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仲良くなりたい、その11
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大層な言葉よりも、消えない傷を残すよりも、もっとささやかで心に刻まれるもの。
存在すら信じていなかった優しさを、
朝鳥 さゆる
は見付けることができた。
ひとつ触れ方を誤ればくすんでしまうかもしれないと思っていた、清純な輝きを放つ幸せは、季節が巡っても色あせることはなく、何度朝を迎えたって霧のように消えることもない。
怯えていた夜を過ごすために数えていた星も、目を背けていた月の輝きも。共に見上げる人がいれば温かいのだと知った日から、さゆるには世界が違って見えた。
夢であれば必要ないと、心を閉ざそうとしたこともある。
期待さえしなければ傷つかずに済む。それなら、安寧すら望むまいと暗がりに独りで蹲ろうとした。
不安は疑心へ、戸惑いは拒絶となって。
自傷することでしか生きていることを確かめられなかったさゆるにとって、温かな居場所を与えられることは元より、欲していると認めることも難しかった。
幾度となく葛藤して手に入れたのは、人並みの幸せなのかもしれない。けれど、これは大きな一歩だ。
想い想われる幸せを知って、年相応の笑みを見せることが増えたことで、変われるんだと思っていたのに。
独りじゃないのだと、強くなれたとさえ思い始めていたのに。
「お久しぶりね」
余裕たっぷりな顔をして微笑む
葉利沢 倫理子
……の、別人格であろう
Malice
が、進行方向からやってきた。
ただ声をかけただけ。たったそれだけなのに、さゆるの肌は危険を察知したようにぞわりと粟だつ。
その感覚に、思い知るのだ。
――なにも、変わっていないと。
日曜日。
家のことはだいたい昨日片付けてあるので、
姫木 じゅん
がハイテンションになる『ニチアサ』が終わってしまえば、特に急いでやることもない。
何か2人で楽しめるイベントでもあればと思ったけれど、クリスマスを控えた今時期はパーティ準備のワークショップが盛んで、手先の不器用なじゅんが匙を投げてしまうのは、誘う前から目に見えていた。
(まだ、ケーキ作りとかなら……)
作る工程は全てさゆる任せとなるだろうが、食べる楽しみくらいはあるだろう。それなら、食べたい料理のリクエストも聞き出せるし、悪くないかもしれない。
(それなら、プレゼントのリサーチが先でもいいわね)
早いところでは、すでにクリスマスの飾り付けが始まっている。さりげなくサプライズをしようにも、周囲を見れば気付かれてしまうだろう。
「買い物でも行く?」
冬の小物を少し見て、帰りがけに食材を買い足したい。何でも無いことのように、さゆるはじゅんを買い物に誘った。
服の趣味だって違うし、読む本のジャンルも違う。だからこそ、1人では到底入らないような店を案内されることが、意外と楽しみだった。
「あ、じゃあメイクも! こないだ店でオススメされた色があってさ~」
まったくノープランだったウィンドウショッピングの目的地が定まっていく。
ばたばたと準備を始めるじゅんを見て、さゆるはホッと息を吐いた。
忘れていた日常を、知らなかった当たり前を。
普通の女の子として生きたいと願うことすら躊躇していたさゆるにとって、ウィンドウショッピングは退屈を埋める時間潰しでは無く、特別なデートだ。
寒いから留守番している、なんて断られなくて良かった。
(こんなことを言えば、大げさだって笑いそうだけど)
それでも、これくらい小さなことが幸せなのだから、仕方ない。
この幸せを咎める者が居るとしたら、地獄の底で待っている。
蓋をこじ開け引きずり込むことはなくても、ただじぃっと粘着質な視線を向けて笑っているのだろう。
汚れに汚れ、傷だらけになって朽ちるのが先か、壊れ病み堕ちるのが先かと思っているに違いない。
(……いつまでだって、待っていたらいいわ)
生きながら死ぬことは止めた。
過去を清算するために行き着くところは同じでも、ただ絶望して転がり落ちてなどやるものか。
「さゆる?」
始まりが行きずりでも、似たもの同士の傷のなめ合いに見えても――深いところで繋がっていることなど、その暗い場所からでは見えないかもしれないけれど。
「ううん……」
大事なことは2人が知っていればいいのだと、強くなれた。
夜に捕らわれても不安を消してくれる。じゅんとの幸せな生活に耽溺しているうちに、生まれ変われたのだと錯覚していた。
……だから、忘れていたのだ。
悪意に揺らめく瞳を。癇性な笑みを。
その存在を認識したと言わんばかりに嫌悪を見せれば、喜ばせてしまうことも。
悠然と距離を詰めるMaliceを、さゆるは睨み据えていた。
傍らにじゅんがいてくれるなら、逃げる必要はないとも思ったし、終わりにできるとさえ思った。
「あたしたちに何の用?」
「何の用って……あなた、すっかりその女に骨抜きにされたのね?」
まるで、子供が猫でも拾ってきたかのように呆れて微笑むMaliceは、じゅんを一瞥した。
気付いたら我が物顔で、さゆるの隣にいる女。
さゆるが健気な乙女心で尽くしている、忌々しい女。
今までのように、明けない夜を過ごす相手としてじゅんを選んだわけじゃないことは見て取れる。
不特定多数と行きずりの日々を過ごしておいて、真に愛する人ができたからと操を立てようとするだなんて、いじらしいところもあるものではないか。
「退いて」
「何から?」
この場からか、さゆるからか。どちらの意味も含んでいることを知りながら、Maliceは笑む。
余裕を見せるように嘲る顔を隠そうともしない姿に、じゅんは舌打ちするように零した。
「空気読めないの?」
幼い顔立ちが、僅かに苛立ちを滲ませている。幸せな時間を台無しにされたとでも言いたいのだろう。
でもそれは、Maliceの台詞だ。
「空気を読まずに、さゆるを飼い慣らそうとしているのは誰かしら?」
出逢ったのはどちらが先とか、どれだけ強く想っているとか。
涙のひとつでも見せて訴えたところで、さゆるがこの腕に帰ってくるわけではない。
元より、無理に暴き組み敷いていただけなのだ。拗らせた一方通行の熱に追われることを、さゆるが望んでいたのならともかく。
好いてくれていたと勘違いするほど、単純でおめでたい思考もしていない。
必要なのは、甘さでもときめきでもない。ただそこに、さゆるがいれば幸せだったのに。
(誰よりも知っているのよ……さゆるを理解しているのは私。愛しているのは私!)
ぶち壊したじゅんが何を言おうが、どうでも良かった。
ここで喚いても空気を読んでも、さゆるが鞍替えをしないこともわかっている。
ならばMaliceに出来るのは、2人の前に立ち塞がること。
さゆるとじゅんがMaliceを認識している限りは、この舞台に幕は下りない。ただの都合の良い噛ませ犬などに成り下がってやるものか。
「……話にならないわね」
これ以上は時間の無駄だと、さゆるはMaliceを押しのけ去ろうとする。それを許すまいとMaliceはさゆるに手を伸ばしたが、その手はさゆるへ触れる前に払い落とされた。
「お呼びじゃないって言われたのよ」
淡々と事実を告げただろうじゅんの顔が、酷く憎らしい。
当然のように連れ立って、目で会話をして先を急ぐ姿が忌々しい。
「ふふっ……そうなの?」
言葉こそとぼけた風であるが、表情はそうではなかった。
妬ましい想いを曝け出すMaliceは、嫌な予感を抱かない人のほうが少ないだろう。
2人は振り切るよう、足早に通りを駆け抜けた。人混みに紛れてしまえばという考えがどこかにあったのかもしれない。
……これが初めてなら、そんな希望も持てた。
たった
1度
逃げ切れなかっただけでも、次こそはと思えたかもしれないけれど。
こうしてMaliceに追われることは、
それだけではなかった
。
(どうして、忘れていたんだろう)
変質した愛は、吹き出す瞬間を待つ溶岩のようだ。
地震も起こらず煙も見せないから、すっかり忘れてしまっていたけれど。火口を覗き込めば変わらずそこで、どろりと熱くたぎらせている。
塞いでしまうことも、鎮めることもできないなら、さゆるにできることは火口から離れることだけ。
悔しいけれど、それもまた余計な火の粉を浴びないための防衛手段だ。
「ごめん、じゅん」
「ほんとにね。次はゆっくり買い物させなさいよ?」
軽口で返すじゅんは、気にしてないようだったけれど。
まだ逃げることしかできないうちは、その優しさに甘えてしまおうと足を走らせる。
今するべきは、感謝でも謝罪でも無く――あの女を振り切ることだ。
「あら、もうおしまい?」
幸せになることは、罪とでも言うのか。
逃げ込む場所などわかりきっていたかのように、Maliceはじゅんのマンションの前に居た。
体調不良のさゆるを届けたりと、家はすっかり把握されている。どうせ買い物の気分にもなれず、すぐに帰ってくるだろうと予測して、先回りしていたようだ。
「ふふっ、おかえりなさい」
撒いたと思っていたのに再び立ち塞がる姿が、さゆるの中で嫌な記憶を呼び覚ます。
忘れてはならないと闇が手を伸ばし、あの日々を繰り返せと囁くようにまとわりついた。
僅かながらに動揺するさゆるの異変を、すぐさま察することができるほど、じゅんも心の機微に敏感なほうでは無い。けれど、ただの行きずりの相手や一方的な勘違いを拗らせている相手であれば、さゆるも顔を曇らせることはないのだろう。
ここで大騒ぎをすれば、住人である自分たちが不利だ。その上、さゆるはもっと傷つく羽目になる。
「……受けて立とうじゃない」
表向きには、立ち話も何ですからお茶でもどうぞという顔をして。
部屋に招き入れれば何が起こるかなど、今までを考えれば容易に察することが出来る。そして、それを甘受するほどの刺激も、今は求めていない。
店に連絡をすれば場所を貸してくれたのかもしれないが、個人的なことに巻き込めやしない。となると、もう人目を避けるとなると、部屋に招き入れるほかなかった。
「じゅん……!」
「大丈夫」
執拗に追いかけ回すMaliceが、大人しく会話をして帰るだなんて、最初から思っていない。しかし、
本気で刃傷沙汰を起こす気なら
、今までだっていくらでもチャンスはあった。
今まで
を考えれば、何が起こるかなんてわかりきっているから――じゅんは、前に出た。
「さゆるもお世話になってたみたいだし?」
過去はどうあれ、今は違う。
いつまでも逃げ回るわけにも、睨み合っているわけにもいかないのなら、腹をくくるまでだ。
それから、何時間が経っただろう。
部屋中に染みついた煙草の臭い、壁一面に貼られたアニメのポスター。
心地よい気怠さが、一気にただの倦怠感となってしまった。
「せっかくの気分が台無しね」
先に起きていたじゅんが、興味のなさそうな顔で紫煙を細く吐き出していた。一層漂うメンソールの煙草の香りに眉を潜め、Maliceはそっとまだ眠るさゆるに掛け布団を被せる。
こうして3人で絡み合うことも初めてでは無い。他人と共有するというのは癪だけれど、さゆるがまだ飽きないというのなら致し方ない。
――そう言い聞かせなければ、狂ってしまいそうだった。
(………………)
最近小煩くなってきた別人格が、何かを言った気はするけれど、だからどうした。
他人から見なくたって知っている、これがどれほど無様であるかも。
ギリッと奥歯を噛みしめ身支度を調えるMaliceを、視界の端に捕らえながらじゅんは呟く。
「跳ね返ってくるでしょ」
チリチリとゆっくり先端を燃やし、煙草を吸う事を止めない。
まるでこれは独り言だとも言いたげに、虚空へ漂う煙へ向かって呟いていた。
「他人を傷つけようとしたって、それは全部自分に跳ね返ってくるだけ」
「なぁに、お説教?」
そうしなければいけなくなったのは、誰のせいだ。素直に引き渡せばいいものを、抗っているのは誰だ。
もう始まりなど、Maliceにとってどうでも良かった。さゆるを奪われ傷ついた心をどうにかできるなら、さゆるを組み敷けたのなら、憎いじゅんが地を舐める思いをしたなら、それでよかったのに。
「……あんた、かなしい女だね」
「私が、かなしい?」
相手にもしないといった素振りだった相手が、哀れんだ瞳を向けている。思わずカッとなって、Maliceはじゅんの首に手をかけた。
これほど長い時間、さゆるが1人の相手をすることはなかった。今回の荒れ狂った時間だって、どんなに辛酸を嘗めさせようとしでも2人は庇い合い、愛し合っていると見せつけてきた。
どうあがいたって、届かないことなど知っている。言われなくたってわかっている。
(さゆるのことで知らないことなんてない、さゆるを想ってぶつかっているのは私)
下手なことをすれば、すぐに絞め殺してやる。そう言わんばかりに指先に力を込めるが、じゅんは一瞬目を見開いただけで、動揺などしなかった。
もがきもせず、請わず、淡々とMaliceを見据えている。
「殺す気? でも、あたしを殺してもさゆるはあんたにものにはならないよ?」
「……みじめじゃない。私は奪われてばっかりで」
何も残らない。
生きているのか死んでいるのかもわからない。
ふふりと笑みを浮かべるMaliceは、ほんの少しだけ――出逢った頃のさゆると似ていた。
静かに閉じる玄関の音で目を覚ましたさゆるは、ぼんやりと部屋の中を見る。
部屋の中には誰もいない、洗面台のほうからばしゃばしゃと水音が聞こえてくるから、誰かはそこにいるのだろうけれど。
「じゅん……?」
ここはじゅんの部屋だ、Maliceと2人にするわけがない。そうは思っていても不安だった。
ずっと行為の最中、文字通り身体を張って守ろうとしてくれたじゅんは、夢幻ではなかったと信じたい。
水音が止まる。タオルを探して空を彷徨うマニキュアで彩られた手を、さゆるは思わず掴んだ。
「じゅんっ!」
――もうしばらく、さゆるはあんたに預けるわ。せいぜい大事にしてね、じゅん?
そう言って触れた唇が、いやに重く残っている。
じゅんは打ち消すようにして、さゆるをずっと抱きしめた。
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浅野 悠希
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ゴールドシナリオ(200)
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3人まで
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日常
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定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年06月05日
参加申し込みの期限
2023年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年06月12日 11時00分
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