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ひまわり畑でさよならを
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◆幸せな夢とオルゴール◆
まな板の上で、包丁が軽快な音を刻む。
傾き始めた日差しが、窓をオレンジ色に染め上げて、母は時計を確認した。
そろそろ、可愛い二人の娘が帰ってくる頃だろう。
「お母さん、ただいま!」
最初に元気良く飛び込んできたのは、
秋ノ宮 こまち
。
長身で道行く人が振り返るような美しい娘は、母の自慢だ。
「おかえり、こまち。何だか嬉しそうね」
問われれば、こまちは快活な笑みを、その頬に乗せる。
「あのね、今日部活で先生に褒められたの! 『いい仕上がりになってきたな、これなら金賞も夢じゃない』って!」
「まあ、凄いじゃないの!」
「えへ、でしょでしょ?」
「じゃあ、頑張って練習出来るように~……今日の夕飯、何だと思う?」
悪戯っぽく指を立てる母に、こまちは瞬きし、刻まれた食材を見て「あ」と口を開けた。
「ひょっとして、すき焼き?」
「ピンポーン、大正解~!」
「やったー! 楽しみ!」
はしゃぐ こまちの向こうに、台所を見つめたまま、佇む下の娘、
笛吹 音花
を見つけて、母は微笑んだ。
「あら、音花。帰ってたのね」
「あ、た、ただいま……」
「おかえり」
こまちと同じ高校生の音花は、奥ゆかしい内面を表す様に、色白で控え目な印象の少女だった。
「どうしたの、音花? ぼーっとしちゃって。ねえ、聞いて、今日はすき焼きなんですって」
「え……ひょっとして、お母さんが作ってくれたの……?」
狐につままれたような顔の娘に、母は優しく頷き、こまちは笑った。
「音花ったら、そうに決まってるじゃないの」
「あ、そうですよね……私、何変な事を、聞いてるんでしょう」
恥ずかしげに俯く音花に、二人は屈託の無い笑みを見せる。
「本当に変よ、どうしたの?」
「いえ、その……ただ……」
音花は言葉をそこで一旦切って、目を細めて母を見た。
「こんな風に、お母さんが台所に立っている姿が……どうしてでしょう、とても嬉しくて」
胸が温かくて。
「なんだか、幸せだなって……」
夢見心地の音花の肩を、暖かな腕で抱き寄せて、母は満面の笑みを浮かべた。
「私も、とても幸せよ」
「いっただきまーす!」
「いただきます……」
「はい、どうぞ」
三人で食卓を囲む。
卵を溶いて、こまちは ご機嫌で すき焼きを口に運んだ。
あれ……?
こまちの箸が止まった。
向かいでは、どこか遠慮がちに すき焼きを口にした音花が、ふわりと表情を綻ばせている。
どうしてそんなに嬉しそうなの? と、不思議に感じると同時に、その愛らしさに魅入ってしまう。
大好きな、すき焼きなのに。どうして私は……違和感を感じるのかしら?
「……姉さん? 私の顔、何かついてる……?」
自分の動向をじっと見つめる姉に、音花は汚れを気にしている。
「あ、ううん。何もついてないわ、安心して音花。ただ、美味しそうに食べるなぁって思って、ちょっと見蕩れちゃった」
「え……そ、そうですか?」
音花の頬が、みるみる赤く染まる。上目遣いに母を見れば、肯定するように笑みが零れた。
「恥ずかしがらなくてもいいのよ。素直な音花も、とっても魅力的だと母さん思うわ」
まだちょっぴり恥ずかしそうに、けれども安堵して笑う妹に、こまちは憧憬にも似た眼差しを向ける。
「……今日のすき焼きも、最高ね、お母さん」
感じる違和感ごと、こまちは料理を嚥下する。
「本当?」
「ええ、美味しい」
笑顔と共に答えれば。
「良かった。あなた達のために、腕によりをかけて作ったのよ。さあ、二人とも、もっと食べなさい」
嬉しそうな母の顔。
これでいいの、お母さんが笑ってくれれば、私も嬉しい。
食後は、母娘で並んで後片付けをしながら、こまちは母と学校での話をした。
部活の事、勉強の事、そして恋の話。
友達には言い辛い事でも、母には話せた。
「お母さん、お手玉教えて」
こまちの話が終わったのを見計らって、音花は切り出した。
「いいわよ。見てて、ほら、こうしてこう」
小豆の詰まった お手玉は、小気味のいい音を立てて、宙を巡る。それを夢中で目で追って。
「やってごらん」
渡された お手玉は、数を三つに増やした途端に、バラバラと床に落ちた。
「難しい……」
「何事も慣れよ、音花」
こまちが言うのに、母も頷く。
「焦らず、じっくり練習するといいわ。母さんも付き合うから」
「はい」
「そうだ、こうしてる場合じゃないわね。私も部屋に帰って、練習しよう! 頑張って金賞取るんだ!」
「ふふ、あまり根をつめすぎないようにね」
「うん! ありがとう」
「姉さん、凄いですね……」
姉の背中を見送って、音花はふと、居間のピアノに視線を向けた。
何気なく開いて、触ってみれば――それは酷い音がした。
部屋に帰った こまちは、オルゴールの蓋を開けた。
母に貰った、宝物。
嬉しい事があった時は、いつもこれを聞いて、もっと元気を貰った。
よし!
楽器ケースを開けて、ヴァイオリンを取り出して、いざ弾かんとした時――こまちは固まった。
……私、ヴァイオリンなんて弾けたっけ?
オルゴールは静かに旋律を奏でている。
そう、お母さんは……『お母様』は、私が5歳の時に……。
「お母さん、出掛けてくるわ」
ふらふらと傍に来て、幽鬼のように立ち尽くす娘に、母は驚いて顔を上げた。
「出かけるって、こんな時間よ?」
「大丈夫、危ない事はしないから」
「でも」
「……さよなら」
「姉さん、どこへ行くの?」
戸惑い腰を浮かせながらも、音花もずっと気になっていた違和感が、浮き彫りになるのを抑えられなかった。
音の狂ったピアノ。
どうして、ここにピアノがあるの?
――母は音楽が、大嫌いだったはずなのに
瞬間。
音花の中で、幻想がボロボロと崩れて、落ちた。
女手一つで育ててくれた、仕事で不在がちの母。
音花は学校から帰ると、都内の2LDKのマンションで一人きりだった。
食事も渡されたお金で、外食やスーパーのお総菜で、済ましていた。
仕事から帰ってくると、母が気にするのは成績や勉強の事ばかり。
「もう少し頑張れば、○○学校だって狙えるわ」
「次の模試では○位以内に入れるように頑張らないと」
「いい学校に行って、たくさん勉強するのよ」
期待に応えようと、どんなに頑張っても、どんなに勉強しても、次はもっと上、もっと上と繰り返す母。
苦しいなんて思う暇もなかった。
でも、音花は選んだ。
反対を押し切り、芸術科へ進学したのだ。
母の期待を裏切ってでも、やりたいことがあるのだから。
音花は吉江に、向き直る。
「……お母さん……ごめんなさい……さよなら」
現実に戻っても、こまちが胸に抱いたオルゴールは、夢の中と寸分違わぬ音楽を奏で続けていた。
未来
は、父によって決められていた。
現実は、あまりにも夢の中とかけ離れていて、愕然としてしまうけれど。
同じように目を覚ました、音花に苦笑いして見せる。
妹だった少女の顔は、泣いているようにも、笑っているようにも見えた。
――幸せな夢を見せてくれて、ありがとう
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
メシータ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
コメディ
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月20日
参加申し込みの期限
2014年02月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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