【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！｜リアクション

【マラソン大会】お花がいっぱい♪ フラワーマラソン！

　霧生愛は寝子島高校の女子バスケット部員らしく赤いユニフォームを着ていた。高い身長を誇るものの一年生で体力に不安が残る。補強する目的でマラソン大会の参加を決めた。
　――碧南先輩や浅見先輩も参加しているはずなんだけど。
　高い身長を活かし、適当に歩いて回る。同様に高身長の浅見柚乃を難なく見つけ出す。
　その姿が尋常ではなかった。興奮した顔で一方を睨み付けていた。視線の先を見ると羽生碧南の姿があった。話し相手は鷹取洋二と知って、ヤバイ、と口から零れた。
　咄嗟と言える行動で愛は柚乃にすぐさま声を掛けた。
「浅見先輩、ここにいたのですね。探しましたよ」
「なんで私を」
「後輩が先輩を頼っておかしいですか？　それに同じバスケ部のキャプテンだし、いろいろと話を聞いて貰いたいこともありますよ」
　愛は柚乃の意識を引き付ける。
「それで聞いて貰いたいことって、なによ」
「もう少しスタートラインに近いところで話をしましょうよ。どうせ出るなら上位を目指さないと」
　多少、強引と思いつつ愛は柚乃と腕を組み、前の方に移動を始める。
「それはそうだけど、いつもと態度が違うって感じがするんだけど」
「この花のせいかもしれませんね」
　愛は花飾りにしたカモミールに、そっと手を当てた。
　花言葉は『逆境に耐える』で現状をよく表していた。連れて行かれる柚乃はわかっていないようだった。
「……やれやれね」
「なんか言った？」
　刺々しい目の柚乃に愛は、気のせいですよ、と明るい表情で返した。