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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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むかしむかしあるところに ～お姫様の願い事～
【信じたいこと】
「──！ 嘘なのだ！ 生きていても騎士として活躍できなくなるなんて、そんなの嘘なのだ！ ……そうだ！ アリーセちゃんに頼めば良いのだ！ ろっこんで治してもらえば良いのだ！！」
志波 高久は、桜崎 巴から届いた解呪の方法を、敢えて一足先に森に行く、後木 真央、小山内 海、桃川 圭花の３人に、彼のろっこん“心の打鐘”によって伝えた。
“心の打鐘”は、対象を指差した後、両拳を胸前で突き合わせることにより、思った言葉を対象に伝えられると言うものだ。
家族を殺した狂騎士を倒す救世主の中に、彼らを救いたいという願いを持つものが圧倒的に多いと分かってしまえばどうなるか。
この後も順次、本に吸い込まれた面子にろっこんでこの事は伝えるつもりでいる。
コルクボードは、既に民衆が目を釘付けにして情報を待ち構えており、新しい情報を今か今かと待ち臨んでいた。
最初は、黒依 アリーセが高久の手伝いとして情報を可能な限り隠す方向で動いてきたが、それももう限界だ。
もう、秘密裏の情報ツールとしても使えない。使えるとしたら、街の人が知っている暗黙の了解じみた聞き取りで直ぐ分かる情報くらいだろう。
秘密裏の情報などをここに貼れば、民衆がどの様な行動を取るか分からないからだ。
せめて確実に使えるとしたら、全員が戻った後の狂騎士を倒す直前。
最後の情報整理の時だけだろう。
「桜崎くんの手紙と共に、北原くんから、王女からの手紙を預かっている。
何かあったのかと心配したが、ただ森への出発が遅れたからこちらに届いただけだったんだな。
内容はフィナンに見せるまで絶対に開けないでくれとの事だ。まあ、封蝋もついているから、開けない方が絶対安全ではあるな」
「ちなみにブレスレットは預かれたのだ？」
「ブレスレットは交渉したが、無理だったそうだ。この危機に、お偉方の考えている事は良く分からん」
「思いの外早く……じゃあ、確かに。預かりました」
見るからに高級そうな封筒と、
「それじゃあ、圭花ちゃん！ 確かに笛を任せたのだ！」
真央からの笛を確かに桃川 圭花が受け取った。
真央も、城に残されたフィナンの私物から匂いを覚えている口輪を付けた探索犬と、普段誰も近づかない森に「入り口までなら……」と馬車の従騎士を手配する事に成功するなど、驚くほどに手際が良い。
「(私も、役に立てるかな……)」
海は、これまでの時間で、本の中の世界地図と、この森の地図を手にしていた。他の二人が頑貼っていると言うのもあったが、何より騎士様とお姫様の物語を幸せにしてあげたいから。
そう言えば、ふと思う。吸い込まれたあの本の結末は一体どんなものだったのだろう。本に触れた瞬間に吸い込まれてしまったから、結末までは見られていない。見られていたなら少しは参考になったかもしれないのに。
「従騎士さんはフィナンさんとは面識があったのだ？」
「無いよ。しかし、誰もが彼の事を知っていた。
彼は全てにおいて、騎士の憧れだったから、ね……」
その後、しばらくして小さな嗚咽が辺りに響いた。
心より尊敬していた騎士が一晩にして殺人鬼と化せば、それは泣くにも匹敵する事柄かも知れなかった。
それ以上、何も言えずに馬車は進んだ。
「迷子にならないように気をつけて。待っているから」
「ええ、気をつけます。ありがとう」
圭花は頷いて、薄暗い森に向かいカンテラの一つに火をつける。
従騎士が、一緒に乗せてきていた探索犬の口輪を外そうとしているのを見て、真央が慌てて待ったを掛けた。
「犬の口輪は外さないでほしいのだ。フィナンさんとお話が出来るなら話したいのだ！」
「危険だっ！ 相手はもう……もう……っ！！」
「まだ希望はあるのだ！」
「魔女の呪いの言葉が本当なら、昼間は彼は日の当たる場所へは出られない……魔女が本当に騎士を憎んでいたのなら、その時の理性は残しておくはず──」
──とっさに……そんな思考が浮かんでしまう自分に嫌だなと思いながらも圭花は続ける。
『わたしも、そうおもう』
しかし、まるでその先の言葉を言わせないように、海はスケッチブックを捲り、急いで文字を記した。
「小山内さん……」
何故そうしたのかは分からない。海は表情を変えない。しかし、それ以上を、海は仲間に言わせたくはなかったのだ。
「さあ！ 出発なのだ！！ 命懸けピクニックなのだ！」
「後木さん、やめよっ！ そういう幸先悪い事を言うのはやめよう！？ ね…っ！！」
『こわい……！』
こうして、各々が泣きそうになりつつ、冗談にならない不安を抱きながら、森の入り口に足を踏み入れた。
「──！ 嘘なのだ！ 生きていても騎士として活躍できなくなるなんて、そんなの嘘なのだ！ ……そうだ！ アリーセちゃんに頼めば良いのだ！ ろっこんで治してもらえば良いのだ！！」
志波 高久は、桜崎 巴から届いた解呪の方法を、敢えて一足先に森に行く、後木 真央、小山内 海、桃川 圭花の３人に、彼のろっこん“心の打鐘”によって伝えた。
“心の打鐘”は、対象を指差した後、両拳を胸前で突き合わせることにより、思った言葉を対象に伝えられると言うものだ。
家族を殺した狂騎士を倒す救世主の中に、彼らを救いたいという願いを持つものが圧倒的に多いと分かってしまえばどうなるか。
この後も順次、本に吸い込まれた面子にろっこんでこの事は伝えるつもりでいる。
コルクボードは、既に民衆が目を釘付けにして情報を待ち構えており、新しい情報を今か今かと待ち臨んでいた。
最初は、黒依 アリーセが高久の手伝いとして情報を可能な限り隠す方向で動いてきたが、それももう限界だ。
もう、秘密裏の情報ツールとしても使えない。使えるとしたら、街の人が知っている暗黙の了解じみた聞き取りで直ぐ分かる情報くらいだろう。
秘密裏の情報などをここに貼れば、民衆がどの様な行動を取るか分からないからだ。
せめて確実に使えるとしたら、全員が戻った後の狂騎士を倒す直前。
最後の情報整理の時だけだろう。
「桜崎くんの手紙と共に、北原くんから、王女からの手紙を預かっている。
何かあったのかと心配したが、ただ森への出発が遅れたからこちらに届いただけだったんだな。
内容はフィナンに見せるまで絶対に開けないでくれとの事だ。まあ、封蝋もついているから、開けない方が絶対安全ではあるな」
「ちなみにブレスレットは預かれたのだ？」
「ブレスレットは交渉したが、無理だったそうだ。この危機に、お偉方の考えている事は良く分からん」
「思いの外早く……じゃあ、確かに。預かりました」
見るからに高級そうな封筒と、
「それじゃあ、圭花ちゃん！ 確かに笛を任せたのだ！」
真央からの笛を確かに桃川 圭花が受け取った。
真央も、城に残されたフィナンの私物から匂いを覚えている口輪を付けた探索犬と、普段誰も近づかない森に「入り口までなら……」と馬車の従騎士を手配する事に成功するなど、驚くほどに手際が良い。
「(私も、役に立てるかな……)」
海は、これまでの時間で、本の中の世界地図と、この森の地図を手にしていた。他の二人が頑貼っていると言うのもあったが、何より騎士様とお姫様の物語を幸せにしてあげたいから。
そう言えば、ふと思う。吸い込まれたあの本の結末は一体どんなものだったのだろう。本に触れた瞬間に吸い込まれてしまったから、結末までは見られていない。見られていたなら少しは参考になったかもしれないのに。
「従騎士さんはフィナンさんとは面識があったのだ？」
「無いよ。しかし、誰もが彼の事を知っていた。
彼は全てにおいて、騎士の憧れだったから、ね……」
その後、しばらくして小さな嗚咽が辺りに響いた。
心より尊敬していた騎士が一晩にして殺人鬼と化せば、それは泣くにも匹敵する事柄かも知れなかった。
それ以上、何も言えずに馬車は進んだ。
「迷子にならないように気をつけて。待っているから」
「ええ、気をつけます。ありがとう」
圭花は頷いて、薄暗い森に向かいカンテラの一つに火をつける。
従騎士が、一緒に乗せてきていた探索犬の口輪を外そうとしているのを見て、真央が慌てて待ったを掛けた。
「犬の口輪は外さないでほしいのだ。フィナンさんとお話が出来るなら話したいのだ！」
「危険だっ！ 相手はもう……もう……っ！！」
「まだ希望はあるのだ！」
「魔女の呪いの言葉が本当なら、昼間は彼は日の当たる場所へは出られない……魔女が本当に騎士を憎んでいたのなら、その時の理性は残しておくはず──」
──とっさに……そんな思考が浮かんでしまう自分に嫌だなと思いながらも圭花は続ける。
『わたしも、そうおもう』
しかし、まるでその先の言葉を言わせないように、海はスケッチブックを捲り、急いで文字を記した。
「小山内さん……」
何故そうしたのかは分からない。海は表情を変えない。しかし、それ以上を、海は仲間に言わせたくはなかったのだ。
「さあ！ 出発なのだ！！ 命懸けピクニックなのだ！」
「後木さん、やめよっ！ そういう幸先悪い事を言うのはやめよう！？ ね…っ！！」
『こわい……！』
こうして、各々が泣きそうになりつつ、冗談にならない不安を抱きながら、森の入り口に足を踏み入れた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年02月19日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年02月26日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年02月26日 11時00分
