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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
光風霽月
衣装も決まり、柚春と晴月は案内図に従って更衣室へとやってきた。
多くの人が利用する施設だからか、到着した先は個室ではなくダンスルームのような大部屋。けれど、壁面に並ぶ鏡の前は既に混み合っていたので、２人は鏡から少し離れた中央寄りの空きスペースに腰を下ろした。
「また晴月さんを可愛くする機会があって嬉しいな」
「私を？」
「うん！ 家に来てくれたときも楽しかったけど……桜井先輩にお詫びをしたかったから」
どういう意味だろうかと晴月が考え込んでいる間に、柚春は化粧ポーチを取り出した。その手に指輪が煌めいているのが見えて、晴月はずっと気になっていたことを口にする。
「ねぇ、どうして右手なの？ 結婚してたら左じゃないの？」
「え？ ……あ、指輪っ!? や、あの、これは確かにペアリングだけど、マリッジリングではなくて」
しどろもどろになりつつ、柚春は晴月との距離を詰めて「内緒ね」と唇に人差し指を立てた。しかし、秘密にして欲しいなんて言う割には全く困った顔をしておらず、むしろ話したくてうずうずしていたように見える。
「左手は大切な日にとっておくんだ。右の薬指にも『予約済み』って意味があるから」
「付ける場所に、意味があるの？」
「気にする人は少ないかもしれないけどね」
そう前置きして、柚春は右耳のピアスに触れると、幸せそうに微笑んだ。女性は右に、男性は左に対のピアスをすることで『大切な異性がいます』という意味になる。残念ながら柚春とウォルターがしているのはデザインの違うピアスだが、互いの瞳色の石を贈り合ったともなれば、何か意味があるのかと期待も高まって当然だ。
ホワイトデーに貰ったネックレスには、独占欲や愛情を。クリスマスに貰った腕時計だって、生涯一緒に時を刻みたいという意味があるのだ。
そんな沢山の愛に包まれているはずの柚春は、説明し終えると憂いた顔でこう続ける。
「ワットが深い意味を込めてアクセサリーを贈ってくれたかなんて、わからないけどね」
どちらかというと、彼の瞳色のピアスを気に入ったのが始まりだったように思う。それが柚春の好きな色ならばと選んでくれるようになって、アクセサリーを身に付けるならと似合う物を選んでくれた。……彼の性格からしても、きっとそうなんだろうとは頭の片隅では分かっている。
何から何まで意味を気にしていたら身に付けられる物は無くなってしまうし、縁起の良くない物を贈られたなら落胆してしまう。けれど、彼は言ってくれた。国によって異なったり、新色の改良によって無数に増え続けたりする花言葉を気にするかと問うたとき、『自分の信じたい言葉を、信じればいいんじゃないかなぁ』と教えてくれたから。
だから柚春はもう一度笑みを取り戻し、晴月に告げた。
「これをプレゼントしてくれた時のワットの表情や言葉も含めて、意味があるって僕は信じたいんだ」
「……もらって嬉しいじゃ、ダメなのかな」
「そんなことないよ、本当はそれでいいと思う。ただ僕は……自信が無くて、繋がりを強く求めてしまうんだ」
各地を転々と引っ越した。離れても友達だよと言ったって、疎遠になってしまう人の方が多い。どこにでも馴染んで、誰とでも友達になれる自信はある。だけどそれは、その場限りのハリボテだ。
誰の心にも残らず忘れられるのが怖い。寝子島に来たときだって、親は『最後の転校』と約束してくれたけれど、いつ反故にされるかと思いながら過ごしていて――出逢ってしまった。
「結婚式で左手の薬指につけるのは、その指が１番心臓に近い指だからなんだ。けどね……」
その誓いを、心を相手に捧げるという大切な意味がある左の薬指。想いだけならあるように思っても、きっと今の自分は……その覚悟がどれほど重いかなどわからない。ウォルターに押しつけるばかりで支え合えないのでは、付ける資格などあるものか。
元より『今は』恋人ではないのだから、左手に付けられるなどと思っていない。だから柚春は、ペアリングは右手の薬指がいいと思い、ウォルターと選び先日購入となった。
「今の僕らはね……結婚どころか恋人になれないんだ。けど、気持ちは揺るがないよって想いを形にしたの」
指輪の外側には互いの瞳の色を、内側には愛してるの暗号と２人の誕生石を。繋げれば浮かぶハートや四つ葉のクローバーが、２つで１つだと示してくれる大切な指輪。
それを柚春が愛おしそうに見つめるものだから、思わず晴月も顔を綻ばせる。
「お揃いは素敵だけど、意味を知ってるともっと素敵になるね！」
他にも意味はあるのかと話をせがむ晴月を一旦制止して、柚春は男性陣を待たせないように先に着替えようかとクスクス笑う。そして知っているアクセサリーの意味を話ながら着替え終わると、最後に天真爛漫な晴月の赤ずきんに似合う軽いメイクを施してあげるのだった。
多くの人が利用する施設だからか、到着した先は個室ではなくダンスルームのような大部屋。けれど、壁面に並ぶ鏡の前は既に混み合っていたので、２人は鏡から少し離れた中央寄りの空きスペースに腰を下ろした。
「また晴月さんを可愛くする機会があって嬉しいな」
「私を？」
「うん！ 家に来てくれたときも楽しかったけど……桜井先輩にお詫びをしたかったから」
どういう意味だろうかと晴月が考え込んでいる間に、柚春は化粧ポーチを取り出した。その手に指輪が煌めいているのが見えて、晴月はずっと気になっていたことを口にする。
「ねぇ、どうして右手なの？ 結婚してたら左じゃないの？」
「え？ ……あ、指輪っ!? や、あの、これは確かにペアリングだけど、マリッジリングではなくて」
しどろもどろになりつつ、柚春は晴月との距離を詰めて「内緒ね」と唇に人差し指を立てた。しかし、秘密にして欲しいなんて言う割には全く困った顔をしておらず、むしろ話したくてうずうずしていたように見える。
「左手は大切な日にとっておくんだ。右の薬指にも『予約済み』って意味があるから」
「付ける場所に、意味があるの？」
「気にする人は少ないかもしれないけどね」
そう前置きして、柚春は右耳のピアスに触れると、幸せそうに微笑んだ。女性は右に、男性は左に対のピアスをすることで『大切な異性がいます』という意味になる。残念ながら柚春とウォルターがしているのはデザインの違うピアスだが、互いの瞳色の石を贈り合ったともなれば、何か意味があるのかと期待も高まって当然だ。
ホワイトデーに貰ったネックレスには、独占欲や愛情を。クリスマスに貰った腕時計だって、生涯一緒に時を刻みたいという意味があるのだ。
そんな沢山の愛に包まれているはずの柚春は、説明し終えると憂いた顔でこう続ける。
「ワットが深い意味を込めてアクセサリーを贈ってくれたかなんて、わからないけどね」
どちらかというと、彼の瞳色のピアスを気に入ったのが始まりだったように思う。それが柚春の好きな色ならばと選んでくれるようになって、アクセサリーを身に付けるならと似合う物を選んでくれた。……彼の性格からしても、きっとそうなんだろうとは頭の片隅では分かっている。
何から何まで意味を気にしていたら身に付けられる物は無くなってしまうし、縁起の良くない物を贈られたなら落胆してしまう。けれど、彼は言ってくれた。国によって異なったり、新色の改良によって無数に増え続けたりする花言葉を気にするかと問うたとき、『自分の信じたい言葉を、信じればいいんじゃないかなぁ』と教えてくれたから。
だから柚春はもう一度笑みを取り戻し、晴月に告げた。
「これをプレゼントしてくれた時のワットの表情や言葉も含めて、意味があるって僕は信じたいんだ」
「……もらって嬉しいじゃ、ダメなのかな」
「そんなことないよ、本当はそれでいいと思う。ただ僕は……自信が無くて、繋がりを強く求めてしまうんだ」
各地を転々と引っ越した。離れても友達だよと言ったって、疎遠になってしまう人の方が多い。どこにでも馴染んで、誰とでも友達になれる自信はある。だけどそれは、その場限りのハリボテだ。
誰の心にも残らず忘れられるのが怖い。寝子島に来たときだって、親は『最後の転校』と約束してくれたけれど、いつ反故にされるかと思いながら過ごしていて――出逢ってしまった。
「結婚式で左手の薬指につけるのは、その指が１番心臓に近い指だからなんだ。けどね……」
その誓いを、心を相手に捧げるという大切な意味がある左の薬指。想いだけならあるように思っても、きっと今の自分は……その覚悟がどれほど重いかなどわからない。ウォルターに押しつけるばかりで支え合えないのでは、付ける資格などあるものか。
元より『今は』恋人ではないのだから、左手に付けられるなどと思っていない。だから柚春は、ペアリングは右手の薬指がいいと思い、ウォルターと選び先日購入となった。
「今の僕らはね……結婚どころか恋人になれないんだ。けど、気持ちは揺るがないよって想いを形にしたの」
指輪の外側には互いの瞳の色を、内側には愛してるの暗号と２人の誕生石を。繋げれば浮かぶハートや四つ葉のクローバーが、２つで１つだと示してくれる大切な指輪。
それを柚春が愛おしそうに見つめるものだから、思わず晴月も顔を綻ばせる。
「お揃いは素敵だけど、意味を知ってるともっと素敵になるね！」
他にも意味はあるのかと話をせがむ晴月を一旦制止して、柚春は男性陣を待たせないように先に着替えようかとクスクス笑う。そして知っているアクセサリーの意味を話ながら着替え終わると、最後に天真爛漫な晴月の赤ずきんに似合う軽いメイクを施してあげるのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2024年10月16日
- 参加申し込みの期限
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- 2024年10月23日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2024年10月23日 11時00分
