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マリエッタはさらさらと、潮騒を奏でるように自己紹介をつづけた。
入学年度、経歴、現在の研究テーマ──持続可能な都市設計における緑の融合、昨年の学会発表や論文の数々についても。特段の準備もしていなかったが、学会発表で鍛えられたおかげか、この程度のスピーチならお手のものだ。言葉は清流のようになめらかに流れ出た。
マリエッタの低く響くハスキーボイスは、古い木材の温もりを帯びた楽器のようで、ラボ生たちのこわばった空気をそっと解きほぐす。
「私がこの道を選んだのは、建物ってただの構造物じゃないと思ったから。人の暮らしを支え、夢を形にするものだと。もちろんこれが正解ってわけじゃなくて、私のイメージ、ってだけの話ね。だから、みんなの考える建築学についても教えてほしいな」
マリエッタが語り終えると、研究室の空気がほんの一瞬、静寂に染まった。
三人の新入生から漏れたのは、我に返ったような驚きの吐息だ。「えっ」と声にならない声が、まるで波紋のように広がった気がした。もちろん、誰も口には出さなかった。けれど彼らの表情と仕草は雄弁だった。好奇心の光、キョロキョロと揺れる視線、あるいは、ぎゅっと握られたノートの端、それだけで、マリエッタには十分伝わっている。
ふふ、きっと驚いたよね。金髪と青い瞳の私が、こんな流暢な日本語で話すんだもの。
それに、こういう声だし。
まるで古いレコードから流れるブルースの歌声のようだと、言われたこともある。もちろん褒め言葉として。
だから三人が示したような反応には慣れっこだった。研究室の壁に染みついたインクの匂いのようになじみ深いといっていい。むしろ、ピュアな反応だと好もしく思いすらする。いちいちモヤッとするようなことは、もうなかった。
マリエッタはただ、陽だまりのような笑みを浮かべて彼らを見つめた。
「さて、みなさんも自己紹介をどうぞ。名前と、建築学のイメージとかやりたいこと、どんなことに興味があるか教えてください」
「え、あー、じゃあ、自分が」
最初に名乗りを上げたのは、眼鏡をクイッと押し上げた大学三年生の男子だった。両手でリュックの肩紐を握ったまま言う。
「い、
石柱 晴真
(いしばしら・はるま)です! あの、建築史に興味があって、特に日本家屋の耐震設計を……いや、でもまだ漠然としてるんですけど!」
彼の声は、新品の木材がきしむようにどこか頼りなげだ。
「日本家屋、いいよね。柱一本一本に物語があるもの。耐震設計という観点もいいと思う」
満ち潮が砂浜をなでるようにマリエッタが言うと、ほっとしたように晴真の肩から力が抜けた。
次に手を挙げたのは、修士一年生の女子だった。髪はショートカット、ぎゅっと目をつぶって言う。
「
葉山 実璃
(はやま・みり)です、よろしくお願いします! えっと、私、都市のヒートアイランド対策で卒論を書きました。いまはもう一歩進んで、サステナブル建築に興味があって……でも、どこから始めていいか全然わかんなくて!」
ふわふわと宙をさまようような言葉だった。
「ヒートアイランド対策、面白いね。私も研究で扱ってるから、いつか一緒にスケッチ描いてみる?」
マリエッタの提案に、実璃の目がパッと輝いた。
「実は、スケッチブックに緑のアイデア、たくさん描いてるんです!」
と言って、実璃は少しはにかんだ。
最後に、ノートを胸に抱えた長身の三年生が口を開いた。少し猫背で、ドア枠に頭をぶつけそうになったあの彼だ。
「
鋼野 陽斗
(はがねの・ひゅうと)っす。えっと、建築デザインに興味あって、なんか、近未来的なビルとかカッコいいなって……でも、数学とか苦手なんで、やばいかなって……」
彼の声は、まるで未完成のコンクリート壁のように、粗削りだがどこか愛嬌がある。
「心配しないで。この分野では、数学は手段であってテーマじゃないから。デザインのアイデアが先にあれば、計算は後からついてくると思う」
マリエッタは笑みとともに答えた。陽斗の猫背が、ほんの少しだけ伸びた気がした。
雰囲気がやわらいだのを確認すると、マリエッタは机の上のスケッチを軽く整え、必要事項の説明に移った。研究室のルール、実験機器の使い方、学会発表の心得などだ。
「質問、なにかある?」
実璃が恐る恐る手を挙げた。
「あの、ラシュリエさん、学会発表って緊張しませんか? 私、人前で話すの苦手で……」
マリエッタは小さく笑った。
「緊張? そりゃするよ。最初の発表なんてガチガチで、鎖で巻かれて海の底に沈むみたいだった。でも、話したいことがハッキリしてると、意外とスラスラ出てくるものだから。実璃さんの緑のアイデアなら、きっと伝わるよ」
晴真が続いた。
「論文ってどうやって書くんですか? なんか難しそうで……」
学部生らしい質問だ。マリエッタは少し首をかしげ、答えた。
「論文は、設計図みたいなものかな。一本の柱から始めて、梁を架けて、壁を立てていく。晴真さんの日本家屋への興味なら、しっかりした柱になると思う」
陽斗が少しもじもじしながら手を挙げた。
「あの、研究って、失敗とかしたらどうするんですか? なんか、俺、ミスばっかで……」
「大丈夫。失敗は、試作用模型みたいなもの。崩れたっていい、また組み直せば形になるから。ミスを繰り返す中に、面白いアイデアが生まれるんだと思う」
マリエッタの言葉に力づけられ、陽斗の声にも少しずつ力がこもってきた。新入生たちの質問は、新緑のように育っていく。
すべての説明が終わり、新入生たちがスケジュール表を手に部屋を出ていくと、まるで張り詰めていた糸がぷつりと切れたかのように、どっと疲れがマリエッタの肩にのしかかった。
ふぅ……。
マリエッタは椅子に腰を下ろし、まるで心の奥底から最後の力を絞り出すように長く息を吐き出した。初対面の後輩たちに『頼りになる優しい先輩』を演じきった彼女の笑顔は、いま、静かな部屋に溶け込むように消えていた。分厚い潜水服を、やっと脱ぐことができたかのように。
それでも、マリエッタの胸の奥にはかすかな温もりがあった。後輩たちの、初めは硬かった表情が次第に打ち解けていったその変化が、彼女の努力を讃えてくれていたからだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年03月24日
参加申し込みの期限
2025年03月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年03月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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