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木の芽雨にはぐくまれ
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【白と黒と】
「うおーっ、降ってきた!」
叩きつけるような雨が水煙を生み、旧市街は白くけぶっていた。もうしばらくは大丈夫だろうとたかをくくり、傘を持ってこなかった自分を
桜井 ラッセル
は心の中でぽかりとたたく。なんという大失敗。すっかりずぶ濡れだ。
「まいったなー。これじゃカナリアになって飛んでくこともできねーし……」
せっかくのろっこんも、小鳥がはばたくことさえむずかしそうなこのどしゃぶりにはどうにも無力に思える。試してみてもいいが、その後をぐっしょり濡れネズミのまま過ごすかと思うと気が引けた。
「しゃーねえ、雨宿りするか」
みるみる強さを増してはげしくなった降り方に、かばんで頭をおおい、ひゃーっと声をあげながら手近な軒下へ駆け込む。
雨のにおいをかき消すようないいかおりに振り向くと、避難先は総菜屋の店先だった。いかにも老舗といった年季の入った店構えに、人のよさそうなおっとりおばあさんが大きななべでじゅうじゅう、コロッケを揚げている。なんとも香ばしいかおりがラッセルの鼻腔をくすぐった。ごくりと喉がなり、そういえば小腹が減っていたのだと思い出し、もうたまらなくなって、
「おばちゃん、コロッケ1つ……いや2つ!」
「あいよっ」
ひょいひょいと軽快なトングさばきでコロッケを油からとりあげるおばあさん。待たされることもなく、ほいっとすぐに手渡された紙袋には、湯気のたつあげたてが2つ。昔ながらのポテトコロッケだ。その美しい黄金色に、ラッセルの瞳はかがやいた。
さっそくぱくり。ああ、なんたるジューシー! 口のなかを満たすサクサクとほくほくのハーモニー!
「う、うまっ。こりゃウマい!」
「あはは。美味しそうに食べるねえ~」
と言ったのは、お店のおばちゃんではなかった。
「んお?」
「わたしも最近、おきにいり。もーやみつきなんだよねえ」
流れるような銀と黒のツートンが、軒から落ちる雨粒の影に揺れていた。どこか眠そうな瞳が青くきらめいて、ラッセルを見上げている。惣菜屋の店先にはベンチが据えられていて、
黒白 滴
はそこへ腰かけコロッケをほおばっていた。
「よお、黒白じゃん! お前も雨宿りか? あ、っつーか俺のこと分かる? 3年の桜井ってんだけど」
「知ってるよお、桜井センパイ。有名人だし、それに」
あの列車に乗ってたでしょ
? などと滴は言わなかったが、活躍するラッセルを見ていたのだろう。
深淵特急の旅はけわしく、切ない別れをもともなう道程となった。滴を救い、現世へと帰し日常を変わりなく過ごさせるため、危険に身をさらしながらの奮闘には価値があったのだろう。多くは語らない、けれどどこか感謝や尊敬の念がにじむ滴のまなざしに、ラッセルは自らの行いを誇らしく思う。
「……って、俺有名人なの? どういう意味で?」
「絵を描くセンパイって。あと意外と頼りがいあるとか」
「意外と……」
「ちょっとおっちょこちょいだよねえ~とか」
「それは悪口じゃねーのか!?」
ラッセルとしては、そんな思いをして救い出すことができた滴のその後は少々気がかりであったから、この偶然の出会いはありがたかった。
「で、最近どーよ?」
「最近って?」
「まあ、いろいろあったからな。ほら、体調わりーとか、あんときの後遺症とか。気になってたんだよ。困ってることとかねーか? 先輩になんでも言えよな!」
きょとんとして、滴はしばしコロッケをほおばるのも忘れて口をあけていた。会話のすき間にはわずかながらに沈黙が生まれたが居心地わるくはなくて、ぽつぽつと降り落ちる水滴が屋根をたたく音が一定のリズムをきざみ、むしろ心地よいくらいだ。
「……じゃあさ。ちょーっと協力、してくれる? センパイ」
「お? なんだよ、なんでも言ってみろよ。あ、俺にできる範囲でたのむな」
「うん、大丈夫。そのまましばら~く、動かないでねぇ」
「え?」
そう言って滴が取り出したのは、スケッチブックと硬さの異なる鉛筆が数本。軽やかに鉛筆は走りはじめ、白紙へいささかこわばったラッセルの表情が写しとられてゆく。
ラッセルが滴を気にかけた理由のひとつは、おたがいに共通するファクターがあったからだ。つまり、どちらも絵を描くので。ラッセルのちょっぴり濡れた前髪をさらさらと表現する彼女は、あの霊界での危急に見た顔とはうってかわって活き活きとしていた。
「最近、絵描くのが前よりずうっと楽しくってさぁ」
「おー、いいことじゃん!」
「うん、いいことだ~ってわたしも思うよ。きっとね。ねえ、桜井センパイはさ、卒業しても絵を描くの?」
「ああ俺、マタ大の芸術学部行くんだ。寝子高じゃ普通科だったけどな。やっぱ、あきらめきれなくてさ」
ほえ~マタ大かあ、と気の抜けた返事をもらした滴もラッセル同様、進路に惑っているのだろうか。木天蓼大学芸術学部への進学を決めるまでには、ラッセルにもあれこれと苦悩があった。けっして簡単な決断ではなかった。のほほんとして悩みなんてないように見える滴だってきっと、時がくれば悩むだろう。
「いいね~、将来は売れっ子絵師さんかな? サインでももらっとこうかなあ……はい、これ」
なかなかに写実的で出来のよいラッセルの似顔絵をあっという間に描き上げ、渡してくれた。
「くれるのか? おー、上手いじゃん!」
「そっかなあ。へへへ~」
絵の好きなふたり。共通項ある先輩と後輩。そう、かわいい後輩だ。
「サンキューな! 大事にするよ」
「いつかセンパイが有名になったら、価値が出るかもねえ~」
彼女の複雑な家庭環境を思えば、たとえまっとうな夢をもったとてすんなりとはかなうまい。だからこそ、
「……芸術の道目指そうってんなら、不安はお互いさまってな。いつでも力になってやっからさ。がんばれよな!」
「ありがと~、センパイ。いつか、なにか、頼るかもねえ」
自分だけではない。彼女の夢もかなえばいいな、とラッセルは微笑み、願った。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年07月01日
参加申し込みの期限
2024年07月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年07月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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