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子猫にリボンを!
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貼り紙を掲示し終わり、
天衣 祭
は北校舎の地下へと向かっていた。
北校舎には、今は閉鎖された地下室が存在する。階段を下りた場所には扉が立ち塞がり、少なくとも人間が容易に入ることは出来ない。
が、子猫程度ならば入り込める隙間があるかもしれない。
「そんな場所に猫が入っていたりしたら大変だからな。うん。冒険心がくすぐられるとかそういうことじゃないな。うん!」
わくわくと高鳴りつつ柔らかに揺れる胸を押し隠すこともなく、地下への階段を足早に駆け降りる。しかしその耳に、自分と同じくそわそわとした話し声を聞き取り、天衣は僅かに歩調を緩めた。
そろりと最後の段を降りれば、五つの影が扉の一か所を覗き込んでいる。
「……思ったより、人が集まってるな」
「ん? おぉ、真打ち登場だ。こりゃ神下君に一緒に来てもらわなくても大丈夫だったかな」
天衣の声に反応を見せ、振り返ったのは
奈良橋 博美
だった。手に持った小さな袋からは校長から譲り受けたと思われるミルクと細切れのちくわが透けて見える。
そして奈良橋につられ、ほかの四つの影も振り返る。
ぺこりと軽く会釈して見せたのは、白髪交じりの髪に顔面の傷跡、そして見上げるほどの身長が目を惹く
片羽 神下
。地下の空気に華やいだ雰囲気を纏う奈良橋の隣で表情を変えることもなく、ただただ静かに並び立っていた。
「見たところ荒くれ者の集まりって感じだな。うん、適材適所ってやつだ! なぁ、刀くん!」
「はいはい、左様で」
大笑して背中を叩いてくる
桜庭 円
に対し、やんちゃ坊主に振り回される大人のような表情で応えたのは
御剣 刀
。もともと仲が良いのか他の面々に比べて随分と打ち解けた様子の二人は、桜庭が楽しげに話すのを御剣が受け流すという図式が出来上がっているようだった。
見た目的にも、掠め見える性格的な面でも、まさに桜庭の発言通り荒くれ者の集まり。しかし自信に満ち溢れた発言者が楽しげに地下の雰囲気にはしゃぐその一番端で、長い二本の三つ編みが僅かに震えて壁に向き合っていた。
「なんでしょうこの場違い感……。さすが地下と言うべきか、凄まじいアンダーグラウンド感です……。生物部……捜索が分担制になったとはいえ、もう一人くらいは一緒に来てほしかったです……」
後悔か悲哀かを呟く
屋敷野 梢
に、静かに片羽が傍に寄る。そしてそのまま軽く頭を撫でると、驚きで見上げる屋敷野に小さく声をかけた。
「大丈夫だ。きっとみんな、優しい人ばかりだから」
のっそりと落とされた声に、一瞬唖然と言葉を失う。ただその言葉が明らかに自分を気遣ってのものだと理解すると、屋敷野は途端に表情を綻ばせた。
「はい、そうですね! 子猫を探してこんなところに来る人達が、怖い人たちなわけはありませんでした!」
一転し、気合を入れた様子で拳を握る。それを横目に流し見て、天衣はひょっこりと先ほど皆が集まっていた辺りを覗き込んだ。
「それで、猫はいそうかい?」
「うん。ほら、そこに少し割れてるところがあるだろ? 張り紙の通りの子猫なら、多分そこから入れると思うんだ」
奈良橋が指差した場所、扉の左隅の辺りには、確かに少し大きい割れ目が出来ていた。
少々尖っている部分はあるものの、小さな子猫であれば通れそうにも見える。
「んー、そうか。じゃあ少し探ってみよう。みんな、申し訳ないが少しだけ静かにしていてくれ」
そう言うと、天衣はゆっくりと息を吸い込んだ。
ぷつりと糸が切れたような感覚。それを感じ、赤い舌が自らの手の平を舐めてみる。
春とはいえ、この日の陽気で少量の汗をかく。本来であれば少々塩気を感じるはずのその舌が全く味覚を感じていないことを確認し、天衣は迷いなく件の割れ目を覗き込んだ。
ろっこん【絶一門】。任意の感覚を断つことで、残りの感覚が強化されるこの力は、今や埃っぽい地下室の臭いの中に、微かな獣の臭いを感じ取っていた。
誰かが唾を飲み込む音が背後から聞こえる。それを無視して前方へと注意を向けると、誰かに遊びをねだるような甘えた鳴き声とともに走り回る小さな足音が鼓膜を揺らした。
そして、闇の中になおも黒く浮かぶ小さな影。
「いた。黒い毛玉だ」
「え!? 見えるんですか!?」
「私のろっこんは感覚を強化することが出来る。この程度は造作もないな」
感嘆の声に気を良くしたのか、天衣は鼻の高い様子で胸を張る。それに素直に拍手を送る屋敷野と奈良橋のわずか後ろで、桜庭は少々羨ましそうに指を吸った。
「いいなー、便利なろっこんだなー。しかし、中に猫がいると分かった以上は僕達も入って救出に乗り出すのが得策だろう! と、いうわけだ。蹴り破れぇ、刀くん!!」
「はいよ」
「へ、はいぃ!?」
突如聞こえた物騒すぎる指令と簡単な了承の言葉に、子猫発見の余韻から引き戻された三人が素っ頓狂な声を上げる。
「コラコラ待てよ! 大きな音なんて立てたら、怯えて逃げちゃうかもしれないだろ!? 地下室になにがあるかなんて俺達は知らないんだし、もし穴にでも落ちたらどうするんだよ!」
「……あぁ、そうか。それも一理あるな」
奈良橋の制止に、今まさに足を振り上げようとしていた御剣の動きがぴたりと止まる。その後ろでは、提案されたあまりの暴挙に持ち前の神経性胃炎を引き起こされたのか、片羽が胃の辺りを押さえて壁に凭れ掛かっていた。
ただ、突入を躊躇する流れに桜庭が唇を尖らせる。
「でも時は一刻を争うんだ! 人命、いや猫命はこの扉より重い。なにかあってからじゃ遅いんだよ! だから早くっ、早くっ! 僕も一緒に行くからっ!」
パタパタと腕を動かしながら熱弁する桜庭と、その主張を受け入れてしまいそうな御剣の様子に天衣、奈良橋が代替案を模索しかけたその時だった。
「まっ、まってくださいー!!」
大きな声が地下の狭い空間に響き渡る。
「私に秘策あり、です! 大きな音を立てずに扉を開けて見せますから、そんな物騒なことを言っちゃダメですよ!」
びしりと指を立てて言い切る屋敷野の一言に、その場の全員が目を丸く見開いた。
「そんなこと出来るのか?」
「はい! ただし私がいいと言うまで、ぜーったいに! 目を開けないでくださいね!」
奈良橋の質問にあっさりと肯定を返しながらも思わせぶりな条件を提示する姿に、それぞれがちらりと視線を交わす。
「……なんだか、鶴の恩返しのようだな」
天衣が呟けば、こっくりと首肯が揃う。
「なぁ刀くん。こっそり見るのはアリだろうか」
「お前、鶴に飛んでいかれる爺さんの役になりたいのか?」
「でもさー、俺も正直言うとちょーっと見てみたいなぁ……」
こそこそと話し合う桜庭、御剣、奈良橋の囁きに、ひそかに片羽までもが耳を傾けている。それを猫が総毛立つような思いで目撃し、屋敷野は肩を怒らせて抗議した。
「ちょ、ダメですよ!? ホントにホントですからね!? ネタ振りじゃないですからね!? 見てないかチェックしますからねー!?」
「ちぇー」
「ちぇー」
女子二人がまるで子供のように文句を言ったものの、やがて率先して目を閉じた御剣に促されて大人しく瞼を下ろす。
それを形容し難い面白い顔を見せることで薄目が開いていないかをチェックし、全員がしっかりと目を閉じていることを確認後、屋敷野はゆっくりと後ろへ下がった。
さて行きましょうかと口の中で呟き、目を閉じる。
そしてそのまま前へと床を蹴れば、彼女の姿はひらりと舞う蝶へと変わった。
―― このろっこん、誰にも秘密なんですよねー。でもこういうときも便利です!
美しい曲線を描きながら蝶は先ほどの扉の割れ目へと到達し、難なく中へと侵入する。
―― うーわー、暗い! 懐中電灯、もっと中を照らせる位置に置いてから来るんでした……。これじゃあ扉の鍵がどこにあるかも……。
うっかりしていた自分を呪いながらもふらふらと扉から少し距離を取ろうと浮遊する。せめて少しでも扉から離れておかなければ、人間に戻った際にぶつかって不自然な音を出してしまいかねない。
しかしあまりの暗闇に、進むべき方向すらもよく分からなかった。
―― んー、こうなれば一度外に戻って、懐中電灯をセットしてからリトライを……って、んん?
視界の端に、何か光るものを捉えて向き直る。すると。
何か大きく黒いものに飛び掛かられ、鋭いものが羽を掠めるのを感じた。
―― んきゃーっ!?
そこからはもう、半狂乱である。
とにかく視界の悪い中を必死になって飛び回り、かすかに光の漏れている出口に向かって命からがら逃げ延びる。
割れ目を出てすら得体の知れない攻撃の手はやむことはなく、太く大きなものがバシバシと勢いよく自分を叩こうとしてくる事実に、生きた心地のないまま屋敷野は蝶の姿から元に戻って床に転がった。
「ハーッ、ハーッ……。こ、殺されるところでした……」
息も絶え絶えの状態で生を実感している様子に、尋常でないものでも感じたのだろうか。合図があるまで目を開けるなと言われていた五人がそわそわとした動きを見せる。
「どうした? もう開けていいのか?」
「あぁ……はい、うん、もう大丈夫です……。開けてください……」
天衣の問い掛けにどうにか答えたものの立ち上がることは出来ず、崩れ落ちた姿のまま呼吸を整える。
「……ずいぶん消耗してるが……大丈夫なのか?」
「詳しいことは言えませんが、死ぬかと思いました……。あ、でもすみません。扉、開けられなかったです……」
気遣う御剣に申しなさそうに返答し、未だ立ち塞がる扉を悲しげに見上げる。しかし穴の前に屈んだ奈良橋が目を輝かせ、ごく小さな声とともに五人を手招いた。
「扉は開かなかったけど、すぐそこに来てる。どうやったんだ?」
促されて覗き見れば、確かに割れ目から小さな黒い前足がなにかを探すように伸びている。
「猫キノコ……だと……!」
「これがニャーくんの前足か!」
小さな前足がぴこぴこと動く様子に感動している天衣と桜庭を余所目に、御剣がふむと考え込む。
「これだけ近いなら食い物かオモチャで釣れそうだな。なにか持ってる奴、いるか? 俺はぬるい脱脂粉乳なら持ってきた」
「猫ミルクとちくわならある!」
「私もちくわだ」
元気よく挙手する奈良橋と、懐に手を入れた天衣がそれぞれ持参品を掲げる。その品々の臭いを嗅ぎ、桜庭が自信満々に胸を張った。
「よしっ、おいしそうな匂いがするし、穴の近くにちくわを置いて少し離れよう! ニャーくんが出てきたら、そこからまたちょっと離れたところにミルクを置いて誘導する! で、折を見て確保!」
かくして、その通りにちくわとミルクが配置された。
そろりと顔を覗かせた黒い子猫は、つぶらな眼をぱちぱちと瞬いて辺りを見回す。大きな耳がぴこぴこと動くたびに女子が声にならない歓声をあげかけていたが、そんなことなど気にも留めず、猫はちくわに鼻を近付けて興味深そうに匂いを嗅いでいた。
小さな舌を出し、ぺろぺろと舐める。一度はそのまま咥えようとしてみたものの、やはりまだ塩気がきつく感じたのか、やがて子猫はミルクへと引き寄せられておいしそうに飲み始めた。
小さな体はすっかり扉の外へと出て、地下室に戻る気配は窺えない。
「こんなに小さな子だったんですね……!」
屋敷野の口から、我慢しきれずに感嘆の言葉が漏れる。もはやこの小さな子猫に飛び掛かられたことなど記憶の彼方に消えてしまったように、今はただその愛らしさを堪能するばかりだった。
その横で、御剣が持参していた脱脂粉乳を水筒のカップ部分に注ぐ。
「桜庭、指」
「ん? つけるのか?」
促されるまま、ぬるいミルクに指を浸す。それを一体どうすればいいのだろうかと桜庭が首を傾げていると、御剣は彼女を屈ませ、濡れた指を子猫へと近付けさせた。
それを、子猫は躊躇なく舐めあげる。
「ふぉお!?」
あまりの衝撃に思いがけず奇声を発するものの、子猫が怯えるかもしれないと思い直して咄嗟に口を噤む。そのまま静かに指を舐め続ける子猫を一同は息を殺して見つめた。
やがて嬉しげに尻尾の先を動かして見上げる小さな目に、女子はこぞってミルクを指につけ始める。
「私もやる……! なんだその発想は。天才か君達は……!」
「俺も、俺もやる!」
「ずるいです、私もやりますー!」
小声でありながらもわいわいと騒がしさを増す面々を尻目に、桜庭はどこか恍惚とした表情で指に残るざらついた感覚に浸って呆けていた。
「……刀くん」
「なんだ」
「褒めてつかわす……」
「はいはい、ありがたき幸せ」
御剣がそう返事をして、それなりに時間が過ぎた頃。
存分に遊び、空腹も解消されて睡魔がやってきたのか、子猫の体がふわふわと柔らかく左右に揺らぎ始めていた。
「そろそろ眠くなったみたいだな」
「校長室、連れて帰ってあげましょうか」
奈良橋と屋敷野がひそひそと囁けば、桜庭が待ってましたとばかりに毛布を取り出して子猫を包む。柔らかなその感触が気に入ったのか大人しく抱き上げられた黒い毛玉は、ほどなくして小さな瞼を閉じ、静かに腹部を上下させた。
「猫、ほしいなー。里親にしてもらえないかなー」
「校長先生に聞いてみたらいいですよー。えーっと、黒い子を確保……っと」
滑るように携帯を操作する屋敷野の手元を覗き込み、天衣が首を傾ぐ。
「メールか?」
「はい! 生物部員のみんなと分担して子猫捜索に当たってるんです。で、こちらでの確保情報をほかの部員に連絡していたわけです」
「そうか。他の兄弟達も、無事に見つかるといいな」
子猫を起こさないようにと細心の注意を払って階段を上がっていく桜庭達の後ろで、くすくすと楽しげに笑いが漏れる。やがて一階との踊り場に差し掛かる頃、送信完了を伝えるメッセージが携帯画面に表示されていた。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2012年11月28日
参加申し込みの期限
2012年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2012年12月05日 11時00分
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