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芽森菜々緒の友愛
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【菜々緒の絵を鑑賞しよう】
こちらアトリエ。
殺風景な部屋には、作品とカンバス、機材と椅子という、これまた質素極まりないモノしか存在していない。
そんなことよりも、アトリエから溢れ出る油絵特有の鼻に付く油臭さに、来訪者一同はむせ返る。
「凄い……。美術室でもここまでキツくないわ……」
美術部部長の霧切でさえ言わしめる部屋の油臭さである。
「ああ、換気し忘れてるわね。ちょっと待ってて」
菜々緒は窓を開けて換気を開始。
夏の生温い夜風が部屋の中に満ちてくる。
「すっかり熱くなったわね……」
菜々緒は滲み出る額の汗を拭いながら、皆をアトリエに招き入れた。
「私、溶剤にちょっとこだわりがあって。いつも使っている溶剤は臭いはキツいけど、すごく使いやすいのよ」
「へぇー、どこのメーカーのですかぁ?」
北原は菜々緒の使っている道具の1つ1つが気になるようだ。
「これが……先輩のアトリエなんですね! これ、全部先輩が書いたんですよね!? うわぁ、やっぱり英才教育受けた人のタッチは違うわ!」
溶剤の匂いはまだ抜けていないが、それを忘れてしまうほど霧切は飾られている幾枚の絵に夢中になっていた。
「絵は自由に鑑賞して構わないわ」
菜々緒がそういうので、見学者たちは思い思いに絵を眺め始める。
無言で付いてきた如月も、寝子島の漁港を描いたと思われる絵に引き寄せられた。
(俺はあんたの事はよく知らない。聞けば、どうも有名な画家の娘らしい、本人も才能があるようだ)
菜々緒のタッチは躍動感が特徴のようで、漁港で働く人々の動きや活気がそのままカンバスに乗り移ったような、今にも動き出しそうな一枚だった。
「俺には絵心がないが……、『良い絵』だというのは漠然として分かる。だが……」
何故だろう、こんなにも活気に溢れた絵画なのに。
(人間の顔が、塗り潰されている……? ――妙な寂しさを感じる)
描かれている人間の顔が全て黒く塗り潰されていることで表情が見えない。
それが日常風景なのにひどく寂しさを呼び起こし、不安な気持ちになるのだ。
「ほう、こんな絵を描くのか」
志波は水族館のペンギンの絵を鑑賞していた。
描かれた水槽の向こうのペンギンは、何処か孤独な目付きをしている。
御剣はアトリエの隅にある装置に目を奪われていた。
「これは何ですか? 先輩」
「それは最新式の3Dプリンターです。義父のツテで購入してもらったのですよ」
御剣は珍しそうに筐体をつぶさに観察する。
「高そうだな、やっぱり。でも絵を書くのになんで3Dプリンターが必要なんだ?」
御剣の疑問は最ものものだった。
菜々緒はアトリエにあるサイドチェストの上の銅像を指差した。
よく見れば、サンマさん銅像だった。
「あれ、私がデザインして3Dプリンターで作りました」
「え、彫刻じゃないのか」
サイドチェストの前に幾人か集まり、銅像を眺め出す。
「私の画風は如何に立体的に見せるかを重視しているから、自然と工芸や彫刻の分野にも手を伸ばして刺激をもらっているのですよ。3Dプリンターはデータがあれば立体物を遠くから『模写』できますし、すごく便利なんですよ」
「技術の進歩ってやつか……」
神木も片目でしげしげと3Dプリンターと作品を交互に見比べていた。
小山内はこの島に来る前に書いたであろう、燃えるような紅葉の山の絵を眺めていた。
(私、やっぱり先輩のこと何も知らなかったんだ……)
小山内はお茶会前日、プレゼントを買う際にも同じ事を思っていた。
課題の相談で過ごす時間はあれど、菜々緒の本質を知るまで踏み込んでいなかった事に、自分自身の驕りを自覚したばかりなのに。
(この絵は、感情の塊だ。いや、絵というより、これは生命といってもいい。先輩は、カンバスに命を吹き込んでる……!)
小山内は白亜の少女を見遣る。
無機質に生命を与えようとするかの如く、筆を振るった真っ白な菜々緒。
(これは私たちには真似出来ない。私は今まで『絵』を書いてた。でも先輩は『命』を『作っていた』んだ)
それはもはや、自分の分身――子供を生み出すのと等しい行為ではないか。
――異常だ。絵に対してのスタンスが此岸と彼岸ほど懸け離れている。
ふと、小山内はアトリエを見渡せば、菜々緒の『生み出した』幾枚もの絵画<コドモ>がこちらに向いている。
それは殺風景な部屋の印象も重なって、ずらりと並んだ病院の新生児室のベッドにも見えてしまい……。
彼女は酷い悪寒に襲われた。
「!? 小山内!?」
青ざめた顔でふらつく小山内を、すかさず御剣が抱き抱えて支えた。
「顔色が悪いじゃないか。――溶剤の匂いに酔ったか? とにかく、外に出るか」
やむなく小山内はリビングへ戻る事になった。
(菜々緒先輩……。あなたは、何でそこまでして感情を封じ込めようとしているの……?)
小山内は自身の処理能力を超えた感情に、吐き気を覚えざるを得なかった。
「刀くん、海ちゃんの具合はどう?」
御剣が戻ると、桜庭が友人の具合を心配して近寄ってきた。
「紅茶を飲ませたらだいぶ落ち着いたよ。多分、溶剤のせいじゃないか? 俺もまだ慣れないし」
「そうだねー、こんな匂いするんだねー」
桜庭は興味深げに部屋に漂う匂いを嗅いでいた。
「桜庭さん、芽森先輩がとっておきを見せてくれるそうよ」
「わー! みるみるー!!」
黒依が手招きする方へ桜庭はすっ飛んで行った。
御剣もこれに倣うと、菜々緒へ向けて一言注文を付けた。
「あの、先輩の絵の中で一番気に行った絵と、気に入らなくても捨てられない絵を見せてもらえませんか?」
これに菜々緒は首を傾げるが、すぐに「ちょっと待ってて」とアトリエの奥を捜索し始めた。
「芽森先輩が直々に作品を解説してくれるのか?」
八神は興味深いとばかりに霧生の手を引き、桜庭たちの集団に加わった。
相変わらず霧生はしかめっ面のままだ。
「皆さん、お待たせしました。――あら、皆さん集まってきたのね」
いつの間にか見学者が一堂に会して、菜々緒の解説を今や遅しと待ち侘びている。
如月と神木、北原、志波も集結している。
「それでは、御剣さんのリクエストにお答えします」
菜々緒はまず、お気に入りの絵をスタンドに立て掛けた。
その絵は、猫の集会の絵だった。
路地裏にたむろする大小さまざまな猫たち。
白、茶、黒など様々な毛色が水玉模様のようにランダムに配置されている。
その毛並みは実に写実的で、思わず手を伸ばしてその柔らかな背中の毛をなでてみたいという衝動に駆られてしまう。
絵の具を盛り付けたタッチが毛の風合いをうまく表現しているからだ。
また日向に集まる猫たちの安らかな表情が、眺めているこちらまでも穏やかになれる。
眺めている鑑賞者自体が、猫の集会に紛れてしまった錯覚さえ感じてしまう。
「これは、寝子島で初めて描いた絵です。偶然、路地裏で猫の集会を発見したのですけど、この島の猫はみな人懐っこいようで私がスケッチしてても全く逃げなかったのですよ」
「先輩は猫が好きなんですか?」
八神の問いに「大好きよ」と菜々緒ははにかんだ。
「なるほど。心理学的に解釈すると、猫は親子の絆を連想させるそうです。またその絵には多くの猫が描かれている事から、その時の芽森先輩の心境は恐らく、『この寝子島で親との絆の変化や新たな絆の予感を感じた』のでしょうね」
「八神さん、凄いわ。私、この絵を描いている時、まさにそんな気持ちだったの。将来は心理学者を目指しているのかしら?」
菜々緒が口を開いて驚けば、八神はクールに返答をした。
「ただの知識ですよ。それに、今の芽森先輩はこの頃の予感を見事的中させているじゃありませんか。こうしてお茶会に呼べるだけの絆が生まれているわけですから」
八神は菜々緒の絵から汲み取った感情を言葉に変換して伝播させる。
その言い分は、鑑賞している周囲の者も納得顔だ。
八神は更に、技術面の考察も始める。
「遠近法による絨毯のように広がった猫の集会の構図は独特ですね。それに日向と日陰の陰影加減も素晴らしいし、先輩がお気に入りだというのも頷けます」
「褒めても何も出ないわよ」
技量がある人間でも褒められれば嬉しいようで、菜々緒は頬を赤く染めてモジモジと身悶えしていた。
「猫がいっぱいで楽しそうなのだ」
李は素直な感想を述べ、
「絵筆で猫の毛並みがここまで再現できるのね。写実的なんだけど、何処か幻想的で。先輩の純真さが滲み出てるみたい。私、ずっとこの絵を眺めていたくなるわ」
黒依も猫の描写に釘付けになってしまった。
「じゃあ、次に、……これね」
猫の絵を下げると、次に掲げたるは自画像だった。
「気に入らなくても捨てられない絵、って難しい注文よね。失敗作ってわけでもないんだけど、この絵は特殊な想いがあるから……」
菜々緒がそう濁す自画像。
油絵ではなく、水彩画である。
彩りはなく、黒の絵の具だけで描かれたそれは水墨画に近い。
描かれているのは幼い菜々緒の姿。髪は既に白い。
その顔に生気はなく、来ているものはごく最小限の下着のみ。
絵の中の幼い菜々緒は、真正面を向いて仁王立ちのままだ。
モノクロで描かれているため、余計に鬼気迫る雰囲気がカンバスから漂ってきている。
幽幻、という言葉がしっくりする不気味さだ。
「これは私が十歳の時に描いた自画像です。鏡の前で何度も立って描いたのよ」
「十歳……!?」
黒依は目を瞬いた。
「十歳でこの技量……!?」
後ろで黙っていた神木も唸ってしまう。
「でも何だろうな……? 見ていると、胸が苦しい……」
霧生、自画像を直視できずに目を逸らしてしまう。
「……悲しそうな顔してるのだ」
李はむしろ、この絵に込められた内面を見ようと必死に向き合い、見詰め続ける。
「菜々緒先輩、この自画像のテーマは何ですか?」
桜庭が尋ねると、困ったように菜々緒は苦笑いを浮かべる。
「……ないわね。小さい頃は無心で描き続けていたもの」
「本当に、芽森先輩が描いたのですか、これは」
黒依は自画像を眺めながら訝しがる。
「確かに素晴らしい力量です。正直、私、先輩に嫉妬してます。ですが……、十年足らずでここまで画風が変わるのは、何か心境の変化があったのでしょうか?」
黒依の青い瞳が、射抜くように菜々緒を見据える。
「そうでなければ、同一人物が描いた絵に到底思えないのですが……」
視線を向けられた菜々緒は、静かに口角を上げて黒依に近寄った。
そして、その華奢な顎を右の人差し指と親指で掴むと、グッと顔を近付け言葉を発する。
「You just watch……!!」
黒依の五感から認識されたのは『殺意』。
黙って見ていろ、という一言のみで、黒依はこの絵が菜々緒にとって、何らかの禁忌に触れるものだと確信した。
「――驚かせちゃったかしら?」
だが、菜々緒はすぐに茶目っ気たっぷりな笑顔でコロコロと笑う。
「黒依さん、画風なんて変えようと思えば半年も掛からずに変えられるわ。ましてこの頃は義父から絵画の勉強を習い始めたばかり。画風が安定しないのも当然よ」
「……でも……」
それなら、今の殺気は、一体?
黒依がその問いを発しようとしたその時、下の階が俄かに騒がしくなった。
「買出しチームが帰ってきたようね。そろそろ本格的に準備しましょうか」
これでお開きと言わんばかりに、皆をアトリエから追い出す菜々緒。
「……そうね、なんでこの絵が捨てられないかだけは、教えておくわ」
菜々緒は、さも当然のように理由を述べた。
「私は、父から性的虐待を受けていたの。この絵は、それを忘れないための証だから」
見学者の背筋が、一気に凍り付いた。
「黒依さん、分かってくれた?」
黒依に向けた菜々緒の笑顔は、恐ろしい程に無垢なものであった。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年12月28日
参加申し込みの期限
2014年01月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年01月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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