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寝子島高校
君と世界のまんなかで。
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【これからも】
いろんなことがあったよね。空に溶けるようなあおいの言葉が、修の耳をさわさわとくすぐります。
「最後に寝子島高校を見てきたの。ついこの前まで通っていたのに、なんだかもう遠い世界みたいで。寂しくて、悲しくなっちゃって……」
「分かるよ」
大きなものはあらかた新居へ送ってしまったそうで、あおいの手荷物は小さなかばんがひとつ。重いものなら持ってあげたり、なんてこともできなくて、修はちょっぴり手持ちぶさたです。
最後。最後です。きっとこれが……修は寝子島で。彼女は九州へ。それぞれに違う道を歩むふたりがふたたび交わることがあるのでしょうか。
あの夜に告げられた言葉は明確ではなく、あおいの苦悩が極まりどうしても定まることのなかったがゆえの、子犬のように身を震わせながらの慟哭でありながら、修にとっては断りと同義です。
修はこれからもあおいと、友人として変わらない付き合いを続けてゆくつもりです。彼女の思いがどうあれ自分を変えることはないでしょう。
けれど、あおいは? 真っすぐに想い寄せてくれるひとりの男性を振りまわし、きっと傷つけたと考えている彼女は……真面目で誠実で、しっかりもので責任感が強く、そしてちょっぴり弱い彼女は、変わらず修との関係を保ち続けてゆくことができるでしょうか? 罪悪感を抱えたままに?
「過ぎ去った時は戻らない……ただ、俺はさ、あおい。それらがすべての終わりではないと思うんだ」
「うん……」
「俺はいつも言ってきた。『また明日』ってね。小さいけど大切な約束だ。それがあるから、また歩き出せる。迷わず歩んでいけるんだ。それがなかったら……」
修は区切り、まぶたを伏せました。さまざまなものが、こぼれてしまいそうなので。
「だから、思い出してごらん。あおいの中にある思い出を。大切な記憶をさ」
ふと。ホームへ気まぐれにやってきて、なにやら物ほしそうににゃおと鳴いたトラ猫を、あおいが抱き上げます。修はくすりと笑んで、いつも持っているにぼしをひとつ出してやりました。
にゃあ。にゃおう。
それは去り行く少女への、神秘の島からの手向けであったのでしょうか。にゃんこからほわほわほわんと淡い光がひろがると、ふたりを、駅を、あたりをほわわと包み込んでいきました。
一歩踏み出せば、ほわん。数歩歩けば、ほわわわん。そのたび光は揺らぎ、泳いで、散っては集まり、やがてひとつの像を結びます。
「ああ。そっか。こんなこともあったねえ」
光に映りこむのは、
バレンタインのチョコを作った日
のこと。おたがいに材料を買い揃え、エプロンを身につけて、キッチンに並んで調理をするのはなんだか、まるで新婚夫婦のよう。そんなふうに思えてどこか気恥ずかしく、けれど嬉しかったのを覚えています。
「あおいは料理が本当に上達したよな」
「そうかな? 本当に? そう言ってもらえるなら、嬉しいな。私としてもけっこう、がんばったつもりだったから」
「弟たちのために、よくやってたと思うよ。いい姉してるよね、あおいは」
「それだけじゃあ……ないけどね。お料理をがんばったのは、さ」
ちょっぴり上目づかい。どきり、修の胸ははずみ、猫はふにゃあと大あくび。
光は霧か雲のように流れていきます。つぎの大きな光の中には、
ふたりが猫を抱きながら映画を見る姿
がありました。
「映画、けっこう見たよね。いっしょに」
「ああ。どれもこれも、すべてが名作だった」
「そうかな? たまーにちょびっと、しょーもない映画もあった気がするけど」
「いっしょに見る相手が大事なんだよ。映画っていうのはさ」
言わんとするところが伝わってか、あおいの頬はぽわんと赤く灯ります。
ふたりで過ごした記憶は尽きず、どうやら光はそれら思い出によって構成されているようです。
美味しいもの食べたり
。
体育祭でいい汗かいたり
。寝子島らしく
不思議な体験をした
ことも一度や二度ではありません。
「私……知ってたよ」
「なにをだい?」
「気づいてた。修くんがいつも、私のことを考えてくれてたこと。気づかって、心配して、守ってくれて……楽しませてくれて、勇気づけてくれた。いつだって、修くんが……」
あおいの腕の中で、にゃおう! 鳴き声にぷるると紛れこむやかましい音に、光はぱあっと晴れていきました。
「……歩いていけるよ」
あおいの腕から飛び出し去ってゆく猫の揺れるしっぽを見つめながら、修はつぶやくように。もう、隣のあおいを振り向くことはできませんでした。彼女はいま、どんな顔をしているでしょうか。微笑んでいるのか。あるいは泣いているのか。
ホームへ寝子電の到着を告げるブザーが鳴り響き、修の胸は締めつけられました。
「思い出を胸に、真っすぐに。どこまでも。ゆっくりとでもいいさ。あおい、君は強いから……ああ。ほら。電車が来た」
なめらかにすべるように、寝子電はホームへとやってくると扉を開け、降りてゆく人の群れを吐き出すとしばしそこへ佇みます。ぽつり、ぽつりと幾人かが乗り込んで、出発を待つ間にあおいもかばんを手に車両へ、
「じゃあ……また明日、とは言えないが。またいつか、かな。次に会う時はおたがい、もう少し大人になって……、? あおい?」
ぴたり。ステップにかけようとした足を引っ込めて、あおいは立ち止まりました。
ぷるるとブザーが鳴り、
『1番線、電車が発車いたします。白線の内側にお下がりください。1番線、電車が発車いたします……』
「あおい、どうした? 電車が出てしまうぞ。早く乗らないと……」
「……すき」
鳥のささやきのように。小川のささめきのように。涙まじりの声は修の耳朶を打ち、衝撃は全身をつらぬいて、
「私、やっぱり……修くんがすき」
その瞬間、飛びこむ彼女の小さな身体を受け止めた頃には、修の思考までも停止してしまいました。
「どうしても、決められなかったのに。これで終わり、って思ったら……こわくて。ふるえてきて。もう、逃げ続けてはいられないって……ごめんね、修くん、ごめんね。ずっとずっと修くんを、私、振りまわしてばかりで。ひどいよね、私。ごめんね、ごめんね、私! でも、私……!!」
「……いいんだ」
もうなんのためらいもなく、修の腕はそうすることが当たりまえのように、彼女の背中を強く抱きしめていました。はらはらとこぼれた涙を止めてあげたくて、己を責めることなどひとつもないのだと伝えたくて、修はただひたすらにかたく、彼女を抱き寄せました。
止まったような時がゆるりと動き出したのは、電車が走り出したことに気づいたから。彼女が乗り込まないまま、寝子電はたん、たたんと軽やかに。
後部車両の車掌さんが通りすがりに修へぱちり、ウィンク。
「すきだ。あおい」
「私も……私もっ」
「いっしょに幸せになろう。俺は愛を裏切らない。世界の真ん中で、俺は……俺たちは、愛を誓おう。大好きだ、あおい!」
身を離すと、彼女の頬から耳の先まで、真っ赤っか。照れくさそうに目尻を拭って、あおいは、
「きざなんだから。もう」
泣き笑いを浮かべるままに、もう一度修の胸へと顔をうずめたのでした。
次の電車を待って、あおいは寝子島からたたん、たたん。旅立ってゆきました。
その顔は晴れやかで、軽やかで、はなやかで、それはとても、美しくて。修は胸いっぱいの幸せを抱いて、電車が見えなくなるまでずっとずうっと、手を振り続けました。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『君と世界のまんなかで』リアクションをばおとどけいたします~。
あおいちゃんとの二泊三日の旅行でした。お楽しみいただけましたでしょうか。
ちょっとはらはらしたかもしれませんね。
あおいちゃんとの長い長い交流を経て、こうしてひとつのゴールを描かせていただき、大変光栄でした。
オーバータイムでは楽しみ方無限大ですし、今後もおふたりの仲睦まじいお姿など拝見できればと思っております。
ぜひぜひ、恋人となったあおいちゃんとの世界線をお楽しみください~!
それでは、今回はプライベートシナリオにご指名いただきまして、まことにありがとうございました!
次のシナリオでお目にかかれますことを、心よりお待ちしております。
お疲れさまでした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年12月19日
参加申し込みの期限
2024年12月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年12月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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