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子猫にリボンを!
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本棚を移動させるための作業は順調に進んでいた。
上段にある本は男子が下ろし、後ろで女子が受け取って綺麗に整頓する。
「すごいねー。校長先生、こんな難しい本を読んでるんだー!」
「あの校長のことだし、置いてあるだけじゃないか? ほら、これとかあの人が絶対に読みそうにない本もあるし」
「……あー、うん。確かに」
古めかしい本の数々を眺めて関心に頬を紅潮させる椿の後ろで、逆巻が経営戦略概論と書かれた比較的新しい本を手渡す。その表題に反論すらも出来ず苦笑を見せると、隣からくすくすと笑いが漏れた。
「それでもなんだか可愛らしい方だなと思ってしまうのは、やはり校長先生のお人柄なんでしょうね」
目を細めての常葉の言葉に、女子からは同意の言葉が返る。
代わって男子からは、女子の言う可愛いの基準がよく分からないとの反論が上がった。
それを皮切りとして、女子と男子で可愛いものに関する小さな質問合戦が始まる。
「じゃあ女子の中でさぁ、クマのぬいぐるみと校長先生の可愛さって同じなの?」
「あー、ちょっと似てるかもー」
「似てるんだ……」
「じゃあツチノコはどうなんだ?」
「ツチノコ?」
「思い浮かんだ絵のまま考えてくれればいいんだけど、研究者の話じゃ、蛇のくせにとぐろが巻けないからって尻尾の先に顎を乗せて寝るらしいんだ」
「え! なにそれ可愛い!」
「うーん……やっぱり女子の言う可愛いって理解出来ないな……」
もはや誰が話を振って、誰が答えているかも分からないまま和気藹々とした作業は進んでいった。
その蚊帳の外で、会話が進むごとに量産されるクッキーを頬張っていた矢吹が手を振る。
「みんなー、疲れたらクッキーつまみに来いよー! これ、すっげー美味いぞー!」
「にょー! 千春ってば、褒めてもクッキーしか出ないよー?」
「バッカだなークッキー。出してもらいたいから言ってるに決まってるじゃーん」
「あははー、だよねー!」
キャラキャラと笑い合う二人の様子を、残りの面々は何とも言えない思いで注視する。
「……気が合ったみたいね」
橘が呟けば、猫島がいいなぁとこぼした。
「子猫救出のために力を惜しむつもりはないけど、あのお茶会状態もちょっと羨ましいよなぁ」
それでも休むことなく、作業は早々に終わりを迎える。
山をなした書籍は壁際へと積み上げられ、本棚を動かす役の多喜と滝原以外は邪魔にならぬようにと机側に集まっている。
そろそろ挟まっていることに危機感を感じ始めたのか、子猫が頻繁に鳴くようになった頃だった。
「そっち大丈夫か?」
「うん、じゃあいくよー。いっせーのーでっ!」
合図とともに、本棚が大きく動く。
机側に退避していながらもやはり子猫が心配で隙間を覗き込んでいた数人が、思わず息を呑んだ。
観衆が見守る中、ようやくブチ猫が歩き出る。
異常がないか心配して見守る面々を見上げ、ミャーと元気な声が響いた。
暗い中ではよく分からなかったが、額の大きな黒い丸が特徴的なブチ模様だ。
「出た!」
「ブチさん!」
思わず、橘と矢吹が歓喜の声を上げる。
「おいで子猫ちゃん。待たせてごめんね」
チッチッと舌を鳴らして、レナが招き寄せる。しかし尻尾を立てて嬉しそうに歩く姿の違和感に、ようやくろっこんの効果が切れた天馬があれと首を傾いだ。
「にょ? ねぇ、この子……」
言わんとする言葉に、常葉が気付いて痛ましげに眉間を寄せる。
「大変。後ろ足を引きずっています」
「ちょっと見せて。……あぁ、本棚の裏側にささくれでもあったかな。少し血が出てる。舐めたくても舐められなかったんだろうな」
逆巻が子猫を抱き上げ、よく我慢したなと労りの言葉とともに小さな頭を撫でる。その手の中を覗き込み、猫島が悩ましげに低く唸った。
「この場合は保健室かな? でも、薬を舐めちゃったらいけないし、包帯をしてもきっとほどいちゃうだろうし……」
確かに、保健医と言っても獣医なわけではない。人間用の薬が子猫の体質に合うかどうかの判別はここでつくわけもなかったが、獣医に連れて行くにしろ、せめて応急処置くらいはしてやりたいと誰もが頭をひねった。
その中で、黒依だけが一歩進み出る。
「私ならこの傷、治してあげられるわ。逆巻くん……だったかしら。ちょっと机の上に下ろしてあげてくれる? ……大丈夫よ子猫さん。すぐ、痛いのなくなるからね」
卓上に下ろされた子猫に優しく言葉をかけ、自身の左手に巻かれた包帯を少し緩める。厚めに巻かれていたその下からは七芒星と、それを囲むようにヤドリギが彫られていた。
そして、上着のポケットから安全ピンを取り出すと、迷うことなく人差し指に突き刺す。
「わっ!?」
誰かの驚きの声に動じることなく、ぷっくりと赤く膨らんでくる血を子猫の傷口に垂らし。
緩めた包帯の下から覗く刺青に口づけ、美しい声で音を紡いだ。
「やんちゃな子猫 可愛い子猫
ふわり ふわりの もふもふ~
赤い雫に 願うは一つ
いたい いたいの とんでけ~」
歌が終わるとほぼ同時に、子猫の傷が跡形もなく癒える。引きずっていた足の痛みが消えたのを不思議がるようにその場でくるくると回って、やがてその足を舐め始めた猫が嬉しそうに尻尾の先を揺らすのを目に留めると、どよめきにも似た声が溢れた。
「すごいなぁアリーセさん。なんか、女神様って感じのろっこんだ」
多喜の言葉に、黒依の頬が朱に染まる。まさか女神に例えられるとは思ってもいなかったのか、戸惑い気味に顔を伏せた。
そんな様子を気にも留めず、周囲は子猫救出に湧き上がる。
「怪我も治ったし、よかったなぁお前!」
「本当です。万事うまくいって良かっ……くしゅんっ!」
嬉しそうに猫を撫でる猫島に同意を見せた常葉だったが、突然襲ってきたむず痒い感覚にくしゃみをする。これまでは緊張感で気付いていなかったが、よくよく考えてみれば先程から鼻の奥もぐずぐずと気持ちが悪く、視界もなにやらぼやけているようだった。
「あれ。もしかして常葉さん、猫アレルギー?」
「ホントだ! 目も真っ赤だよ!」
「あちゃー、災難だな。ちり紙使うか?」
椿と天馬の言葉に、滝原が憐れみを含んでティッシュを差し出す。しかしその言葉の選択に、イギリス出身のレナが不可思議そうに首を傾いだ。
「ちり紙って?」
疑問符に、橘と多喜が答える。
「ティッシュのことですよ、先輩」
「その言葉、お年寄りがよく使うよねぇ」
「るっせぇな! いいだろ別に!」
からかわれたと感じたのか、滝原の頬が紅潮して照れ隠しに大声を出す。しかしその心情は誰がどう見ても明らかなため、気にするなよとさらに楽しげな返答がされるだけだった。
すっかり親睦が深まってしまった面々を眺め、さてとレナが二回柏手を打つ。
「さぁ、それじゃあ今度は本棚を元に戻しましょ。校長先生もお戻りになる頃だから、きちんとやりましょうね」
先輩の貫録を見せるレナの言葉に、それぞれから元気のいい返事と、または言葉のない動きで同調が返る。
ただ、そわそわと子猫を盗み見ていた橘が遠慮気に手を挙げた。
「先輩。あの、ちょっと提案があるんですけどいいですか?」
発言の最中にも、そのそわそわとした挙動はおさまらない。それをどこか微笑ましく見遣り、レナはどうぞとその先を促した。
提案の許可を得、橘が小さく咳払ってみんなに向き直る。
「えっと、猫を触りたいのはみんな同じよね? で、さっき本を出しているときに思ったんだけど、これだけの人数が一度に本を出したり片付けたりするってなかなか無理があるなと思ったの。だから二組に分かれて、本棚を半分ずつ片付けるというのはどうかしら」
「半分ずつ?」
「そう。一組が本棚を片付けている間は、もう一組は猫が危ない所に行かないように管理するのよ。これなら、みんな平等に猫と触れ合えるんじゃない?」
疑問にも簡潔に答え、しかしやはり目はちらちらと子猫へと注がれる。
つまりは橘も長く猫と触れ合いたいのだと汲み取り、誰ともなく賛成の流れへと至った。
猫を中心において、全員が円形に並ぶ。
「二組に分かれると言ったら、まぁ無難に【ぐっぱーにゃ】だよね」
わくわくと高鳴る胸を体現するように、体を揺らして椿がにんまりと笑む。
じゃんけんのグーとパーだけを出して組み分ける言葉は地域によって差異があれども、ここ寝子島では【ぐっぱーにゃ】と言っているようだった。
「11人だし、まずは5人と6人になるまでやるぞー! で、最後に代表がじゃんけんして、勝ったほうが先に猫の管理! いいなー!」
元気のあり余った様子で、矢吹がぶんぶんと腕を振り回す。そして心の準備が整った頃、全員の声が見事に揃った。
「せーの、ぐっぱーにゃ!!」
「きゃうわー! 近くで見るとホントにふわふわー!」
目がハートにならん勢いで黄色い声を上げたのは椿だった。
猫を囲むように座った人数は六人。
椿、逆巻、猫島、常葉、滝原、天馬がわいわいと和やかに猫を眺めているところだった。
先に猫と戯れる権利を賭けた最後のじゃんけん。
栄光のチョキを掲げて胸を張った滝原と、悔恨のパーを凝視したまま崩れ落ちた橘の姿も記憶に新しいところだった。
「基本的には眺めてるだけにしようね。必要以上に触ったりすると、この子が疲れちゃうから。にゃー、そうだよにゃー」
遠慮のない様子で手の上を歩いていく子猫を眺め、猫島が緩んだ顔で話しかける。しかしそれもこの可愛らしさの前では仕方のないものとして、誰一人それを笑うことはなかった。
「それにしてもいい子だな。ちゃんとみんなを確認してる」
すんすんと鼻をひくつかせ、指先の匂いを嗅ぐ様子に逆巻の目が細まる。それに、常葉もティッシュで鼻を押さえながら同意した。
「残念ながら触れませんけど、本当にいい子で可愛いでふね」
鼻詰まりのためか最後の最後で発音が曖昧になってしまったことに慌てて恥じ入り、口を押える。ただアレルギーであることが明白なためか、それとも猫に気を取られているのか、気にする素振りも窺えなかった。
その最たる人物が、滝原だった。
「いや。もうこれ可愛いとかいうレベルじゃねぇだろ。兵器だよ兵器。地球上の全員が子猫飼ったら世界平和がくる最終兵器。ふぉわ! 頬擦りされた! 殺す気かお前! 地球を征服しても誰も文句言わないレベルに一瞬で登り詰めたぞ!?」
最初はぶつぶつと独り言のように呟いていただけだったが、次第に抑え切れなくなったのか心の中が顕著な言葉として現れる。
もはや周囲など目に入っていない様子の滝原に、天馬、そして様子を見ていた前半片付け組の矢吹がニヤニヤとした表情を浮かべてにじり寄った。
「にょにょ~ん? もしかしてレオン、可愛いものが好きなのかなぁー?」
「っな!!」
「わ、図っ星ー! 赤くなったー!」
囃し立てる二人の言葉に、顔を真っ赤にした滝原が噛みつかんばかりの勢いで反論しようとするも、聞くつもりがないのかきゃっきゃとはしゃいだ様子で逃げ回る。
「千春くん、遊んでないでちゃんと手伝ってよー」
「あう、ごめーん!」
矢吹と同じく前半片付け組に割り振られた多喜に叱責されると、小柄な体は慌てて本の運搬作業に戻る。
これまでの流れを見守っていた逆巻は、思わず呟いた。
「……仲良いな、こいつら」
「うんうん! いいことだよー」
呆れを含んだ口調に気付くことなく、椿がにこやかに同調する。
やがて本棚は無事に半分片付けが終わり、片や名残惜しげに、そして片や水を欲するように子猫の傍のメンバーが入れ替わった。
ふりふりと、柔らかな猫じゃらし型キーチェーンが揺れ動く。
「ほらほら、来いよー来いよー……。ほら来た! ほいっ!」
つぶらな瞳を爛々と輝かせ、尻を振りながら狙いを定めていた子猫が猫じゃらしに飛び掛かる。その鼻先を掠めるようにしてヒョイと取り上げ、矢吹は猫をじゃらしながら、むしろ自身がじゃれているようにはしゃいだ声を上げていた。
その様子をゆったりとした思いで眺め、レナがふふと小さく笑む。
「元気がいいわね。一年生も、子猫ちゃんも」
「一年全員を彼と一緒にされるのもどうかと思いますけど……。って、矢吹さん! そろそろこの子が疲れちゃうわ。ほら、ミルクよ。ゆっくりお飲み」
ネコ語で話しかけたい衝動を必死に押さえつけながら、橘が手の平にミルクを溜めて静かに差し出す。言葉通り少し遊び疲れていたのか、子猫はミルクの匂いを嗅ぎつけるや否や、尻尾を立ててそこに舌をつけた。
ピチャピチャと響く水音とともに掠っていく小さな舌の感触に、橘は普段の仏頂面も忘れて声も出せずに震える。
「うわー、お腹が減ってたんだね、おいしそうに飲んでる。口のまわりがビチャビチャだ」
「でも子猫さんって転がるみたいにして遊ぶのね。寝子島では大きい猫ばかり見かけるから知らなかったわ」
多喜も、そして黒依も癒されきった笑顔でその様子を眺める。ほわわんと和みムード溢れるその空気に、ちょうど片付けを終えた他の面々も、後ろから覗き込んで浸る頃だった。
静かに扉が開き、大きな箱が顔を出す。
「チャオ! 子猫は無事かな?」
「校長先生!?」
ふらふらと揺れるその箱を慌てて支え、天馬がそろりと床に下ろす。すまないねとにこやかな表情を浮かべる校長に、猫島は改めて部屋を見回した。
子猫は未だ橘の手からミルクを飲み続け、動かした本棚も元の位置に収まっている。そして、出された書籍はすべて元あった位置にと戻されていた。
「今、片付けも終わったところです。ブチ猫はそこで給水……いや、給ミルク中ですね」
「そうかそうか、お疲れ様。じゃあ悪いけど、次はこれの組み立てを手伝ってもらえるかな?」
解説に満足げに頷き、次はと持参した箱を軽く叩く。上の開いた段ボールに腕を差し入れれば、今度は可愛らしい写真の印刷された箱が取り出された。
「あら、これって……」
その写真に、黒依を始めとした一同は小さくどよめく。
「キャットタワーだ」
「大きい……。三本柱? これ、ここに置くんですか?」
口々に出される疑問に、そうともと校長は胸を張る。
「生徒達の情操教育にもいいし、どうせならきちんと飼ってやろうじゃないかと思ってね。下にエサ皿も届いてるんだ。いつでも好きな時に会いに来てあげてくれ」
校長直々の飼育宣言と面会許可に、部屋中が沸き立つ。
「……ところで、この組み立て、なかなかに複雑そうなんだ。手伝ってくれると非常にありがたい。なんだかおいしそうなクッキーもあるようだし、これを作り終わったら少しお茶でもしようじゃないか」
笑顔の提案に、しかしその一角で。
「……校長の前ではクッキー出すなよ」
「にょ。分かってるよぉー」
天馬が、逆巻に小声で釘を刺されていた。
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グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2012年11月28日
参加申し込みの期限
2012年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2012年12月05日 11時00分
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