とある道に、分厚い1冊の本が落ちていました。
装丁があまりにも豪奢なしっかりとした作りの本。
その本に不思議な事が起こりました。
本は風が吹いていないのにページが次々と捲れていくのです。
そして、とあるページで止まりました。
あなたは恐る恐る本に手を伸ばして、そこに書かれている文字を目にしました。
本には途中のページに歪んだ文字で、一言こう書かれていたのです。
【 助 け て 】
むかしむかし、
あるところに一人の騎士がおりました。
彼は、英雄とまで呼ばれた卓越した槍の使い手でした。
彼は騎士となる為の儀式の時に、こう告げました。
「この身を剣に、この身を盾に、この国を守ることを誓う」
そして、数々の栄光を手にし、英雄となった騎士は、魔法で人心を操り内乱を企てていた魔女の討伐に成功しました。
しかし、魔女は倒れる間際、騎士に呪いを掛けたのです。
「知っているよ。お前は『恋に現を抜かして騎士としての誓いを破ってる』ね。
魔法はそこに付け入る隙を与えるものさ。
この残りの命で、お前に忠誠の裏切りの代価を教えてやろうかね。
是非とも面白い悲喜劇でも見せてもらおうじゃないか…! ケーッケッケッケッケッケ!!」
魔女はその言葉と共にこと切れて。
そこには、『狂騎士』と化して自分の味方に襲い掛かる哀れな男の姿がありました。
狂騎士は何も言わずに、その場で仲間を数人あっという間に屠った後、城の外へと姿を消しました。
それから7日が経過して。
今では、昼は森に隠れ、夜は街に出て遭遇した人を躊躇い無く殺めて去っていくと言いいます。
その報告を聞いた、かつてから恋仲にあるのではないかと噂になっていた、お姫様は泣き崩れて自室に引き篭もってしまいました。
英雄であった彼は国内において最強でありました。この国には彼を倒せる存在はいません。
【 ダ レ カ タ ス ケ テ 】
そんな涙ながらに、ベッドへと泣き伏すお姫様の言葉と共に──
国の人々は、空から降ってきた存在に気がつきました。
この世界に長く語り継がれてきた伝承にはこうありました。
『王国の危機には必ず空から救世主が現れる』
それを元に、この世界の人は切なる思いで、空から現れた存在を心から救世主と呼んだのです……
こんにちは、冬眠と申します。
今回は『たまにはこういった趣向の物語も! むしろ是非書かせて頂けたら!』と、このようにガイドを出させて頂きました。
難易度:難しい (相談必須)
シナリオ内、重体・人死:有り (詳しくは後述)
その為、今回はそれを受け入れられる方。
自PC様が、アクション次第であっさりとサクッとされてしまう可能性が受け入れられる方。
リアクションの後味が悪くなっても、それをエンディングの一つとして気軽に流せる方向けとなっております。
ふざけた要素はありません。
『問題無い!』という猛者の御参加をお待ちしております。今回も冬眠は足りない頭で命懸けでお出迎え致します。
【状況】
1冊の、剣と魔法の世界をテーマにした本に神魂が宿りました。
この国では今、一人の騎士が、倒した魔女の呪いにより狂騎士(バーサーカー)と化して、夜ごと外を歩く人を殺して回ります。
国の人々は、かつて英雄だった狂騎士の退治を待ち焦がれ、空から落ちてきた特殊な能力を持つ部外者(プレイヤー)に助けを求めてきます。
能力者が空から降ってきたという噂は伝書鳩で一気に拡散され、街人からの待遇はいたれりつくせりです。
【目的】
今回のミッションは、狂騎士を『何とかする』ことで、物語を完結させることです。手段はプレイヤー様次第です。
【神魂効果】
本に神魂が宿った結果、波長のあった人、近くにいた人が本を手に取ると、本の中に放り込まれてしまいます。
・外部からは本に一切手を加えることは出来ません。外部干渉によるアクションはカットとなります。ご注意下さい。
・神魂は、上記同様、何かしらの物語として完結したと判断することで解除となります。
また、負傷者が多数出る等、物語として狂騎士に何とかする手段がなくなった時点で、強制的に神魂の効果は解除となります。
【NPC情報】
お姫様エルダ:この国の第三王位継承者。許婚でもない騎士との身分違いの恋心に浸っています。今回の事件より、本人は泣くばかりで部屋から引きこもって出て来ようとしません。
騎士フィナン:この国に対する忠誠深かった騎士。しかし、恋心によりお姫様に国以上の忠誠を誓っている事を魔女に付け入られ一転、狂騎士へ。
昼間は森に隠れ、夜は街に人を殺しに出る日々を繰り返しています。
魔女討伐時に生き残った騎士:事件の現場に居合わせた当事者です。アクションを掛ければ有益な情報が得られるかも知れません。
【舞台】
移動可能な箇所は以下の3箇所となります。
城下街:昼間はまばらに人が通っていますが、夜は出歩く者はいません。
森:昼間から薄暗く、狂騎士が潜んでいると言われています。夜にこの森に入る者もまずいないと言われています。
城:お姫様が引き篭もっています。お姫様も、城の人たちも、空から来た人々には協力的です。
・落ちた先は昼間、城下街と森の中間地点です。矢印のついた大き目の看板があります。
(本に吸い込まれた際、皆同じタイミング・同じ場所に落ちます)
【アクション】
・今回はコメントページによる相談、GAを推奨しております。
一人ひとりの行動の負担を減らすのが、今回の鍵になると思われます。
今回の難易度は『夜の街を一人で歩いたら死にます』位を想定しております。そんなに難しくないかも知れません。
・重体、人死:有りを設定しておりますが、現実に戻れば『何か痛い……』程度で、現実に明確な影響はありません。
【注意事項】
・今回は「これをやりたい!」を是非最優先としてお書き下さい。
複数の大きなアクションは体力を削るものとして、カットではなく『失敗』扱いとなる事がございます。
例)森と城を移動し、情報を集め、夜の決戦に臨む。
→どんどんと体力が無くなり、決戦に敢えなく敗北等
・【GA】の書き忘れにご注意下さい。
片方に書かれていても、もう片方に書かれていなければ、肝心のアクションが採用できない事が御座います。
・日常生活で持ち歩いている道具の持ち込みは可とします。
なお、ある程度のものでしたら住人が用意してくれます。
・この世界では、電波が通じず電子機器の類は一切使えません。
代わりに往復の伝書鳩を一人一回まで使うことが可能です。街の人から、この世界の鳩を呼ぶ笛を預かることが出来ます。
その際には、伝える相手を明記して下さい。
何も書かれていない場合、迷子になり最悪誰にも伝達されない状態となります。
【PL情報】
・騎士フィナンは、お姫様エルダと同じブレスレットを身につけています。しかし、その色はお姫様のものと比べて、くすんで非常に禍々しい雰囲気を漂わせています。
(ブレスレットは、騎士に掛けられた呪いの媒介と化しています)
これらのPL情報は、情報を集めれば容易くPC情報への転換が可能です。
どうぞサンプルアクションも参照に、是非ご参加の程をお待ちしております。