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幸運?の青いバラ
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「そうそう、怖くないよ。おいで?」
気まぐれな猫から興味を勝ち取るのは難しい。猫を愛してやまない
恵御納 夏朝
はそれを知りつつも、飽きることなく優しく微笑みかけ続けた。
「あっ」
すると、ハナネコが首を曲げ、夏朝の顔へと向き始めたのだ。まだ両者を隔てる実際の距離は遠い。だが、草花の隙間から、ハナネコは首を傾げつつこちらを向いている。
「そうそう。おいで。何も怖い事なんてないから」
夏朝が手を差し伸べる。すると、ハナネコは足を迷わせつつも、こちらへ近づいてきた。その顔にはこちらを訝しがる様子がまだ残っていたが、それよりも、笑顔を向ける夏朝への好奇心が優っているらしい表情であった。
そこまで来て、夏朝はやっとハナネコへと手を伸ばした。驚かせることのないよう、前足の付け根に手を添えてそっと抱き上げる。すれば、芳しいバラの香り、毛並みの感触が腕から伝わってくる。青いバラにそっと触れてみれば、花粉だろうか、黄色い粉が夏朝の指先を汚した。
(さて、どうすればいいんだろ……)
無事に驚かせることもなく捕まえることが叶ったものの、それから先、この子をどうすればいいかが夏朝には分からなかった。
とにかくは、座って休める場所に移動しようか。テオに尋ねるなりなんなり、それからゆっくり考えようと、夏朝は歩きだそうとした。
「……?」
その時だった。ハナネコが、むず痒さを振り払うように小刻みに首を振った。同時に、青いバラからうっすらと舞い上がる黄色い粉が、煙のように天井を目指して立ち込め始めた。
夏朝は目を丸めてはいたが、別段息苦しさを感じるではなく、ハナネコを手放すことまではしなかった。
「…………」
のに、そのわずか数秒後。ハナネコはするりと夏朝の腕の中から逃れ、夏朝の顔を見上げた後、駆け出して植物の影に消えていってしまう。
「…………」
俯いて影を落としているその瞳には、ハナネコに向けていた朗らかな笑みは欠片も残っていなかった。ハナネコに逃げられた事を悲しむ喪失感もない。代わりにその表情に張り付いているのは、誰に向けられたものなのか、幼い顔つきの夏朝には不似合いな、好戦に悦を感じるものの嗜虐の微笑。
「そうだった。あの子は、何にも悪くないじゃない」
ポケットからネコのパペットを取り出し、それを右手にはめ込みつつ、夏朝はぼそりと呟いた。パペットを眺めているその瞳はもう、ハナネコを探してはいない。
「君をいじめる連中を、先に懲らしめてあげないとね」
そして、夏朝は歩き出した。まるで何かに取り憑かれたかのように、余裕をたっぷりと含ませた声色で呟きながら。
「へっへ。鮮魚の写真ばっかり増えてたが、ようやくまともな写真が撮れそうだぜ」
いつ、その瞬間が訪れても即座に対応できるよう、カメラのアングルを整えながら、
雨垂 ミゾレ
が笑いを噛み殺していた。
ここは、知る人ぞ知る、第3倉庫アングロス。廃墟として見捨てられていたのも束の間、今ではそういった空間こそ必要とする者たちの喧騒で賑わい合っている。ゴロツキ同士の殴り合いなどに興味はなく、普段なら、ミゾレには縁の遠い場所であった。
(だが、不可解な異変はこういった、人目につかない場所で巻き起こるもんさ)
そして、彼の推測は当たった。前々から唾をつけていた第3倉庫には今や緑が茂り、途方もなくありえないことになっている。そして、それに気づいている広報者は、おそらく自分ただ一人。
「しっかし、そのハナネコとやら……ちっとも姿を見せやがらねぇな」
一人での高笑いもそこそこに、ミゾレは頬を指でかきながら周囲を見渡した。この現象の中心が、青いバラを体に咲かせた猫にあるのは、前もって調べておいた情報で既に把握済み。しかし、いくら探し回ってもその姿を見つけることができないのだ。倉庫にいた他の連中に話を聞いてみれば、既に見かけたと答えるものも多くいたのに。
「ま、ほかの連中に捕まっちまう前に出てきてくれよな~」
ミゾレは上機嫌に口笛を吹きながら、植物をかき分けて倉庫の奥へと進んでいった。
「……ん?」
目の前に広がる植物の影を入念に睨みつけながら歩く、と、ミゾレは足を止めた。
目の前の切り株に、細身の少女が腰を下ろしていた。その顔つきは、ミゾレに言わせれば極めて淡白であり、考えが読み取れない。
何はともあれ、最優先すべきは情報収集、ミゾレは何も迷うことなく声をかけようと歩み寄っていった。
ミゾレにやぁと声をかけられても、少女……
大天使 天吏
は背中を向けたまま振り向きもしなかった。首をかしげたミゾレにもう一度声をかけられて、天吏はやっと、首をひねって振り返るに至った。
「……私?」
「やぁお嬢ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
やっと振り向いてくれたその顔には、表情の起伏が全く感じられない。少女らしからぬ透明な表情をミゾレは内心で不可解に思いながらも、それを顔に出すことはせず、他人に取り入るための笑みのままで、質問を投げかけた。
「ここらで、青いバラを身につけた猫ちゃん、見なかったかな?」
「…………」
あくまで普通に聞いたつもりだった。けれども、どういうわけか天吏は顔をしかめ、そっぽを向いてしまう。
記者人生で養った自慢の営業スマイルだったつもりが、何かそそうがあっただろうか。ミゾレが尋ねると、そうではないと天吏はぼそりと呟く。
「ネコは、嫌い。鳥を襲うから」
「あ、あぁ、そう……」
どうやら、ハナネコの居場所は知らないらしい。ミゾレは会話もそこそこに、礼を述べてさっさと行ってしまおうとした。
「だから、思い切り睨んだの。……そしたら、あっちに逃げていった」
「何っ!」
すっかり諦めてしまっていたからこそ、そう続いた天吏の言葉には耳を疑ってしまった。
「ど、どこに!?」
「あっち」
食いつくように顔面を近づけたミゾレであったが、天吏は表情を変えないまま、右手の方向を指で指し示した。
「カメラのおじさん。あのネコを探してるの? ……変わってるのね」
「ありがとっ! しゃぁっ! 待ってろよ!」
今度こそ、ミゾレは小さく手を振って、天吏の示した方向へと駆け出した。まだ誰にも捕まってはいないということを確認できた、それだけでも収穫である。
「ぎゃあぁぁーっ!!?」
「…………?」
さて、そろそろ……。天吏は短い吐息を吐いて、いざ歩きだそうとした、その時。
あろうことか、野太い悲鳴が轟いてきたのには、若干ながら目を丸めてしまった。足まで止めてしまったのは、悲鳴の轟いた方角が、今まさに天吏が進もうとしていたその先であったから。
しかも、その声色は、随分最近に聞いたばかりであった。
(さっきのおじさん? ……困ってるのかしら)
そして、その方角に改めて目をやった時にやっと、天吏はつい先ほど、見知らぬそのおじさんに指で示した方角であったことを継ぎ足して思い出した。
声が気になりやってきて、広がっていた光景に天吏は足を止めた。先ほどの悲鳴だけでは想像できなかったほどに意外な光景であり、そしてすっきりとしている。
まず、周りの樹木が、大きな力によって捻じ曲げられたように地に付していた。見るからにしぶとそうな雑草も株ごと地に葉を垂れてしなびており、やや乱雑ながら一帯が綺麗さっぱり切り開かれていた。
一体、どこの誰の努力の賜物であろうか。天吏はすぐに辺りを見渡した。そしてすぐに、先ほどの悲鳴とさほど変わらない声量で、辺り構わず目を見開いて喚き散らしているミゾレを見つける事ができた。
「ぎゃっ、ど、どうなってんだ!? 何だよこれ~っ……!」
この人ひとりでこれをやったのかと考えがよぎったが、口に出るまでもなくその考えはすぐに霧散してしまう。
見るからに、何だか様子がおかしい。
「……。何、してるの?」
「くそっ! くそっ! ……あっ、さっきの嬢ちゃん!」
歩み寄った天吏が声をかけると、ミゾレははっとしたように顔だけで振り向いた。
その両手は、地面に直に置かれたカメラに添えられている。まるでカメラが鉄アレイにでもなってしまったかのように、必死に引っ張ろうとしている様子だった。
「あぁ、パントマイム。……一人で?」
「ふんっ! ふんーっ! ち、違うっ! 一体どうなってやがんだっ!?」
尚もミゾレは必死な形相でカメラを持ち上げようとしている。本当にカメラが重くなっているのか? 天吏は首をかしげた。
「ふふ。自重で折れるのと、抜かれるのと、どちらがいい……?」
「え……?」
ふと、聞こえた声に天吏は振り向くと、波打った茶色い髪の、手に猫の人形をはめ込んだ少女の姿を見つけることができた。
そして、少女の目の先には、ねじ切れて倒れゆく瞬間の樹木。そんな様子を冷めた目で見つめながら、少女は不似合いな嗜虐の笑みを浮かべている。
「あ、あの嬢ちゃん! あの嬢ちゃんに触られた途端に、カメラがバカみてぇに重くなりやがったんだ!!」
指を突き刺して言うミゾレの言葉に、少女は声に気づき、こちらに振り向いた。薄い笑みを浮かべる夏朝の瞳にミゾレは堪らずに小さく声を漏らす。天吏は今一度、辺りの様子を注意深く観察してみた。
ねじ切れた樹木、しなびている雑草。そして、ミゾレのカメラをよくよく見てみれば、それら全てに、可愛い猫のプリントのシールが貼り付けられていた。
「……カメラ、諦めたら?」
「っ! そんなわけにはいくかっ! 絶対この異変の証拠を撮って、東京に帰るんだよっ!!」
その必死さは天吏には理解し難いものであったが、ミゾレはしがみつくようにカメラを掴んで離さない。そうこうしている間にも、夏朝は危険を匂わせる表情のまま、こちらに歩み寄ってきた。
夏朝はミゾレを一瞥した後、天吏へと目を向けた。
「あなたもそこのおじさんみたいに、すぐに動けなくしてあげるよ」
「…………」
紡がれる夏朝の言葉に、ミゾレの隣にいた天吏は表情を変えないまま、しかし一歩だけその場から後退した。
追い詰めるように、夏朝は距離を狭めてくる。突き出された猫の人形。その口には、猫のシールが咥えられている。
「あの子を捕まえようとする人は、一人も残さずに僕が……」
一歩、一歩と、夏朝、そして猫のシールが近づいてくる。天吏は無表情ながら息を呑んで、迫ってくるそれらを目の当たりにしていた。
いよいよシールが眼前にまで迫る、その時。
ふと、天吏は声を漏らした。
「……後ろ」
「え?」
天吏の思わぬ言葉。不意を疲れたように夏朝が首だけで振り返ろうとした、その寸前だった。
その隙を的確につき、鋭く放たれた肘が、夏朝の背後から首元を狙い打った。
「う……」
その一撃で、夏朝の意識は瞬く間に暗転した。窮地をまぬがれた天吏とミゾレに見守られ、力を失い、ままに倒れようとする夏朝の体を支えるのは……。
「ふぅ。ここにもいたのか……」
額の汗をぬぐい、
御剣 刀
が息を漏らした。
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tsuyosi
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年12月25日
参加申し込みの期限
2014年01月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年01月01日 11時00分
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