プイプイ☆モルかみ！寝豆（ねず）島へようこそ！｜リアクション

プイプイ☆モルかみ！寝豆（ねず）島へようこそ！

　神野は三毛谷の身体を隅から隅まで調査し、採取したデータをパソコンに打ち込んでいた。
　その姿はモルモットではなく、元の姿の人間のままであった。
「急に私のモルモット化が解除されたわね。興味深いわ。何が原因だったのかしら？　思考パターン？　それとも他者への干渉を行ったことで元の姿に……？　いえ、やっぱり採取したデータが役に立ったと考えるべきね」
　どうらや神魂は神野の研究熱心さには勝てず、彼女のモルモット化を解除してしまったようだ。
　対して三毛谷は目をクラクラさせながらペットボトルに入った水を飲んでいた。
「ひどい目に遭った……まさか採血に飽き足らず、脳波や心電図やレントゲン写真やMRIまで……ちょっとした健康診断じゃないかい」
「でも、おかげで良いデータが取れたわ。なるほど……脳は人間の機能とほぼ同じ、骨格はネズミらしさを保ちつつ筋肉量が発達してるのね。さっきプロテイン入りの食事を与えたことで更に今後はムキムキなモルモットへ進化も可能に……」
「いや、しゅっとなりたいとは言ったけれど別に金剛力士のような身体を目指しているわけじゃないんだがね……？」
　研究に没頭する神野をどうしたものかと三毛谷は考え込む。
　ふとテオの言葉を此処で思い出した。
「そういえば、大きな猫の毛玉をテオが捜しているそうだ。心当たりはないかい？」
「え？　それならうちの研究室にあるわ。ほら、あれ」
　神野が指差した先に、標本と化したデカい猫の毛玉が飾られていた。
「うわ、デカくて毛玉だとは認識できなかったねこれは……さっきからずっとあったのか」
　三毛谷はもっと小さい物かと想像していたので、抱えられるほどのサイズの毛玉をそれだと認識していなかったのだ。
「生物部で拾ったのよ。というか、やはりモルモットは猫に関心を示すかしら、興味深いわね」
「これ、借りてもいいかい？　少々用事を思い出してね」
　三毛谷の反応に、神野の眼光が鋭くなる。
「これはいい対照実験ね。あなたの反応、観察させてほしいわ、いくらでも使って構わないわよ」
「結局ついてくるのかい。まあいいさ。ではゆこうではないか、寝子高の屋上へ」
　こうして２人は『約束の地』へ足を運ぶ。
　そして道すがら三毛谷は通行人に聞き込みをし、ネコモウボールを順調に回収していった。
「ウーモウチュウにスーモウチュウ、そしてサンモウチュウも回収と。ああ、そこの。丸い猫の毛玉を知らないかい？　知ってたり無事みつけられたら、お礼をしよう。もちろん襲うなんて論外さ。私は義理堅いんだ。ああ、わからないならいいんだよ。とりあえず、サラダバーでも奢ってあげよう。話はそこでゆっくりと聞こうじゃないか。そして興味あるなら一緒にさがしてくれるかい？」
　時に人頼りに、時に三毛谷の能力で隠れている場所をこじ開けて見付けたり。
　そうしてここまで３つの毛玉を獲得してきたのだった。
「すごい執着ぶりだわ。彼を何がそこまで掻き立てるのかしら？」
　一方、神野はテオのオーダーなど忘れており、ひたすら三毛谷の観察に集中していた。

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