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小さな公園
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静かな公園の水のみ場の蛇口を思い切り捻ると、
来栖 棗
は倒れこむように青あざだらけの顔を近づけ、水道水で口を漱いだ。
何度かそうして、漸く鉄臭さがしなくなったら、頭から被って煮え滾る感情ごと水で流した。
さっき不良達に殴られた頬が熱を持ち、脈動するたびに疼く。
放っておけば、酷く腫れてしまうだろう。
頬だけではない。
多勢に無勢でも引き下がらない棗は、全身が打ち身や生傷だらけとなっていた。
時刻はすでに深夜帯に及んでいる。中学生の子供が一人で徘徊するには、遅すぎる。
「ああ、畜生……全身が痛ェ」
棗は感情の表層を削り取って、搾り出す。
家庭の事情と、やるせない想いは、言葉として置き換えるには複雑すぎ、また棗自身が上手に表現する術を持たなかった。
棗には、帰る場所が無かった。
母一人、子一人の住まいはある。けれど、棗の居場所は無いも同然だった。
父親は、顔も知らない。ひょっとしたら、産んだ本人ですら分からないのかもしれない。
言いたい事なら、数えあげればキリがない。
だが唯一の家族である母とは、顔を合わせるなりコミュニケーションをとるどころか、互いに罵りあう結果にしかならなかった。
それに帰れば帰ったで、どうせ母が連れ込んだ見知らぬ男が居るのだろう。
棗は舌打ちをしようとして、口の中の痛みに顔をしかめた。
締め出されるのには、慣れている。
それでも、行き場をなくした怒りと焦燥感だけは、どうしようもなかった。
ボロ雑巾のように痩せた体を、ブランコに投げ出して、細い首筋を後ろに逸らした。
空っぽの琥珀の瞳が、漫然と星を数える。
夏の夜空も、冬の夜空も、棗は見慣れている。
幼い頃は瞬く星に、小さな手を伸ばしてみたりもしたけれど。
星は棗の事なんか知らん振り。
ただただ、遠くて、綺麗で。何も掴めないまま、今に至る。
「あの頃と、ちっとも変わってねえ……笑っちまう」
自嘲すると、細く長い息を吐き出した。
茜(棗の母)のやつ。
俺の事なんざほったらかしで、とっかえひっかえ男を引っ張り込んで。
邪魔だ、目障りだと罵られて――べそかきながら飛び出して、朝がくるまで公園のブランコに座ってたっけ。
キィ。
ふいにブランコが鳴った。
抵抗を感じて足元に視線を向けると、一匹の黒猫が棗のすねに頬を擦り付けていた。
「……ちっ 野良猫か」
声が尖る。
若いオスなのだろうか。黒猫のわりに毛艶が悪くぼさぼさで、肩がいかって見えるほど痩せているのに、大きな琥珀の瞳だけが真っ直ぐに棗を見ていた。
「媚びんな あてにすんな! 野良なら野良らしく、力ずくでエサをぶんどってこい!!」
カッとなって叫んだ声が、思わず掠れる。
そうだ、俺だってあと3年の我慢だ。
中学卒業したら、面白い記憶の一つもない島を出て。
くだらねえ過去も、身勝手な母親も、何もかも捨てて。
誰の力にも頼らねえで、自分の力で生きてやる!
ブランコの鎖を握る擦り傷だらけの手に、力が篭る。
すり、とまた黒猫が棗の足に体をこすり付けた。
「よせよ」
棗は足で、黒猫の体を押しのける。
それでも黒猫は、戻ってきては同じ事を繰り返した。
「おい、やめろって言ってんだろ!」
がしゃんと音を立てて、ブランコが揺れる。
何度制止しても聞かない黒猫に苛立ち、立ち上がった棗は「勝手にしろ」と吐き捨てた。
愛用のヨーヨーを指に掛けると、明かりが少年の輪郭を際立たせる。
むしゃくしゃした気分を吹き飛ばすように、棗は何度かヨーヨーを垂直に投げ下ろして往復させると、今度は後ろ向きにループさせる。真正面に戻ってきたヨーヨーは、吸い込まれるように棗の掌に納まった。
次に伸ばしたヨーヨーのストリングを、左手で器用に絡めて三角形を作り、その間を移動させる。
このくらいは、お手の物だ。
棗は目に付いた、細い木の枝を狙ってヨーヨーを放った。
狙い済ました一投は見事に枝の真芯を捕らえ、軽い振動の後、乾いた音を立てて葉が地面に落ちる。
戻ってきたヨーヨーを難なくキャッチすると、次は飛び出た葉の一枚を狙う。
これも棗の狙い通り。ヨーヨーの勢いで毟り取られた葉は、ひらひら舞い落ちる。
何度かやって、体は痛むが調子は悪くないなと、確信に至った時。
「ミャァ」
いつの間にか足元へやって来ていた黒猫が、短く鳴いて尾を振った。
「…………」
構わず、ヨーヨーで葉の先を狙う。
ぱたん。
ぱたん。
一枚、もう一枚と葉が落ちるたび、黒猫は合いの手を入れるように尻尾を振る。
「なんなんだよ、お前?」
流石の棗の口元からも、笑いが漏れた。
「見てろよ、クソ野郎」
ヨーヨーを往復させると、棗は意識を研ぎ澄ませた。
挑むのは、失敗続きの最高難易度の大技。
「絶対成功させてやる」
琥珀の瞳が、強気な光を宿し、棗は闇を裂くようにヨーヨーを放った。
小さな島に、小さな公園があった。
児童公園ではあるが、そこへ訪れるのは小さな子供とは限らない。
これはそんな小さな公園の、何気ない日常の物語。
終
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あとがき
担当マスター:
メシータ
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つづり
ファンレターはマスターページから!
つづりマスター不調のため、代筆を勤めさせていただきました。メシータです。
このたびはお届けが遅くなりまして、まことに申し訳ありません。
キャラクターの皆さんが持つ雰囲気や、公園での素朴な過ごし方を、出来るだけ忠実にリアクションとしてまとめたつもりです。
少しでも、お気に召しましたら幸いです。
一部、地域や時間帯の都合と、プレイヤー様の希望が合致しない箇所を、アクションに影響の出ない範囲内で修正させて頂きました。
ご了承くださいませ。
それでは、当シナリオへのご参加、まことにありがとうございました。
一日も早い つづりマスターの復帰を願いつつ、筆を置かせて頂きます。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
メシータ
つづり
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年08月20日
参加申し込みの期限
2014年08月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年08月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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