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第一クラブハウスと呼ばれる建物、そこに演劇部の部室があるという。
部室への道は、桜並木のざわめきを抜けた先だ。建物が見えたとき、彰尋の足は思わず止まっていた。
古びたコンクリートの壁には、どこか懐かしい曲線が刻まれ、ヴィンテージな窓枠にはメタリックな縁が光る。まるで昔の映画館のようなのに、屋上のアンテナはLEDライトで装飾されていた。錆びた手すりに絡まるツタと、ガラスに映る春の雲が、過去と未来を一緒に閉じ込めたようにも見えた。
「見たまえ、あれが第一クラブハウス、我々の城だ。ただしくはその一室だけだが」
クラブハウスは体育館に隣接している。準備は部室で、練習は体育館のステージで、という構えらしい。なるほど効率的だろう。
建物に入ると、壁はサークルのポスターで埋め尽くされていた。階段の段差の部分や天井にもポスターが貼られているのだから、空きスペースを探すほうが難しい。第一クラブハウスは主として文化系サークルの牙城らしく、貼られているポスターは軽音部のライブの予告や、美術部の展覧会案内など、カルチャー方面の告知が主だった。どの部がどの部室を使っているかも、貼られているもので一目瞭然だった。ドアを飾るのはギター、Gペン、茶器、と何をかいわんやといった様相である。マイクと蝶ネクタイというのは、お笑い部といったところか。
その中でも、演劇部のドアはひときわ派手だった。仮面のイラストに『この世は舞台、人はみな役者』と金文字があしらわれている。
「ようこそ、演劇部の聖域へ!」
玲依が両手を広げた。
ドアが開くと、意外なほど小ぎれいな空間が広がっていた。しかも広い。きっと他の部室の三倍はあるだろう。白い壁には鏡がずらり、棚にはメイク道具やカツラが整然と並んでいる。衣装ラックにはスーツやドレスが色とりどりで、まるで宮廷のクローゼットだ。窓から桜の花びらが差し込み、春の光が道具箱を照らしている。
彰尋は目を丸くした。こんな充実した部室、想像してなかった。
「この演劇部には約四十人の部員がいる。その一員に、きみを迎えることができて嬉しく思う!」
玲依が片手を上げると、奥から地味なメガネの男子が姿を見せた。
「香澄、新入生かい? はじめまして。俺、
五十嵐 一次
(いがらし・いつじ)、副部長。三年生だよ」
五十嵐は中肉中背、シャツの袖が少しよれている。玲依のキラキラとは正反対の、教科書みたいなノーマルぶりだ。考えてみれば当然だがこういう部員もいるのだ。彰尋はホッと息をついた。
「鴻上彰尋、芸術学部一年生です。よろしくお願いします」
言いながらも世話好きのサガで、彰尋は内心、五十嵐の袖を直したくてうずうずしている。
「私はメイクを落としてこよう。五十嵐、後は任せた!」
玲依がマントをひるがえし、やはり芝居がかった動きでメイク室へと消えた。さすがにずっとあのままではいられないらしい。彰尋は少し拍子抜けした。オスニャルさまの輝きが急に遠く感じる。
「じゃ、体育館行ってみようか。部長はもう鴻上君が入部するものと決めてかかってるけど、今日は練習を見学して、入部するかどうかは家で考えてくれればいいから。でもきっと、見れば興味をもつと思うよ」
五十嵐が先に立って彰尋をうながした。部室には数人の部員が残り、衣装を手に笑い合っていた。
四十人か──部室が広いわけだ。中学の演劇部は十人もいなかったから雲泥の差だ。
小型の体育館だがこの時間帯は貸し切りらしい。舞台用の幕や照明がセットされ、部員たちがストレッチや台詞の読み合いに励んでいる。活気にあふれていてにぎにぎしい。彰尋は祖父の台本を思い出す。公園で、たったひとりで練習していたときの静けさとは別世界だ。
「五十嵐さん、演劇部ってどんな芝居を?」
「ああ、まあ、色々だよ。見てればわかるさ」
五十嵐のこたえは曖昧だった。色々……実際そうだろうがもうちょっと具体性がほしいところだと思う。
演劇部といっても全員が役者ではない。ライティング担当や音響担当といった裏方スタッフも準備にいそしんでいる様子だ。ねじりハチマキを巻いた舞台監督らしき女子が、「アクターは中央に集まって」と呼びかけている。
それまで和気あいあいとしていたものが、彼女の呼び声とともに静まりかえった。
いよいよだ。
彰尋は息を詰めて、邪魔にならない位置に下がった。緊張が伝わってくる。しかし、心地よい緊張感だ。
「えっと、見学者は今日、俺ひとりでしょうか?」
近くにいたスタッフらしき学生に小声で話しかけた。
ベリーショートの黒髪、シンプルなTシャツとジーンズ、てっきり男子だと思ったが女性のようだ。驚くほど存在感がない。
「はい」ぼそぼそとスタッフは告げた。「……どうぞ、ごゆっくり」
わっ、と叫び出しそうになったが慌てて彰尋は口を手で押さえた。声に聞き覚えがあったのだ。しげしげと見れば、その容貌にも!
「もしかして、香澄部長さん!?」
声が裏返った。金髪のカツラも軍服も脱いで、香澄玲依の様子は一変していたのである。一番星のような輝きが消え失せておりまるで別人だ。星の海だった瞳は、ただの優しい黒目である。玲依はふふと笑った。
「驚きました? 私、メイク落としたら、いつもこんな感じで」
「驚いたってレベルじゃないです!」
玲依の素顔は確かに綺麗だけど、キャンパスの雑踏に溶ける普通さだ。オスニャルさまはどこへ?
「よく気づいたね、鴻上くん」五十嵐が咳払いして話を引き取る。「毎年たくさん一年生が見学に来るけど、部長の素顔に気づかない子がほとんどだよ」
「あ、はい、どうも」
もしかしてこれ入部テストだったんだろうか、と彰尋が思ったとき、「実はさ」と五十嵐が言った。
「この大学、演劇のサークルが五つもあるんだ」
「五つ!?」
目を丸くする。中学じゃ演劇部の存在自体が奇跡だったのに、五つって何!?
「うん、他大学からの部員もいるインカレサークルみたいなのもあるけどね。この演劇部はマタ大で一番歴史が古いんだけど……」
と言ったところで五十嵐が言葉を濁した。玲依は黙って床を見つめる。
え?
体育館の空気が、急に重くなった。
たくさんの部員も、スタッフも、あの舞台監督すら視線を外しているではないか。
「だけど、って何か問題でも?」
彰尋は眼をしばたたくほかない。五十嵐のメガネが曇った気がする。
「部長! 彼にまだ言ってなかったんですか!? 私たちの本当のことを!」
ポニーテールの女子が立ち上がる。
「五十嵐さん、新入生には最初に明かさないと、って言ってたじゃないですか!」
青いヘアバンドの男子も詰め寄る。五十嵐は苦しげに眉を寄せるばかりだ。
「いや、タイミングが……な?」
そのとき、玲依がスッと背を伸ばした。どこから出したか手に金髪のカツラを握り、王冠を頂くように両手で装着したのである。すると魔法がかかったように、彼女はオスニャル・フランソワ・ド・ジャルジェへと変身を遂げた! 衣装がTシャツであろうとたしかに、彼女はオスニャルさまだ。黄金の髪がなびき、星の海の瞳がキャンパスをベルサイユに変える。
「彰尋、真実を聞いても逃げないと約束してくれ! そして最後まで、私の話を聞いてほしい!」
声は体育館を震わせるオーケストラ、彰尋は息をのむ。ドラマチックすぎるけど、彼女のまなざしには逆らえない。
「約束……します」
「よく言った!」
玲依は優雅な笑みを浮かべた。
「一体、何なんですか?」
思わず彰尋も芝居がかった口調になっていた。『この世は舞台、人はみな役者』、たしかにそうだろう。
「じ、実は……」
五十嵐が口を開きかけたが、玲依が割り込んだ。
「よすんだ五十嵐、その汚名は私が着よう!」
いつの間にか部員たちが彰尋をぐるりと囲んでいる。ポニーテールの女子、青ヘアバンドの男子、部室で笑ってた子たち、もちろんスタッフも全部だ──四十人近い視線が玲依と五十嵐、そして彰尋、三者のおりなすトライアングルに注がれていた。
これもしかして……包囲網!?
逃がさないという意味か。
不安がピークに達し、冷静な自分が脱出口を探した。体育館の出口、カーテンの隙間、でも部員たちの笑顔がなぜか優しい。敵意はないけど、熱すぎる! 彰尋の負けず嫌いな部分が、ならば聞き遂げるまで、と肚をすえた。
「真実、それは何なんですか、教えてください!」
「我々は!」
このとき、どこからかサーベルを飛んで来た。玲依は見事キャッチしてすらりと抜き放ち、頭上にかかげた。
その瞬間、部員全員が唱和した。
「主にミュージカルを演じているんだ!」
これを合図に体育館は暗転し照明がともった。音楽も流れる。体育館が光と音に包まれたのだ。曲に乗せ部員たちが歌い、舞い踊る!
「そう、マタ大演劇部は主に」
玲依が歌う。声量、音程、すべて完璧に。
「ミュージカルを演じているんだ」
五十嵐も唱和する。話し声とはまるで異なるバリトンの美声だ。
一糸乱れぬダンス、分厚いコーラス、絢爛たる歌劇がはじまった。ポニーテールの女子がソプラノで高らかなソロをとり、青ヘアバンドの男子がステップを刻む。照明たるや天の川、幕が揺れ、春の風もまでがハーモニーになる。
なかでも玲依──オスニャルさまは別格の輝きだった。金髪が星屑のように舞い、サーベルが銀河を切り開く。彼女の歌声は天上の女王そのもの。彰尋は目を奪われ息を忘れた。こんな舞台、祖父の台本にも、公園の夜にもなかった。
壮大なドッキリ、だったんだろうか。
思わず体が動きそうになる。そんな恍惚とした気分ながら、彰尋は思わずにはいられなかった。
でもこれ……新一年生の見学があるたび、毎回やってるのかな。
だとしたらそれこそ、見あげた役者魂だ。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年03月24日
参加申し込みの期限
2025年03月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年03月31日 11時00分
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