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ひまわり畑でさよならを
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◆小さな太陽◆
「おはよう、刀。下りてらっしゃい、兄さん達も待ってるわよ」
明るく、母が呼ぶ声がする。
「わかった、今行くよ」
御剣 刀
はカーテンを開いた、いっぱいに光が降り注ぐ。
気持ちのいい、爽やかな朝だ。
けれど見下ろす町並みに、言いようの無い不安を感じて……。
なんだっけ? 何か、忘れている気がするけれど……
喉のそこまで出かけている言葉を、形にする事が出来ずに。
刀は開いたままの唇で、小さな溜息を落とした。
まあいいや。忘れてしまうくらいだから、きっと大した事じゃないのだろう。
必要だったら、そのうち思い出すさ。
「おはよう……母、さん?」
台所に立つ母に、声を掛ける。
「おはよう、どうしたの? そんな顔して」
「いや、何かちょっと、言いづらくて噛んじゃったかなと……」
何故だろう? 慣れない言葉を、無理に言ったような感覚。
ふむ、と気を取り直す。
「今日のご飯は何?」
「今日は納豆に、お味噌汁、それと鮭の塩焼きよ。もうすぐ出来るから、待ってらっしゃい」
「お、やった。冷奴も欲しいな、手伝うよ」
冷蔵庫を開けて、ホウロウのボウルに浮かんだ豆腐を取り出して、生姜を摩り下ろす。
「あら、兄さん達と座ってていいのよ?」
「大丈夫、いつもやってるからさ」
笑顔で答えた刀の手元が、一寸止まる。
……あれ、いつも? ご飯はいつも母さんが、用意してくれているのに
「ありがとう。大葉もあるといいわね、直行!」
母が長男の
淡島 直行
に、呼びかける。
「うん? 何だい、母さん」
「悪いけど、庭の大葉を採って来てくれる?」
「いいよ、何枚?」
サンダルを履いて、直行は庭を見渡す。青々と茂った紫蘇がすぐに見つかった。
「これでいいかい?」
戻ってきた直行の、ハネまくりの頭を見て、刀は噴出した。
「直行兄さん、凄い寝癖だな」
「う……」
ばつが悪そうに髪を撫で付ける直行に、「後で蒸しタオルを用意しましょうね」と母は言う。
「さあ、源一も運ぶのを手伝って頂戴」
「あ、ああ。任せてくれ」
居間で呆然としていた次男の
伊織 源一
は、長身の直行より更に大柄で、見上げんばかりだ。
平均に近い刀などは、子供に見えてしまう。
三人が母を囲んで、さして広くない台所に入ると、一気に狭くなる。
頼もしい限りの三兄弟。
食べ盛りの息子達のために、どんぶりと見紛うばかりの大きな茶碗に、母がご飯をよそってくれる。
「母さん、俺はそんなに食わないって! 刀や源一と一緒にしないでくれよ」
「あらそう?」
「兄さん。食べ物を粗末にするのは、良くないぞ……」
生真面目に源一が呟けば、「要らないなら、俺がもらうぜ!」にやりと刀がまぜっかえす。
「誰も要らないなんて、言ってないだろ。ていうか、刀は食いすぎなんだよ!」
直行が手を伸ばして、刀の髪をかき混ぜて応戦し、源一はぶつからないよう味噌汁の乗った盆を高く上げた。
「おい、危ないぞ」
源一の眉が僅かに持ち上がるのを見て、刀は直行の脇を小突く。
「ほら。直行兄さんのせいで、源一兄さんに叱られたろ?」
「……あ、いや、別に怒っては」
「なに~、元はと言えば刀が!」
「……」
「ふふ、三人とも席に着いて。ご飯にしましょう? お腹が一杯になれば、喧嘩なんてしたくなくなるわよ」
「「はーい」」
三兄弟と母が囲む食卓は、男兄弟ゆえ会話こそ少ないが、別の意味で賑やかで。
源一は黙々と箸を動かしながら、時々、目を上げて自分の兄弟と、楽しそうに見守る母の姿を見つめた。
母さんと食卓につくと、懐かしくて、とても温かい気持ちになるな
こんな当たり前の毎日が続くといいな。
今を確かに幸せと実感出来る程、不幸だったとは思わないのに。
それがどうしてなのか、考える事を脳は拒絶する。
「ご馳走様、母さん美味しかったよ。いつもありがとう」
刀の声で、源一は『現実』に引き戻される。
「ご馳走様」
「うん、美味かったよ。母さん」
茶碗を下げながら、直行も労った。
「いいのよ置いといて、母さんがやるから」
「「いいからいいから」」
直行が目配せし、母が手に取ろうとした茶碗を、刀が端から器用に浚っていく。
「じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら、ありがとうね」
「母さんは、こちらへ座って」
息の合った兄弟達を尻目に、源一は母を椅子に座らせると、自分より遙かに細い肩を揉む。
無骨な手からは想像出来ない程、力は加減されていた。
「あら、上手。源一ったら、何時の間に肩揉みがうまくなったの?」
何気ない、母の一言。
しかしそれが、源一の記憶を呼び覚ます引き金となった。
「そうだわ、あなたまた大きくなったみたいだし、採寸しましょうね。もうその服も窮屈でしょう? 母さん、新しい服を作ってあげる」
「……」
思い出してしまった。
源一に、柔道整復の技術を伝えてくれた、唯一の肉親を。
じきに米寿を迎える祖父を、一人にするわけにはいかない。
それに。
これ以上、此処に居れば、この家から離れられなくなってしまう……
名残惜しくないと言えば、嘘になる。
だが、もう行かなくては。
「母さん」
ゆっくりと手を離した源一は、訝しげに見上げた母に、深く深く頭を下げた。
「お世話になりました」
「あれ、源一兄さんは?」
寡黙な源一だが、居ないとなると気になるものだ。
刀は、不思議に思った。そんな息子の手荷物を目敏く見つけて、母が問う。
「刀、どこか行くの?」
「ん? ああ、今日は学校休みだし、剣術の練習にいこうかなって。あいつは空いてるかな」
……あいつ? あれ、俺は誰と一緒に練習してたんだっけ?
良く通る凛とした声が、思い出せそうで、思い出せない。
いつの間にか開いた心の穴に、刀は ようやく気付いた。
「ね、ねえ、刀。一日くらい練習を休んで、一緒に過ごさない?」
「いやそれは出来ないよ。もっと練習しないと、俺の目標は達成出来ない。祖父さんが死んだ時に誓ったんだ、だから俺は独りでも、独り――……!」
そうだ、俺は独りで寝子島に来たんだ、母さんが居るわけないんだ
だって母さんは、俺にサヨナラって言ったんだから
刀は母に、向き直る。
「ごめんなさい。ここは俺の居場所じゃないから……さようなら」
暗いひまわり畑で、目を覚ます。
思いもよらず冷えた自身の体に、老婆の体調を心配したが、吉江には すでに薄手のコートが掛けられていた。
それが情報屋の
ジニー・劉
のものだと知ったのは、後の事。
先に目覚めた源一が、自分に母親の温もりを教えてくれた老婆に、低く礼の言葉を呟く。
随分と小さくなったように感じる その姿に、精一杯の感謝を込めて。
耳にした刀は、言葉に詰まった。
自覚せざるを得ない。
夢の中で抱いた安らぎや、穏やかな気持ち。夢から覚めた後に感じる寂しさ。
俺は親が居なくて、寂しいのか?
別れは夢の中で告げた。
わざわざ言う事じゃない、が……それでも言っておこう。
「ありがとう、母さん」
家の中は、一気にがらんとしてしまった。
庭を臨んだ廊下に座り、寂しそうな後姿を、残った直行は元気付ける。
「母さん、大福をもらったんだ……一緒に食べないかい?」
上げられた顔は、僅かの間に老け込んだ気がして、直行はドキリとした。
「あら、じゃあ、お茶を淹れましょう」
「いいよ、俺が淹れる」
「まあ、何だか随分 年寄り扱いじゃない?」
おどける母に、何も言い返せなかった。
平和な日々が続く。
「こうして一緒に、のんびりお茶飲んで、庭を眺めてると落ち着くよ」
でも少し殺風景かな、と直行は思う。
「庭に花を植えようか、ひまわりとかさ。俺、種を買って来たんだ」
「いいわね、そうしましょう。ぐんぐん伸びるから、育てるのも楽しそうだわ」
二人並んで、庭の日当たりの良いところに、ひまわりの種を蒔く。
「今度、じいちゃんと、ばあちゃんちに行こうか。あそこはすごく、庭が綺麗だからね。母さんにも見せてあげたいな」
……母さん?
ついに直行の心にも、真実の影が伸びた。
あぁ、違うよな……俺が住んでるのは、じいちゃんちなんだ。
本当の母さんには、縁を切られたようなもんだから。
あの時の俺は、どうしようもなくバカで、喧嘩ばっかりしてた。
愚かさに気付かせてくれた人が居たから、今の直行がある。
両親はとっくに、直行を見放しているが。
――最初から、こんな風に接する事が出来てたら、きっと色んな事が変わってたんだろうな。
でも間に合うなら?
チャンスがあるなら、こんな風に母さんと過ごしてみたい。
「母さん」
芽を出した ひまわりが、葉を茂らせていた。
小さな太陽のような花も、じきに咲くだろう。
ふいに立ち上がった直行を、母が訝しむ。
「俺、出掛けて来るよ。喧嘩して、仲違いしちゃった人がいてさ……。うまく行くか分からないけど……母さん、応援してくれるかい?」
「ええ、勿論。母さんは、いつだって直行の味方よ。頑張ってね」
「ありがとう……元気で」
笑顔は、どれ程 不自然に見える事だろう。
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担当ゲームマスター
メシータ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
コメディ
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月20日
参加申し込みの期限
2014年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月27日 11時00分
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