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マリエッタは、ラボの窓からキャンパスを眺める。
毎年恒例、サークル勧誘のにぎわいが見えた。まるでお祭りだ。実際、旗やノボリ、山車(だし)まで出ているのだから一種の祝祭といっていいだろう。マリエッタにとってはすっかり見慣れた風物詩ではあるが、初体験の新一年生たちが右往左往している様子が想像できた。
私も、八年ほど前はあの中にいたんだよね。
甘酸っぱいような、ほほえましいような感覚に目元をゆるめる。よく晴れた四月のあの光景を、驚きと喜びと戸惑いを、きっと忘れることはないだろう。
あの頃の私──大学に入ったというだけで、まだ何者でもない自分を抱えて迷走していた。
いまの私はどうだろう。
少なくとも何者かになりつつあるのかもしれない……?
「ラシュリエさん、あの、すみません!」
研究室のドアがガチャリと開き、いましがた出て行ったばかりの葉山実璃が飛び込んできた。マリエッタはハッと目を開ける。
「スケジュール表、忘れちゃって……あと、ちょっと聞きたいことが」
実璃の声は、まるで春の風に揺れる葉っぱのようだ。マリエッタは疲れを押し隠して笑みを返す。
「うん、いいよ。何?」
「あの、ヒートアイランド対策って、たとえば寝子島のシーサイドタウンでどうやったら活きるかなって……卒論の続きで、都市を涼しくしたいんですけど、なんか、コストとか効果とか」
実璃のスケッチブックにはさまざまなアイデアが色鉛筆で描かれている。マリエッタはページをめくりながら頭を整理した。
「シーサイドタウンだと、緑のカーテンや街路樹が現実的かな。コストは初期投資がかかるけど、長期で電気代が抑えられるよ。コンパクトな街だから、社会実験にもいいかも。鋼野くんの近未来ビルに緑のカーテンを足したら、未来的で涼しいデザインになるよ」
「わ、ほんとですか! 晴真くんの古民家にも木陰、合いそう!」
実璃はスケッチにメモを走らせる。
古民家といえば──。
マリエッタはふと、少し前の出来事を思い出した。長野の瓦屋根。冷たい風の中、誰もいない史跡で膝を抱えた。あのときも私、こんな風に誰かに背中を押されたかったのかもしれない。
「実璃さんのアイデア、シーサイドタウンの夏を変えるよ。いい柱になると思う」
実璃は「ありがとうございます!」とスキップするように去り、研究室に静けさが戻った。
マリエッタは気分転換に外へ出た。そろそろ夕方だ。日が長くなってきたのだと実感する。キャンパスの桜並木は春の陽気に染まり、サークル勧誘のノボリもかけ声もまだまだ威勢がいい。
でも私は今年も、隣にナオがいない春なんだよね。
「うそ、もしかしてマリエッタ!?」急に声をかけられハッとする。「ねえ、ヘミで会ったあの泣き虫じゃない!」
ヘミ……って……?
地名? 建物の名前? なにかのグループ? いずれにせよ聞き覚えのない名称だ。
マリエッタは首をめぐらせ声の主を探す。するとブースの陰から、見覚えのある顔がひょっこり出ていた。
歳上の女性だ。でもたぶん、四、五歳差程度だと思う。ワイシャツにタイトなスカート姿、サラサラの髪に片目が隠れており、セクシーな笑顔でニマっと笑った。
「円山さん……!?」
マリエッタの声が裏返る。びっくり、なんて生ぬるい言葉じゃ足りない。時間が突如歩みを落とし、桜の花びらがスローモーションで落ちるように感じた。
こんなとこ会うなんてと彼女は笑った。
「覚えてる? 長野の辺見郡辺見町(へみぐんへみちょう)で会ったじゃない。ほら、家に泊めたし。おや、そうかね、地名覚えてなかったんだに。ま、ド田舎だからなー」
まちがいない。
長野で会った
あの親子、その母親のほうではないか。名前は覚えている。円山真彩だ。
直之の声が途切れたとき、怒りと寂しさがマリエッタの胸を刺した。始発電車に飛び乗ったのは、どこでもいいから逃げ出したかったから。行き着いたのは長野の無人駅だった。冷たい風が畑を渡り、空は高すぎる灰色だった。宛てもなく歩いたがついに、史跡の石垣でこらえきれなくなり膝を抱えた。なにやってるんだろう私、と涙がこぼれた。
そこへ小さな娘を連れた真彩が現れ、「とにかく、来なさい」と笑顔で瓦屋根の自宅に招いてくれたのだ。食事をご馳走になり、「今日は泊まっていくといい」と一泊までさせてもらい、翌朝、マリエッタは繰り返し礼を言って辺見を後にした。
「お、お久しぶり……です」
まだ自分の目が信じられない。だが白昼夢や幻ではなさそうだ。
あの瓦屋根の家、煎茶の香り、子どもの無邪気な声──マリエッタの脳内に、思い出がするするとよみがえった。
もちろん驚いているのはマリエッタばかりではなかった。真彩も目を輝かせている。
「こんなとこで会うなんて! ハスキーボイス、元気だった?」
「はい! 真彩さんが木天蓼大学にいたなんて」
「准教授、今年度からよ」
「私は院生、理工学研究科の博士後期です」
「大学院生とは聞いてたけど、木天蓼大学だった!」
「そうなんです。その節は大変お世話に」
あのとき、マリエッタは自分のことだけで精一杯で、恩人の住所や電話番号を聞かずじまいだった。何度後悔したか知れない。
「あ……そうだ、娘さん……たしか、よう子ちゃんは?」
三歳くらいの小さな子だった。真彩の手を握っていた姿が目に浮かぶ。
「よう子ね、離婚した元夫に親権取られたの」
真彩はあっけらかんと笑うが、前髪が両目を隠した。
「長野のあの日は、よう子とやっと会えた日。でもマリエッタの涙見て、なんか、放っとけなかったのよ」
笑顔の裏にほのかな寂しさが揺れているのがわかって、マリエッタは胸が締めつけられる。
キャンパスの喧騒が遠のく頃、マリエッタは研究室に戻った。窓に夕陽が映り、桜の花びらが机に一枚貼りついた。
スマホで写真を撮り、NYAINを開いて直之に送る。
『長野で助けてくれた人に、マタ大でばったり会ったよ』
とメッセージを添えて。
間もなく携帯が着信音を発した。NYAINのメッセージじゃない。直之からのネット電話だ。
ずっと前、何者でもない私がいた。長野の涙も、博士課程二年目の桜も、ナオの声がなかったら散ってたかもしれない。実璃のスケッチ、真彩の古民家、よう子の笑顔──全部、私の設計図の線になってる。
マリエッタは受話器アイコンをタッチする。
「もしもし」
彼には、今日の出会いをたっぷりと語ろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年03月24日
参加申し込みの期限
2025年03月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年03月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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