数多の夜を超えし腐敗の王（アサリ）｜リアクション

数多の夜を超えし腐敗の王（アサリ）

●海の家でのお仕事

　ちょうど待機中ということもあり、元の世界でもさして問題がない檜扇唱華は、ちょっと休みが長くなったと思う。
　ビーチを散歩していると、海の家を見つけた。
「ここはプライベートビーチでしたね。遊んでいる皆様に、くつろいでいただきましょう」
　こうして、彼女は、海の家の仕事をすることに。
　見たところ、大人は唱華だけで、後はご主人様と同じ学校の生徒達だ。
　海の家の仕事の他に、ご主人様の友人達を見守ることに。

「皆様をおもてなしする前に、海の家が使えるかどうか点検しましょう」
　中には、簡易調理場にはガスコンロ、鉄板、かき氷器といった調理器やシンク。
　グラスやストロー、丼やカレー皿、割り箸、スプーンといった食器類もあった。
「調理器具、食器類は大丈夫ですね。次は食材掌握です」
　業務用冷蔵庫の中は、肉、魚、野菜、氷、種類豊富な飲み物といった様々な食材がビッシリ。
「食材は大丈夫ですね。これなら、たくさん作れそうです。他の設備はどうでしょう？」
　水道、ガスが使えなければ調理ができないし、お湯が出ないと、シャワーを浴びたい女の子達が困る。
　各機能がちゃんと使えるかどうかを片目を瞑り、聞きたい、と願いながら聞き出す。
（ちゃんと使えるかどうか教えてくださいませんか？）
　設備達は、問題なく使えるとから安心しろ、と答えてくれた。
「そうですか。それを聞いて安心しました。浮き輪とか、水着とかはあるのでしょうか？」
　海の家の外には浮き輪やフロート、ビーチパラソル、ビーチベッド、様々なデザイン、サイズの水着が置いてあった。
「至れり尽くせり、ですね」
　設備、食材、備品などの点検を済ました後は、海の家の清掃をしたり、テーブルをセッティングしたり。
　星ヶ丘寮での内勤が多いメイドの唱華にとって、野外での仕事は新鮮だった。
「ご主人様と妹がお世話になっておりますから、皆様にお礼をしないと、ですね」

　ひと通りの準備が終えた頃、海の家に水着を借りに女性陣がやって来た。
　真っ先に水着を選んだのは「泳ぐわよー！」と張り切る朝野未沙。
「これにしよう！」
　選んだのは、オレンジに白のボーダー柄のワンピースビキニ。胸の谷間に、大きめのリボンがついている。
「私、持ち合わせがないんだけど……代金は後払いでいい？」
「ご心配は無用です。水着レンタル、飲食代はすべて無料です。お好きなものをどうぞ」
「本当！？」
　本当です、とニッコリ微笑む唱華。
　タダなら他のも、といろいろ試着したが、選んだのは最初に選んだ水着だった。

　恵御納夏朝、北原みゆき、桜崎巴、椿美咲紀、常闇月、響タルトも、水着を借りに来た。
「いろいろな水着がありますので、お好きなものをどうぞ。シャワー室の近くに更衣室がありますので、着替えはそちらでお願いします」
　後から来た６人も、どれにしようか悩みながら選び始めた。
　夏朝は、黒地に白のドット柄ワンピース。
　みゆきは白地のカラフルなドット柄の水着に、フリルスカートをはくことに。
　巴は、ダイナマイトバディを強調するかのような大胆なヒョウ柄ビキニ。
　彼女のワイルドさが、この水着で倍増している……ように見える。
　美咲紀は、明るいパステルカラーのパレオ着きワンピース。
　月は紐で結ぶタイプの黒のツーピースを選ぶと、外に出て、岩陰で着替えることに。
「野郎共に見られるからやめときな。あそこにムッツルギがいる」
　月が巴の視線を先を見ると、そこには、にゃーくんと砂遊びをしている桜庭円の側にいる御剣刀が。
（あの人に見られるかも……外で着替えるのはやめよう）
　巴の忠告を聞き入れ、月は更衣室で着替えることに。
「あたしはこれ！」
　タルトは、制服の下にビキニのトップスにしょーとパンツ、サスペンダーという格好だった。
　水に浸かるとろっこんが発動して猫になってしまうので甲羅干しでも……と思ったが、暑いのでどうしようか悩む。

　女性陣は、着替え終ると互いの水着を見せ合いっこ。
「北原さんの水着……かわいい」
「夏朝ちゃんのもかわいいです」
　あのふたり、かわいい……と、女の子好きな未沙は、水着姿の熱い視線で見ている。
（他の子も可愛いし、あの人は大胆……私にとってはパラダイスだわ）

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