えるほど激しく羞恥する。訳も分からず、それでも背中を叩いてくれる奏楽をちらりと見上げ、誉は過ぎたことは仕方ないと息を吐き出し立ち上がる。
この際、折角だから二人で出店で何か食べて行こうか。まだ僅かに上気した頬のまま、笑う。
「奢るよ、奏楽」
<< もどる
1
…
32
33
34
35
36
…
49
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
ネコミュージックフェスティバル in SUMMER!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
阿瀬春
笈地 行
雨音響希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
91人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年06月09日
参加申し込みの期限
2014年06月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年06月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!