シナリオ「数多の夜を超えし腐敗の王（アサリ）」

数多の夜を超えし腐敗の王（アサリ）

　寝子ヶ浜海岸。
　海水浴客で賑わう浜辺で、事件は起こった。
「なんか、臭くないか？」
　ビーチパラソルを設置していた男性が、眉をしかめて辺りを見回す。
「ホント、何かモノが腐った臭いが充満してるわ……」
　強烈な臭いに騒然となる海水浴客の足元を縫って、灰色の猫が横切り、前足でトンと足元を叩いた。

　次の瞬間、臭いはすっかり消えた。
　

　一方。
　こちら灰色の猫――テオドロス・バルツァの力で、切り取られた世界。
　清々しいばかりの青に、白い砂浜。
　南国を思わせる、素晴らしいビーチとなっているが……相変わらず、臭い。

『よお、てめえら。また厄介なのが現れたぜ』

　頭の中で声がする。
　テオが、もれいび達に話しかけているのだ。
『数多の夜を超えし腐敗の王……こいつをどうにかしな』
　彼は憮然と砂浜を歩いていくと、前足でチョンチョンと、もう動かないアサリの死骸を示した。
『心配するな、コイツはもう死んでる。海から離して埋めてやれば、臭いは収まる』

　そこで一旦、言葉を切るテオ。

　ひと時、沈黙が流れた。

　えっ？　それだけ？　その程度の事で、世界を切り分けたの？
　首を傾げれば、テオはムッとして、こちらを睨みつけた。

『このビーチは、しばらくこのままにしといてやる。
　時間は経過しねえから、てめえらの日常生活にも支障はねえはずだ』

　何が言いたいのか、わからない。
　素直に指摘したら、テオは露骨に舌打ちした。かわいくないな。

『フン……、こないだは世話になったな……。じゃあ、後の事頼んだぜ』
　言うだけ言うと、背中を向けてスタスタと去って行くテオ。

　要するに。
　アサリはこじつけで、テオはこの切り取られたプライベートビーチで、自由に遊べと言っているのだ。

　……何そのツンデレ……。

運営部より

本シナリオのリアクション公開は、アクション投稿期限より３０日を超えることがあります。
ご了承の上ご参加くださいますようお願いいたします。

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

カターレ

マスターコメント

　テオからの、プレゼント。プライベートビーチで、まったり遊びましょう。

■場所・状況
　寝子ヶ浜海岸の海水浴場ですが、南国のように美しい光景となっております。
　時間はお昼～日没後１時間まで（現実に戻ると昼です）。
　現実世界は人だらけですが、こちらは切り取られた世界ですので、皆さん以外誰もいません。

　小奇麗な海の家（←テオの発想力の限界）が、開放されています。
　好きに飲食をして構いませんし、料金も発生しません。
　水着がない人も、商品を自由に着用してOKです。
　（元の世界に戻る時、着ていた服に戻ります）
　その他、遊ぶのに必要で、海の家にありそうなものなら、何でもご活用ください。
　（例：水着、浮き輪、花火、ビーチパラソル、ビーチベッドなど）

　ひとＰＣさんは、テオの声を聞く事が出来ませんが、他の人から聞くなど自由に解釈してください。
　無自覚のもれいびさんは、テオの声を気のせいだと思うなど、こちらも自由に設定してくださいませ。

　アサリは誰かが代表して埋めてくだされば、それでOKです。

■ＮＰＣ
・テオドロス・バルツァ
　猫の姿をした神様です、すでにどこかに行っていていません。

・数多の夜を超えし腐敗の王（アサリ）
　神魂の影響を受けた、アサリの死骸です。
　浜辺に打ち上げられて、腐臭を撒き散らしていたため、隔離されました。
　海から少し離して砂浜に埋めてやれば、匂いを撒き散らさなくなります。

　それでは、お気が向かれましたら、よろしくお願いします。

サンプルアクション（1）

サンプルアクション（2）