甘味処、神楽。新メニュー考案会と試食会のお知らせ｜リアクション

甘味処、神楽。新メニュー考案会と試食会のお知らせ

「食べ物をいじるにあたっては清潔が大事なの！　あかりはちゃあんとしってるのです！」

　借り受けたエプロンと三角巾を着用して、手洗い等を済ませた明里がドヤ顔を浮かべる。
　買い出しに出ている結依がまだ戻っていないこともあり、果物や野菜を使う物はまだ作る事ができないということもあり、先にできることからやろうと、まずは店にある物で下準備をする。
　餅米を炊いたり、まんじゅうの皮を作ったり、白玉団子を用意したり。
　考えているレシピが被っていなかったのもあり、作業は各々別れてすることになった。
　まず、修と真央は簡単に作業の分担をし、修がまんじゅうのあんを作り、真央は皮を作ることになった。
　修はいくつかの鍋に仕切りを作り、分量を変えた材料を入れ、様々なあんこを試作する。
　真央は三種類の皮を作成している。上用粉と山芋パウダーを混ぜた物、薄力粉とベーキングパウダーを混ぜた物。生地としてすぐにまんじゅうの皮として使えるそれらとは別に、水練りで作る求肥も作成。

「真央、どれがいいと思う？」

　分量を変えたいくつかの餡を皿に取り、修は真央に差し出した。
　人によって好みは様々だ。
　今ここにいる人たち全員に食べて貰って、一番評が多く貰えた物を、じょうよまんのあんにしようと修は考えた。

「真央ちゃんはこれがいいのだ！　甘すぎるのもいいけれども修ちゃんの考える上品なのとはちょっと違う気がしたのだ。だからこれがいいのだ！」
「ふむ……砂糖の分量を少なめにした奴だな。ありがとう」

　真央に礼を言って、修は他のメンバーにも同様のことを聞いて回った。

　月詠と舞はケーキの部分で被っている所もあり、生地を作る段階は同時に進行をしている。
　他の物と違って、スポンジの場合食感に直結する事もあって、お互いそう話し合って判断した。
　ケーキの下準備を月詠が行い、材料の切り分ける作業を舞が行う。
　厨房内では流石に月詠もパンプキンヘッドを脱いだ。

「流石に暑かっタヨ」
「あら、お似合いでしたのに」
「ふむ……では菓子を振る舞うときにはまた被ろう」

　そんな軽口を言いながら作業はスムーズに進行する。
　生地は多めに作り、最終的には月詠の分と舞の分二つのボウルに取り分けた。
　舞の作る抹茶ケーキにはあんこや生八つ橋といった物が必要だ。

「カラメルソースは八神に任せてしまおうかな。細かい火の番くらい朝飯前だろう」

　修が味見用のあんこを差し出して回っているところをひっ捕まえて、月詠と舞は個別にお願いをした。
　修はそれを快く了承する。
　作業工程が一つ飛ばせる事で、少しばかり負担軽減になった。

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