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- 00月00日生 00歳
- AAA000000
甘味処、神楽。新メニュー考案会と試食会のお知らせ
「おにーちゃん！ 私お菓子作りに挑戦してみる！」
試食品をつつきながら暫くして、白洲 水澄が弾かれたように言った。
何事だろうと、おにーちゃんである白洲 瀧は水澄の次の言葉を待った。
「お料理をおにーちゃんのために作れるようになったら、おにーちゃん嬉しいよね！」
「ああ、そうだね。水澄の手作り料理が食べられると僕も嬉しいかな」
お菓子を食べてそのまま帰宅かなと思っていた矢先に、水澄の提案だ。瀧は穏やかな笑みを浮かべて喜びを露わにした。
エクルに用件を伝えて厨房へと向かう水澄を見送った。
その消えていく水澄の背中を見ながら瀧は嫌な予感を、かすかな胸騒ぎを覚える。水澄が料理をするという喜ばしいことなのに、なぜだか、惨劇が起こりそうな、そんな予感がしたのだった。
「いや、でもまさか、ね」
大丈夫だろうと自分に言い聞かせて、瀧は水澄の手作りのお菓子が到着するのをいまかいまかと心待ちにする。
・ ・ ・
やっぱりつくるならおにーちゃんの好きな物がいいよね！
そう心に決めた水澄は、自分でお菓子を作りたいという旨をエクルに伝えて、作りたいお菓子を申し出た。
作るのはようかんだ。
レシピと材料を受け取り、水澄は調理を開始する。
時間短縮のためにポットからお湯を鍋に注ぎ、寒天を入れ沸騰するまで煮る。
かんてんもお湯も入れすぎたようだが、気にしてはダメだ。
そして、メインのあんこだ。
適当な鍋に余っていたあんこを惜しげもなく投入する。
仕切りとかがついていた気がするが気にせず全て入れてしまう。
「あっ！ 生クリームも入れよう！ 美味しい物に美味しい物を掛け合わせればもっとおいしくなるもんね！ 生クリームようかん、おいしくなるぞー」
さらには生クリームまで投入し、ぐーるぐるとよくかき混ぜ煮詰めた。
それをステンレス製の容器にいれ、あら熱を取る。
スプーンで一口すくって食べる。
「う、うん……甘ったるい生クリームと甘ったるいあんこが混ざり合って甘い物好きでも、口の中が大惨事気味だけど……冷ましたらきっと、おいしいよね！ でも、もうちょっと甘さ控えめにした方がよかったかなあ？」
うーん、と唸りながらも水澄は容器に入れた生クリームようかん（とても甘ったるい）を冷蔵庫へと入れた。
できあがるまで楽しみだと、にこにこ笑顔を浮かべながら、水澄は冷蔵庫の前に張り込むのだった。
・ ・ ・
暫くして、綺麗な器に盛られたようかん（らしきもの）が瀧の目の前に置かれた。
綺麗な器と対照的に、ようかん自体はでろっとしている。
「見た目とかちょっと変な感じになっちゃったけど、おにーちゃんなら食べてくれるよね！」
信じてると言わんばかりに子犬のように瞳を潤ませて、瀧を見る水澄。
ああ、これは危険だと。胸騒ぎの予感はこれだったと、事ここに至って瀧は思い立った。
水澄は家庭科が苦手だった。それを今思い出した。
そして目の前のようかんはいっている。
食べたら大変なことになる。それでもいいのか、と。
幻聴の助言を聞き、食べないというのも一つの手だろう。
しかし、瀧にそれはできない。
なぜなら、目の前に置かれているのは水澄が瀧のために作ったものだからだ。
愛する妹が作ったものだ。お兄ちゃんなら、しっかり完食して美味かったと言ってやるものだろう。
「うん、とても美味しそうだよ、水澄。お兄ちゃんうれしいなあ！ 水澄も一緒にどうだい？」
「え、私も？ 私は、ほらっ、おにーちゃんのために作ったものだから、ね！？」
試しに軽く振ってみたが、断られた。
つまりそういうことだ。
しかし、この嬉しささえあればもう何も怖くない。
大丈夫、大丈夫だと、瀧は内心で自分に言い聞かせ、一口。
酷い味がした。
甘さと甘さがぶつかり合って喧嘩をしている。
全体的にじゅるじゅると水っぽく、ようかんの弾力を感じられなかった。かと言っておしることいえばそうともいえない。なんともいえない物となっていた。
これはひどい。瀧はそう思うが、口には出さない。
なんと言ったって愛する妹が瀧のために作った物だからだ。
穏やかな表情を崩さず、完食し終える。
「ごちそうさま。美味しかったよ、水澄」
「ほんと！？」
微笑を浮かべて、労う瀧だったが、極端なまでの甘さで今にも突っ伏しそうだった。
しかしここで倒れるわけには行かない。
瀧の美味しいという言葉に満面の笑みを浮かべる水澄を見ていれば、持ち堪える程度の気力くらいすぐにわいてきた。
「でも、今度からはおにーちゃんと一緒にやろうね」
「う、うん！」
自分の身を守るために、水澄が失敗しないようにするため。
瀧はそう水澄と約束したのだった。
試食品をつつきながら暫くして、白洲 水澄が弾かれたように言った。
何事だろうと、おにーちゃんである白洲 瀧は水澄の次の言葉を待った。
「お料理をおにーちゃんのために作れるようになったら、おにーちゃん嬉しいよね！」
「ああ、そうだね。水澄の手作り料理が食べられると僕も嬉しいかな」
お菓子を食べてそのまま帰宅かなと思っていた矢先に、水澄の提案だ。瀧は穏やかな笑みを浮かべて喜びを露わにした。
エクルに用件を伝えて厨房へと向かう水澄を見送った。
その消えていく水澄の背中を見ながら瀧は嫌な予感を、かすかな胸騒ぎを覚える。水澄が料理をするという喜ばしいことなのに、なぜだか、惨劇が起こりそうな、そんな予感がしたのだった。
「いや、でもまさか、ね」
大丈夫だろうと自分に言い聞かせて、瀧は水澄の手作りのお菓子が到着するのをいまかいまかと心待ちにする。
・ ・ ・
やっぱりつくるならおにーちゃんの好きな物がいいよね！
そう心に決めた水澄は、自分でお菓子を作りたいという旨をエクルに伝えて、作りたいお菓子を申し出た。
作るのはようかんだ。
レシピと材料を受け取り、水澄は調理を開始する。
時間短縮のためにポットからお湯を鍋に注ぎ、寒天を入れ沸騰するまで煮る。
かんてんもお湯も入れすぎたようだが、気にしてはダメだ。
そして、メインのあんこだ。
適当な鍋に余っていたあんこを惜しげもなく投入する。
仕切りとかがついていた気がするが気にせず全て入れてしまう。
「あっ！ 生クリームも入れよう！ 美味しい物に美味しい物を掛け合わせればもっとおいしくなるもんね！ 生クリームようかん、おいしくなるぞー」
さらには生クリームまで投入し、ぐーるぐるとよくかき混ぜ煮詰めた。
それをステンレス製の容器にいれ、あら熱を取る。
スプーンで一口すくって食べる。
「う、うん……甘ったるい生クリームと甘ったるいあんこが混ざり合って甘い物好きでも、口の中が大惨事気味だけど……冷ましたらきっと、おいしいよね！ でも、もうちょっと甘さ控えめにした方がよかったかなあ？」
うーん、と唸りながらも水澄は容器に入れた生クリームようかん（とても甘ったるい）を冷蔵庫へと入れた。
できあがるまで楽しみだと、にこにこ笑顔を浮かべながら、水澄は冷蔵庫の前に張り込むのだった。
・ ・ ・
暫くして、綺麗な器に盛られたようかん（らしきもの）が瀧の目の前に置かれた。
綺麗な器と対照的に、ようかん自体はでろっとしている。
「見た目とかちょっと変な感じになっちゃったけど、おにーちゃんなら食べてくれるよね！」
信じてると言わんばかりに子犬のように瞳を潤ませて、瀧を見る水澄。
ああ、これは危険だと。胸騒ぎの予感はこれだったと、事ここに至って瀧は思い立った。
水澄は家庭科が苦手だった。それを今思い出した。
そして目の前のようかんはいっている。
食べたら大変なことになる。それでもいいのか、と。
幻聴の助言を聞き、食べないというのも一つの手だろう。
しかし、瀧にそれはできない。
なぜなら、目の前に置かれているのは水澄が瀧のために作ったものだからだ。
愛する妹が作ったものだ。お兄ちゃんなら、しっかり完食して美味かったと言ってやるものだろう。
「うん、とても美味しそうだよ、水澄。お兄ちゃんうれしいなあ！ 水澄も一緒にどうだい？」
「え、私も？ 私は、ほらっ、おにーちゃんのために作ったものだから、ね！？」
試しに軽く振ってみたが、断られた。
つまりそういうことだ。
しかし、この嬉しささえあればもう何も怖くない。
大丈夫、大丈夫だと、瀧は内心で自分に言い聞かせ、一口。
酷い味がした。
甘さと甘さがぶつかり合って喧嘩をしている。
全体的にじゅるじゅると水っぽく、ようかんの弾力を感じられなかった。かと言っておしることいえばそうともいえない。なんともいえない物となっていた。
これはひどい。瀧はそう思うが、口には出さない。
なんと言ったって愛する妹が瀧のために作った物だからだ。
穏やかな表情を崩さず、完食し終える。
「ごちそうさま。美味しかったよ、水澄」
「ほんと！？」
微笑を浮かべて、労う瀧だったが、極端なまでの甘さで今にも突っ伏しそうだった。
しかしここで倒れるわけには行かない。
瀧の美味しいという言葉に満面の笑みを浮かべる水澄を見ていれば、持ち堪える程度の気力くらいすぐにわいてきた。
「でも、今度からはおにーちゃんと一緒にやろうね」
「う、うん！」
自分の身を守るために、水澄が失敗しないようにするため。
瀧はそう水澄と約束したのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年06月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年06月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年06月12日 11時00分
