小さな公園｜リアクション

小さな公園

　八神修の家――正確には星ヶ丘寮だが――は、さながら小さな動物王国のようだった。
　白猫のミルクを筆頭に、猫が１４匹。
　犬は柴犬のカーキー、シェパードのカール、ラブラドールのカエサルと３頭。
　更にウサギと、ハムスターが居る。
　全て修が拾ったり、友人から譲られたりした、大切な家族だった。
　主な世話は飼育員と、週末の学生バイトがしてくれる。彼らの仕事でもあるし、御曹司の修がわざわざ手を出さなくても良いのだが。

「カーキー、カール、カエサル！　散歩に行こう」
　修が呼びかけると、愛犬達は即座に反応して立ち上がった。
　我先にと足元に集まってくる愛犬達は、千切れんばかりに尻尾を振っている。
　ソファに身を擦り付けながら、ちょっと恨めしそうに見ている猫達を、「帰ったら遊んでやるからな」と宥めすかして、３頭のリードを持つ。
　戸外へ出れば、南仏をイメージして作られた町並みを渡る風が爽やかに吹き渡って、修の色素の薄い髪を洗う。
　夏のこの時期、日が高くなってから散歩をしては、犬達が肉球を火傷してしまう。
　だから早目に家を出るのだ。
「今日は、のんびりしていいからな」
　時間がある時は、犬達の好奇心に心行くまで付き合うのもまた、主人の喜びであり、特権なのだから。

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