懐かしんでの大宴会！　４月生まれを祝おう！｜リアクション

懐かしんでの大宴会！　４月生まれを祝おう！

【ちょっと待って、その発言は大丈夫か？】

　コンコロリン、コンコロリンとさいころが転がる。
　いくつかの机をくっつけて、その上に広がるゲームの数々があった。
「お誕生日、おめでとうございます」
「わ、なにこれ？　ボードゲーム？」
　逆巻天野が寺から持ち出してきた非電源系のゲームに、目を輝かせたのは串田美弥子である。
　実は、彼女は四月二八日生まれだったりする。
「お、ボードゲームか……よぅ！嬢ちゃん！　今日はパンツ何色だ？」
「はぁ？」
　そう言って現れたのは鈍蔵鋼成。思いっきり天野に妙な質問をぶつけている。
「もしかして、鈍蔵先輩はそっちの趣味が……？」
　そう言って後ずさる美弥子。
「ふ、こちとら女に飢えているんだ！　この際だから髪が長けりゃ男も嬢ちゃんでいーよ。弱視だから顔わかんねーよ。間違われたくなかったら、匂い嗅がせろ、覚えるから。ほれ」
　と、思いっきり和服を着ている天野の方に近づく鋼成。
「全力で楽しむぜ！　ハッスルハッスル！！」
「それは、ベクトルが違うだろうが！」
「なんというか、新しい世界が展開されているわ……」
　天野としてはボードゲーム仲間を探したかったのだが、何というか不運であった。
　ちなみに、鋼成が好きなクラッシックカーではないが、車関連のボードゲームは一応出ていると言えば出ている昭和、国内産の昭和のボードゲームを遊んでみると面白い。
　それはさて置き、結局ボードゲームをプレイすることになった三人。
　なんだかんだ言って、ボードゲームは面白かったようだ。

　……さて、ボードゲームが一段落した頃。

「あら、なんか面白いことをやってるわね」
「あ、理事長……と」
「はぁっはぁっ……」
　理事長は八神修が漕ぐ自転車タクシーからひらりと舞い降りると、置いてある様々なボードゲームを見回した。
「辛そうだな、八神」
「な、なんのこれしき」
　気を使って天野が声をかげるが、修は元気を取り繕って去っていった。
「理事長もよかったらやりませんか？」
「あぁ、私はいいのいいの楽しんで？」
　そう言いつつ、そこらへんの屋台から色々ものを購入していく理事長。
「んーどれも美味しそうよね」
　そうやって物色している理事長の後ろから鋼成が声をかける。
「は、そこに綺麗なオネーチャン！　これはもしや若いオネーチャンとお近づきのチャァァアアンス！」
「残念、私よ」
「って理事長かよ！」
　視力はこういう時に感覚を鈍らせるというものなのか……。
「あぁ、またよくわからなくなってきた」
「あ、私はこれで。また遊んでね」
　ため息をつく天野に逃げる美弥子。
「とりあえず、女はしゃべって美味しいお酒よね」
「男は黙ってあのメジャービールだろ！」
　そして、なんだかよくわからないいい合いが始まる。
「未成年なのに、その発言は看過できないわね」
「え、あっ？」
「ちょっとだけよ？　お話あっちでしましょうか？」
「あんたも好きねって違う！　断じて！　違う！　俺は飲んでなどいない」
「無粋ねー女の子と二人っきりを拒否するなんて」
「それは色々と無理が……ぎゃーーーーーーーーーーー！」
　ずるずると、生徒指導室直行コースの鋼成。
「あ、逆巻君、この子ちょっと借りてくわね？」
「……お好きにどうぞ」
　バイクの乗り方教わりたいなと思っていた天野だが、なんだかもういいかなと、そんな気がしていた。
　ちなみに、誤解は解けた。というより、人騒がせなジョークであったという……。
　また、気になる美弥子の格好はどこかのくしゃみをするような芸人がコントでよく使うようなじじくさい格好であった。素敵素敵。