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睡魔と戦え！ リターンズ
【中庭：英語】
中庭の炎天下は、日が暮れ始めてもなお熾烈を極めている。
「先生！ 和訳終わりましたー！」
汗をかきつつも一番で挙手したのは宮祀 智瑜だった。
「この英文、恋愛小説からの引用ですか！？ 先がついつい気になって、さくさく訳が進みました」
「ふふ、楽しそうに辞書を引いていましたね」
島岡先生は赤ペンのフタを外し、採点を始める。
「王子様と普通の女性の、禁断の恋……みたいな？ すごくロマンチックで感動しちゃいました！」
叶いがたい恋愛が進行中の智瑜にとって、共感する部分や得るものがたくさんある内容だった。
「そういえば雪乃先生って恋人いるんですよね？ どうやって出会ったんですか？ 先生からアタックしたんですか！？」
「えー秘密ですよぉ」
「人に言えない恋なんですか！？ すごく年上だとか……もしくは年下！？」
「授業中にそういう話は、止めておきましょう」
「えーそんなこと言わずに教えてくださいよ」
中庭の熱気も相まって、智瑜のテンションはうなぎ上りだ。
鬼崎 あやめも無事に和訳を終えた。
「私は七夕の日に失恋して、その不幸から立ち直れない負け犬だ」
あやめ自身の心の声から始まるその英文は、こんな訳が続くのだった。
「そうじゃないだろう？ お前は弱くない。馬鹿のくせに図太くて計算高い、でも一生懸命に笑顔を振りまいて努力する。その姿が俺の大好きな鬼崎 あやめだ」
（何よ、勝手なこと言って。最低な振り方していなくなったくせに）
「その笑顔で幸せになってくれ。それが俺の望みだから」
（そんな優しい言葉、かけてこないでよ）
振った相手からのメッセージがつづられている英文。それが相手の本心であるかは分からない。もしかしたら自分が作り出した幻想のメッセージかもしれない。しかしそうだとしたら余計にあやめは胸を締め付けられた。
心が悲鳴をあげている。今のままではいけない、立ち直らないといけない。元の、笑顔が自慢の鬼崎 あやめに還らないといけない。
帽子の影で、あやめは３度瞬きをし、たまっていた涙を塞き切った。
（分かったわ、絶対に幸せになってやるんだから）
立ち上がると、恋愛トークで盛り上がっている島岡先生と智瑜の元へ。
「終わりました」
うつむき加減だった顔をあげ、にこりと、得意の笑顔で提出する。
「……うん、２人ともよく訳せています。合格です！」
「やった！ いつもの英語も、恋愛物語の英文ばかりなら面白いのに」
丸をもらったプリントを受け取り、智瑜がつぶやく。
初めて上手に和訳できた達成感に浸っている智瑜に、あやめが尋ねる。
「その、王子と一般女性の恋愛物語は」
一拍置いてから、続けた。
「ハッピーエンドでしたか？」
「それが、超感動なんですよ！ なんと王子様が……」
というタイミングで２人は無事に現実へと帰っていった。
残された２人は机でもんどりうっている。
「無理なのだあああ！ 頭がプシューなのだあああ」
後木 真央のプリントは、もはや汗やら何やらでしわくちゃだ。
「ダメ……エイゴムリ……ヤッパリキライ」
御剣 刀も電源が落ちかかっている。
「そろそろ時間切れですね……先生残念ですが、２人は反省室行きです」
周りをぐるぐる回っていたサンマさんたちが、輪を小さくしながら迫ってくる。
もちろんそう簡単に捕まる２人ではない。
「捕まってたまるかなのだ！ 滅びろサンマさんなのだ！」
近づいて来たサンマさんを容赦なく殴る真央。それが戦闘開始のチャイム。
「結局こうなる運命かよ！」
刀も落ちていた箒を拾い上げ、からめてくるサンマさんの手を払っていく。
「ぐ、しつこいな」
懲りずに攻め入るサンマさん。しかも、サンマさんを退治できたとしても、島岡先生までは……叩くことができない。たとえ睡魔であっても。
そんな刀に、島岡先生（睡魔ver.）がアドバイス。
「御剣君は負けず嫌いですね……自分ひとりの力で乗り越えようとするから、上手くいかないのです。苦手なものなら尚更。友達に協力をお願いしないといけません」
「……た、確かにそうっすね」
思えばいつも誰かを助ける立場に回ろうと、躍起になっていた気がする。友達というのは、辛いときに手を差し伸べあう存在のはずだ。
（そうだ、友達は必要な存在だ！）
それを忘れていた。
「なら真央ちゃんも助けてほしいのだ！ センセー教えてほしいのだ！」
サンマさんにバチャバチャとしがみつかれながらも、プリントを持って島岡先生の元へ駆け寄る。
「後木さんは、他力本願すぎます」
そう言うと、どこから取り出したのかチャッと銃を構えた。
「えぇ！？」
シュパッ。銃口から網が発射され、真央の全身を包む。
「な……動けないのだ！ ていうかサンマさんも一緒に巻き込まれているのだ！ ネットリしてて嫌なのだー！」
「安心しな。海水じゃなくてこれは汗だぜ」
「余計にいやなのだー！！」
サンマさんごと、他のサンマさんに運ばれていく真央。
「御剣君も、抵抗はやめましょう」
「オーケー。降参だ」
箒を捨て、手を上げる。
「今回教えられたこと、教訓にします」
宮祀 智瑜＆鬼崎 あやめ
対決結果：勝ち 英語の点数がアップ！
後木 真央＆御剣 刀
対決結果：負け 英語の点数がダウン！
中庭の炎天下は、日が暮れ始めてもなお熾烈を極めている。
「先生！ 和訳終わりましたー！」
汗をかきつつも一番で挙手したのは宮祀 智瑜だった。
「この英文、恋愛小説からの引用ですか！？ 先がついつい気になって、さくさく訳が進みました」
「ふふ、楽しそうに辞書を引いていましたね」
島岡先生は赤ペンのフタを外し、採点を始める。
「王子様と普通の女性の、禁断の恋……みたいな？ すごくロマンチックで感動しちゃいました！」
叶いがたい恋愛が進行中の智瑜にとって、共感する部分や得るものがたくさんある内容だった。
「そういえば雪乃先生って恋人いるんですよね？ どうやって出会ったんですか？ 先生からアタックしたんですか！？」
「えー秘密ですよぉ」
「人に言えない恋なんですか！？ すごく年上だとか……もしくは年下！？」
「授業中にそういう話は、止めておきましょう」
「えーそんなこと言わずに教えてくださいよ」
中庭の熱気も相まって、智瑜のテンションはうなぎ上りだ。
鬼崎 あやめも無事に和訳を終えた。
「私は七夕の日に失恋して、その不幸から立ち直れない負け犬だ」
あやめ自身の心の声から始まるその英文は、こんな訳が続くのだった。
「そうじゃないだろう？ お前は弱くない。馬鹿のくせに図太くて計算高い、でも一生懸命に笑顔を振りまいて努力する。その姿が俺の大好きな鬼崎 あやめだ」
（何よ、勝手なこと言って。最低な振り方していなくなったくせに）
「その笑顔で幸せになってくれ。それが俺の望みだから」
（そんな優しい言葉、かけてこないでよ）
振った相手からのメッセージがつづられている英文。それが相手の本心であるかは分からない。もしかしたら自分が作り出した幻想のメッセージかもしれない。しかしそうだとしたら余計にあやめは胸を締め付けられた。
心が悲鳴をあげている。今のままではいけない、立ち直らないといけない。元の、笑顔が自慢の鬼崎 あやめに還らないといけない。
帽子の影で、あやめは３度瞬きをし、たまっていた涙を塞き切った。
（分かったわ、絶対に幸せになってやるんだから）
立ち上がると、恋愛トークで盛り上がっている島岡先生と智瑜の元へ。
「終わりました」
うつむき加減だった顔をあげ、にこりと、得意の笑顔で提出する。
「……うん、２人ともよく訳せています。合格です！」
「やった！ いつもの英語も、恋愛物語の英文ばかりなら面白いのに」
丸をもらったプリントを受け取り、智瑜がつぶやく。
初めて上手に和訳できた達成感に浸っている智瑜に、あやめが尋ねる。
「その、王子と一般女性の恋愛物語は」
一拍置いてから、続けた。
「ハッピーエンドでしたか？」
「それが、超感動なんですよ！ なんと王子様が……」
というタイミングで２人は無事に現実へと帰っていった。
残された２人は机でもんどりうっている。
「無理なのだあああ！ 頭がプシューなのだあああ」
後木 真央のプリントは、もはや汗やら何やらでしわくちゃだ。
「ダメ……エイゴムリ……ヤッパリキライ」
御剣 刀も電源が落ちかかっている。
「そろそろ時間切れですね……先生残念ですが、２人は反省室行きです」
周りをぐるぐる回っていたサンマさんたちが、輪を小さくしながら迫ってくる。
もちろんそう簡単に捕まる２人ではない。
「捕まってたまるかなのだ！ 滅びろサンマさんなのだ！」
近づいて来たサンマさんを容赦なく殴る真央。それが戦闘開始のチャイム。
「結局こうなる運命かよ！」
刀も落ちていた箒を拾い上げ、からめてくるサンマさんの手を払っていく。
「ぐ、しつこいな」
懲りずに攻め入るサンマさん。しかも、サンマさんを退治できたとしても、島岡先生までは……叩くことができない。たとえ睡魔であっても。
そんな刀に、島岡先生（睡魔ver.）がアドバイス。
「御剣君は負けず嫌いですね……自分ひとりの力で乗り越えようとするから、上手くいかないのです。苦手なものなら尚更。友達に協力をお願いしないといけません」
「……た、確かにそうっすね」
思えばいつも誰かを助ける立場に回ろうと、躍起になっていた気がする。友達というのは、辛いときに手を差し伸べあう存在のはずだ。
（そうだ、友達は必要な存在だ！）
それを忘れていた。
「なら真央ちゃんも助けてほしいのだ！ センセー教えてほしいのだ！」
サンマさんにバチャバチャとしがみつかれながらも、プリントを持って島岡先生の元へ駆け寄る。
「後木さんは、他力本願すぎます」
そう言うと、どこから取り出したのかチャッと銃を構えた。
「えぇ！？」
シュパッ。銃口から網が発射され、真央の全身を包む。
「な……動けないのだ！ ていうかサンマさんも一緒に巻き込まれているのだ！ ネットリしてて嫌なのだー！」
「安心しな。海水じゃなくてこれは汗だぜ」
「余計にいやなのだー！！」
サンマさんごと、他のサンマさんに運ばれていく真央。
「御剣君も、抵抗はやめましょう」
「オーケー。降参だ」
箒を捨て、手を上げる。
「今回教えられたこと、教訓にします」
宮祀 智瑜＆鬼崎 あやめ
対決結果：勝ち 英語の点数がアップ！
後木 真央＆御剣 刀
対決結果：負け 英語の点数がダウン！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2014年02月12日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年02月19日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年02月19日 11時00分
