【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！｜リアクション

【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！

　青山絢はストレッチをしながら周囲に目をやる。本格的なマラソンウェアを着た参加者が多く見られた。
　――受験の結果次第だけど、島を離れることになるかもしれない。だから、このマラソン大会は記録ではなくて、記憶に残るような思い出にしたい。
　腰を左右に回転させた。一息入れて青くて広い空を眺めた。
「絢ちゃん、花は貰った？」
　水谷真優理が笑顔で駆け寄る。
「もちろん、そういう大会だから。青のパンジーで花言葉は『誠実な愛』だって。真優理さんのそれは椿よね？」
「そう、白い寒椿で良い感じでしょ」
　側頭部に近い位置に白い寒椿が髪飾りのように挿し込まれていた。
「花言葉はね。『申し分のない愛らしさ』って聞いたよ」
「真優理さんに相応しい花だよね」
「三十路越えで愛らしいって言われても、まあ、見た目が若々しいから似合わない訳ではないと思うけど、それはさすがに照れるよね！」
　笑顔の早口で妙に腰をくねらせた。
「そうよ。ゴールしたあとで花を交換しようよ。私の寒椿は絢ちゃんにぴったりよね」
「それなら青のパンジーは真優理さんそのものだね。とても誠実で、愛情に溢れていて、何度も私を優しく包み込んでくれた」
　微笑んだ顔で目を伏せる。真優理は横に付けて絢の背中に手を当てた。
「絢ちゃん、一緒にゴールしようね。それで花を交換して喜びを分かち合って、それから先のことはまた考えようよ」
「ありがとう。そうする」
　真優理の明るさに絢は目を細めた。