懐かしんでの大宴会！　４月生まれを祝おう！｜リアクション

懐かしんでの大宴会！　４月生まれを祝おう！

【駄菓子と猫の相性は？】

「えっと、昭和ってきいたもんばっかでわかんねーけど話は知ってるし……満喫すりゃいいんだろ！　なめんなよ、てか。……なってっかな？」
「にゃ～！」
　自信の愛猫である猫のトラと一緒に桜井ラッセルは道のど真ん中を堂々と歩いていた。
　二人とも、学ランを着崩したような格好をしており、頭には日の丸のハチマキを巻いている。
　今まさになめんなよと言い出しそうなそのラッセルとトラだが……。
「誕生日おめでとう」
「お、サンキュー！」
　ラッセルの誕生日は四月一二日祝われる立場だ。
　御剣刀から、駄菓子を受取りつつ、おやっ？　と駄菓子を見て立ち止まる。
「色々あるな、こう昭和って感じだよな。こういうの」
　刀の配っている駄菓子を見つつ、そんな感想を漏らす。
「カップにいれてお湯を注ぐラーメンに駄菓子のカツを切って入れてお湯を注いでかつラーメン、とかあったらしい」
「なんだよそれ、すげぇな！」
　昭和というのは遠いもの。今の世代にとっては伝聞という形が多いのか、祖父母から聞いた駄菓子のイメージと重ね合わせるラッセル。
「にゃっ！」
「……その猫には、何をあげようか？」
　すっかりと得意げなトラに対し、刀はどの駄菓子がいいか考える。
　チョコレートは与えてはいけないし、お菓子類は何を与えていいのだろうか……。
　猫が好きな人や、猫を飼っている人は当然、何をあげていいか悪いかは把握しているだろうが、刀はさて、把握しているだろうか？
　悩みつつ、トラと目を合せる刀。
「んにゃう！」
「よ～し、トラにはこいつをやってくれ」
　そんな刀が視線をさ迷わせた駄菓子類の中から、比較的薄味で猫が食べれそうなものを選ぶ。
「どっかに猫用の駄菓子とか販売していたりしてな」
「そうなら、一緒に食べれると、猫を飼う人は特に嬉しいんじゃないかい？」
「おぉ、トラはどう思う？」
「にゃう！」
　元気よく返事をするトラとの刀、ラッセルのやりとりに周囲は和んでいる。
「てか、他にはどんなものがある？」
「後は、ラーメンの麺をスナックにしたものに砕いたえび風の味がするせんべいを入れて一緒に食べたとか……」
　そう言いつつ、駄菓子を食べていくラッセル。
　その間にも、他の四月生まれの生徒たちに駄菓子を配る刀。
　しばしの、会話の後、ふと刀はそっと寝子島高校のこの風景を見つつ言った。
「誕生日、それは生まれてきてくれた事に、今まで生き続けてくれたことに、出会ってくれたことに感謝をする日……というのは臭すぎか？」
「そうでもないさ」
「にゃうにゃう！」
　飼い主と同じように頷いたトラとラッセルを見て、刀はふっと、こういうものもいいなと思った。