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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ふたりでパフェひとつきり
【心つたえて】
今でも思い出します。色あざやかに、くっきりと。何年か前のアツイ夏。稲積 柚春の胸へと克明に刻まれて、褪せることはありません。
あの頃はまだ、近しい関係ではありませんでした。そう、『生徒』と『先生』。近くて遠い、そんな間柄。それをずっと、ずうっと、もどかしく思っていたのです。
「んーっ！ いい気持ち♪」
「晴れたねえ、雲ひとつない。海水浴日和だねえ」
いま、ウォルター・Bは柚春のとなりへ、まるでそれが当たりまえであるかのように立っています。寄りそう姿は実に自然で、ずうっと前からそうであったかのように。
彼は恋人。ここは日差しがぎらっぎらな寝子ヶ浜海岸。であればやることはひとつ……海水浴デートです！
「さーて、なにして遊ぼっか？ フロートでのんびりお昼寝？ 水鉄砲で撃ち合い？ でもワットの射撃の腕で撃たれたら、僕の水着が吹き飛んじゃうかな～」
「心外だなあ、僕をなんだと思ってるんだい。そんなことしないよ……多分」
彼は瞳は水着姿の柚春が惜しげもなくさらす白い肌……ではなく、ビーチグッズのレンタル品に見つけた水鉄砲にくぎづけ。
柚春は頬をふくらませたり、こっちを見てとばかりに彼の肩や胸のあたりをぽかりとどついたりはしません。苦笑いしつつ、ふんーっと鼻から満足げに息を吐き出すばかりです。近ごろは彼のそんな子どもっぽいところも、愛おしく思えるようになってきました。
「じゃあ、的当てならどう？ あれなら協力プレイもできるよ！」
「いいねえ、じゃあいっしょにチャレンジしようかあ」
ＳＦ映画に出てきて凶悪エイリアンをバカスカ撃ち抜きそうなデザインのでっかい水鉄砲をかついで、彼ってばノリノリなのです。
ぽすぽすと砂を踏んで、波打ち際に設置された射的場へやってくると、カラフルなボードの上を行ったり来たり、回転したりと思いのほかよく動く的のデザインはたしかに、空からやってきた宇宙生物といった風情。やっつけ甲斐がありそうです。
「制限時間内に、できるだけたくさん撃てばいいんだって。新記録を目指そうね、ワット！」
「オッケー、僕らのチームワークを見せつけてやろうかあ」
レディ・ゴー！ の掛け声とともに、柚春はハンドガン型水鉄砲をぱしゅぱしゅぱしゅ。ウォルターさんはでっかいマシンガンをどばばばば！
「ワット、右お願い！」
「よし仕留めた……柚春、上だよ！」
「まーかせて！」
水しぶきは乱れ飛び、コンビネーションだってバツグン。ふたりは本当にタッグ部門で新記録を叩き出し、記念品としてかわいいマンボウバッジが贈られました。
今年も寝子ヶ浜海岸には趣向をこらした海の家がいくつも出ていて、それぞれに特色を生かしたサービスでお客の誘致に余念がありません。メイドさんに執事さん、バニーに着ぐるみに……。
といった変わり種からは少し離れて、ふたりが腰を落ちつけたのはごくフツウの海の家。木陰のおだやかな空気が流れるテラス席でした。
「これはまた、ベタだねえ」
「なんか流行ってるんだって、ふたりでひとつのものを食べたり飲んだり、っていうのが」
「へえ～。もう廃れたもんだと思ってたよ、こういうの」
テーブルの上には露店で買ってきた焼きそばにタコ焼き、フランクフルトにクレープ。
それに、鮮やかなレモン色のドリンクがひとつ、ストローはふたつ。
「イヤだった？ こういうの？」
少し前までは生徒と先生だったふたりです。ぐいぐい行きがちな柚春でもいささか気恥ずかしいくらいなので、彼には抵抗があるかな？ と思ったりもしましたけれど、
「そんなことないよお。ほら」
ウォルターさんはストローをかぷっ。さあどうぞと指差すもので、柚春もおずおずと口をつけて、ちゅるるるるる。
「……えへへ」
カップルドリンクに柚春は頬を赤くし、彼はと言いますと、
「思ったより恥ずかしいねえ、これ」
なんて言いつつ涼しげな顔を浮かべているもので、ちょっぴり悔しい柚春です。
「ねえ、ワット」
「うん？」
「僕、あの時より、少しは大人っぽくなったかな？」
そんな言葉に、彼も数年前の夏を思い出したのでしょう。どこかイタズラっぽく笑うと、言いました。
「今の僕は、君の先生？ それとも違う？」
「それは……こ、恋人だもん」
「ふむ、なるほど？ それじゃあ、言わなくたって分かるよねえ」
「あ、ずるい！ またそうやって逃げるんだから、ワットは！」
「あっはっは」
いつもそんなふうにケムにまかれてしまうけれど、今はまだ言葉にしにくいだけで、心は伝わりました。
「もう。だいすきなんだからね！」
身を乗り出して、ほっぺたにキス。意表を突いた不意打ちに、彼は目をぱちくり。してやったりと、柚春は可笑しそうにくすくす笑いました。
今でも思い出します。色あざやかに、くっきりと。何年か前のアツイ夏。稲積 柚春の胸へと克明に刻まれて、褪せることはありません。
あの頃はまだ、近しい関係ではありませんでした。そう、『生徒』と『先生』。近くて遠い、そんな間柄。それをずっと、ずうっと、もどかしく思っていたのです。
「んーっ！ いい気持ち♪」
「晴れたねえ、雲ひとつない。海水浴日和だねえ」
いま、ウォルター・Bは柚春のとなりへ、まるでそれが当たりまえであるかのように立っています。寄りそう姿は実に自然で、ずうっと前からそうであったかのように。
彼は恋人。ここは日差しがぎらっぎらな寝子ヶ浜海岸。であればやることはひとつ……海水浴デートです！
「さーて、なにして遊ぼっか？ フロートでのんびりお昼寝？ 水鉄砲で撃ち合い？ でもワットの射撃の腕で撃たれたら、僕の水着が吹き飛んじゃうかな～」
「心外だなあ、僕をなんだと思ってるんだい。そんなことしないよ……多分」
彼は瞳は水着姿の柚春が惜しげもなくさらす白い肌……ではなく、ビーチグッズのレンタル品に見つけた水鉄砲にくぎづけ。
柚春は頬をふくらませたり、こっちを見てとばかりに彼の肩や胸のあたりをぽかりとどついたりはしません。苦笑いしつつ、ふんーっと鼻から満足げに息を吐き出すばかりです。近ごろは彼のそんな子どもっぽいところも、愛おしく思えるようになってきました。
「じゃあ、的当てならどう？ あれなら協力プレイもできるよ！」
「いいねえ、じゃあいっしょにチャレンジしようかあ」
ＳＦ映画に出てきて凶悪エイリアンをバカスカ撃ち抜きそうなデザインのでっかい水鉄砲をかついで、彼ってばノリノリなのです。
ぽすぽすと砂を踏んで、波打ち際に設置された射的場へやってくると、カラフルなボードの上を行ったり来たり、回転したりと思いのほかよく動く的のデザインはたしかに、空からやってきた宇宙生物といった風情。やっつけ甲斐がありそうです。
「制限時間内に、できるだけたくさん撃てばいいんだって。新記録を目指そうね、ワット！」
「オッケー、僕らのチームワークを見せつけてやろうかあ」
レディ・ゴー！ の掛け声とともに、柚春はハンドガン型水鉄砲をぱしゅぱしゅぱしゅ。ウォルターさんはでっかいマシンガンをどばばばば！
「ワット、右お願い！」
「よし仕留めた……柚春、上だよ！」
「まーかせて！」
水しぶきは乱れ飛び、コンビネーションだってバツグン。ふたりは本当にタッグ部門で新記録を叩き出し、記念品としてかわいいマンボウバッジが贈られました。
今年も寝子ヶ浜海岸には趣向をこらした海の家がいくつも出ていて、それぞれに特色を生かしたサービスでお客の誘致に余念がありません。メイドさんに執事さん、バニーに着ぐるみに……。
といった変わり種からは少し離れて、ふたりが腰を落ちつけたのはごくフツウの海の家。木陰のおだやかな空気が流れるテラス席でした。
「これはまた、ベタだねえ」
「なんか流行ってるんだって、ふたりでひとつのものを食べたり飲んだり、っていうのが」
「へえ～。もう廃れたもんだと思ってたよ、こういうの」
テーブルの上には露店で買ってきた焼きそばにタコ焼き、フランクフルトにクレープ。
それに、鮮やかなレモン色のドリンクがひとつ、ストローはふたつ。
「イヤだった？ こういうの？」
少し前までは生徒と先生だったふたりです。ぐいぐい行きがちな柚春でもいささか気恥ずかしいくらいなので、彼には抵抗があるかな？ と思ったりもしましたけれど、
「そんなことないよお。ほら」
ウォルターさんはストローをかぷっ。さあどうぞと指差すもので、柚春もおずおずと口をつけて、ちゅるるるるる。
「……えへへ」
カップルドリンクに柚春は頬を赤くし、彼はと言いますと、
「思ったより恥ずかしいねえ、これ」
なんて言いつつ涼しげな顔を浮かべているもので、ちょっぴり悔しい柚春です。
「ねえ、ワット」
「うん？」
「僕、あの時より、少しは大人っぽくなったかな？」
そんな言葉に、彼も数年前の夏を思い出したのでしょう。どこかイタズラっぽく笑うと、言いました。
「今の僕は、君の先生？ それとも違う？」
「それは……こ、恋人だもん」
「ふむ、なるほど？ それじゃあ、言わなくたって分かるよねえ」
「あ、ずるい！ またそうやって逃げるんだから、ワットは！」
「あっはっは」
いつもそんなふうにケムにまかれてしまうけれど、今はまだ言葉にしにくいだけで、心は伝わりました。
「もう。だいすきなんだからね！」
身を乗り出して、ほっぺたにキス。意表を突いた不意打ちに、彼は目をぱちくり。してやったりと、柚春は可笑しそうにくすくす笑いました。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2025年08月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2025年08月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2025年08月12日 11時00分
