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ひまわり畑でさよならを
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◆さよならの歌を◆
篠崎 響也
は、ぼんやりと居間の天井を見つめていた。
俺は何をしていたんだっけ……妙に両腕が軽いような気がする。
視線を落とす。
そこにあるのは、いつもと変わらず繊細な細い指。けれど何かが物足りなくて、落ち着かない……。
「おかえり、響也。帰ってたのね」
「……ああ、ただいま」
ふいに台所から出てきた母を見て、響也は身を硬くした。優しい声色、暖かい雰囲気。
それなのに、何故か戸惑ってしまう。
「どうしたの、熱でもあるのかしら?」
額にあてがわれた母の手は、水仕事をしていたのか、ひんやり心地いい。
「あ、いや。何でもない! ぼーっとしてただけだから」
「そう? 疲れているのかしら、少し横になるといいわ」
「ありがとう」
言われるままに、深い色合いのソファに身を沈めて、目で無意識にピアノを捉える。
「夕飯、出来たら声を掛けるから」
「……あ、うん」
響也は息を吐いた。
続いて、
雨寺 凛
が元気良く帰宅した。
凜は、長い黒髪が素晴らしく美しい、快活な少女だ。
誕生日に
父からプレゼントされた宝物のギター
が入ったケースを背負っている。
「おかえり、凛」
「ママ、ただいまー!」
台所から出てきた母に、凜は明るい笑顔を返す。
「あら、凛。何だか嬉しそうね、いい事でもあったの?」
「うん! だって、大好きなママと一緒だもん! 嬉しいなあ♪」
「まあ、この子ったら」
満面の笑みを浮かべる母の肩に、凛はおでこをくっつける。
「凛はいくつになっても、甘えん坊さんね」
そう言いながらも、母は本当に嬉しそうで、凛も「えへへ♪」とはにかんだ。
三人でテーブルを囲む夕餉。
「わあ、美味し~い! 私、ママのハンバーグ大好き♪ ねえ、響也? 今日のごはんも、美味しいね」
凛が明るく話を振ってくるのに、響也は曖昧に頷く。
凛はちょっと、ムクれて見せた。
「……な、なんだよ、凛?」
「今日のハンバーグ……私もママに教えてもらって、一緒に作ったんだよ」
ねー、と仲良し母娘は声を合わせる。
「あ、どうりで不恰好だと思った」
「なにそれ、ひどーい!」
凛が身を乗り出して、響也の髪をかき混ぜる。
「わ、よせ! 悪かったよ、冗談だから」
動揺しながらも、決して悪い気分じゃない。
響也が漏らした苦笑に、母娘は顔を見合わせて、笑った。
「ねぇねぇ! 今日はママと一緒に、合奏したいんだ! 私、ギターすっごく、うまくなったんだよ! 丁度ピアノもあるし、ママのピアノと私のギターで、何か演奏してみようよ!」
夕食後、凛がそう切り出した。
「曲はママも私もわかる、童謡がいいかな? えへへ、どんな曲になるか楽しみ♪」
ケースからギターを取り出し、構えてみせる凛だったが、母は困ったように頬に手を当てた。
「母さん楽器は、てんで弾けないのよ」
「え?」
母は言う。
ピアノは憧れだったけど、自分には弾けないから、娘に習わせたかったのだと。
「凛、俺が弾くよ」
響也が代わりに、名乗りを上げた。
上手く説明できない もどかしい感情がわだかまり、気分転換をしたかった所だ。
「いいわね、響也のピアノ。母さん、聞きたいわ」
嬉しそうな母に、凛もこくりと頷く。
響也は椅子に腰掛けると、鍵盤に指を落とした。
――えっ!?
即座に、子供達は目を見開いた。
ピアノは酷く音が狂い、長い間 放置されていた事は、明白だった。
「え? 何、この音? なんで!? すごい歪んでる!?」
凛の動揺も、無理は無い。
「い、嫌っ、待って、この音は違う! 違うの!!」
ピアノに直接触れた響也の動揺は、凛よりもっと凄まじかった。
「しかもこれ……!」
音も鍵盤も、重くて鈍い。
弾きこなされたピアノが持つ、軽やかさがない。
有り得ない……!
「2人とも、ピアノがどうかしたの?」
「だって、変だろ? 気付かない……?」
きょとんとする母に、響也の疑惑は確信へと変わった。
響也の母は、ピアニストだ。
何をおいても音楽を優先し、強い誇りを持っていた。
家にある、愛用のピアノの音が狂っているなんて、有り得ない事だった。
響也の指が、一音一音、確かめるように鍵盤に指を置く。
そう、そうだ
この人が、俺の母親なんて事、あるはずない
こんな暖かい家庭なんて、俺には存在しない
夢だとしても、ここはひどく優しい
でも目覚めなければ
これは夢、なのだから――
――現実に戻らなければ
「待って、奏でたかったのは、こんなアンサンブルじゃない……!」
頭を振る凛に、響也は「雨寺」と呼びかける。
我に返った凛の視線を、真っ直ぐに受け止める。
「……響也、くん?」
……あれ、響也くんと私って、姉弟だっけ?
それに、私のママって……もっと違った雰囲気だったような……?
凛は改めて、母を見つめた。少し鼻の奥がツンとした。
――なんでだろう、違うと分かったけど……切ない……もっとこのママとも、一緒に居たい
目を伏せると、凛は母に寄り添って、ぎゅっと抱きしめた。
「凛?」
「えへへ、あったかいなぁ、ずっとこうしてたいな……」
「おかしな子ね、母さんいつでも、凛の傍にいるじゃない」
母の手が、凛の手に重ねられる。
「……ゴメンね……私、お別れしなきゃいけないの……。私にはもう一人、お家で私のことを思ってくれる、大切なママが居るから……」
凛は母から、身を離した。
戸惑う母に、凛はとびきりの笑顔を向けた。
「最後に私の歌を贈るよ……幻の娘だけど、思い出に、この歌を心に刻んでおいて……!」
心を込めて歌うバラード。
ギターの音色を、ピアノの使える音を組み立てて、響也が控えめに追い掛ける。
零れる涙もそのままに、凛は別れのバラードを歌い上げた。
ありがとう、大事にしてくれて
ありがとう、お料理教えてくれて
ありがとう、たくさんの笑顔をくれて
ありがとう、私のママになってくれて
「さよなら」
最後の言葉を、響也が紡いで――世界が歪む。
真っ暗な、ひまわり畑。
「ねえ、響也くん。あっちのママ、私達と居て楽しかったかな?」
「多分」
「そうだよね? きっとそうだよ……私も、楽しかったよ!」
手を取り合って目を覚ました、
ジャンヌ・クローデル
と
詠坂 紫蓮
も、言葉を交し合っていた。
「ねえ、ジャンヌ。手品……教えてくれるかな」
「うん……『紫蓮』は」
「ふふ、そうそう。『おねーちゃん』だからね」
約束と笑う紫蓮に、ジャンヌも淡い笑みを返す。
「久しぶりに、いい夢が見れたよ」
「良かった」
「御婆さんが無事に起きたら、向日葵を摘んで帰ろ?」
「うん」
「いつまでも、枯れない花があればいいのにね……」
「何だか、この人、老けたような……? 風景も大分、霞んできたみたい」
夢を念写していた、
波多野 白露
が首を傾げた。
「もういいよね?」
「あ、ちょっと!」
未央が白露からスケッチブックを奪うと、念写された頁を切り離す。ぼやけたものもあるが、進呈用と保存用で2枚ずつ念写された紙の枚数は、かなりのものだ。
「何するの!?」
「これは処分します」
不満げな白露に、薄くなったスケッチブックを返すと、未央は没収した紙を折り畳んだ。
「せっかく写したのに」
「他人に自分の心を勝手に覗かれて、気持ち悪く思わない人間は居ないと思うよ」
「……ふうん、そういうものなの?」
「普通はそうだよ。だから君も、見た事は忘れて」
「犬飼? お前、本土に居たんじゃ……!」
やり取りに気付いた響也が、声を上げた。
「やあ、響也くん……ちょっと待って」
未央は歩いていって、少し離れた場所で紫煙を燻らせていた、
ジニー・劉
に何事か話していた。
「すみません、止められなくて。忘れますので」
「そうしてくれ」
ジニーは渋い顔で懐からライターを出し、紙に火をつけた。
その間、響也は老婆のために警察に連絡を入れた。
どうやら徘徊していたようで、すぐ行くと言われ、ひとまず安心する。
「ごめん、ありがとう」
「いや……ルクスも久しぶりだな」
戻って来た未央の足元の犬を、響也が撫でる。
「この子、ルクスと言うんですか?」
宮祀 智瑜
も響也を真似て、ルクスを撫でる。
被毛が冷たく不思議に思ったが、尾を振っているので気にしなかった。
「あの、ありがとうございます」
智瑜は、未央とルクスに言う。
「はい?」
「私、お母さんって呼んだの、久しぶりで……懐かしくて、嬉しかったから」
「……」
眠る老婆の手を重ね、智瑜は耳元でそっと呟く。
「お母さん、ありがとう」
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担当ゲームマスター
メシータ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
コメディ
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月20日
参加申し込みの期限
2014年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月27日 11時00分
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