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寝子島高校
仲良くなりたい、その11
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訪れるのは、何度目だろう。
綾辻 綾花
は、本の貸し借りと勉強を口実に、
早川 珪
の家へと足を運んだ。
まだ気軽に来られる場所ではないけれど、理由さえあれば拒まれることもない。プライベートな空間に立ち入れる距離になって、好意を隠さず態度で示すようになったなら、浮ついていてもおかしくないはずなのに――綾花は、小さな不安を抱えていた。
少なくとも、彼には嫌われていないはずだ。こちらの好意を知った上で、距離を置こうとしないのだから、寧ろ好ましく思われているのではと思う。
(だったらどうして、
あのとき
……)
――高校生活は、1度きりだよ。
それだけを聞けば、残り少ない高校生活を謳歌したらどうかと、年上として気遣っているようにも聞こえる。
けれどもこの時、話題にしていたのは恋愛に関する話だ。『後悔しないのか』と案じてくれていた部分もあっただろうし、深い意味は無かったと思いたい。でも、珪は綾花の想いを知っていてこう言ったのだ。
(それって……他の人と付き合ってほしいってこと?)
気にしすぎと言い聞かせるには、少し無理のある言葉の刺。チクリと心に痛みをもたらしたそれの真意を聞くためには、もう少し踏み込んでみるしかない。
借りた本の感想を伝え、次はどんな本かなと笑い。切り出そうとしては、思い返して足が竦む。
少し勉強を見てもらって普通に話せていることに安堵しても、不安の種は既に芽吹いてしまっているのだ。
「珪、先生は……」
もし本当に、珪の本意がそのままの意味であったなら。
1度きりの高校生活を悔いなく過ごしているかという問いだけなら、何も問題ない。
(でも、もし)
単刀直入に聞くにも、言葉を選ぶ。
今はどうしたって生徒と先生で、想いが筒抜けであっても告白はしていない。であれば、聞いたところで回答はもらえないか、良くて当たり障りの無い物になってしまうだろう。
「なに?」
「……お夕飯、何が食べたいですか? 今日のお礼に作らせてください!」
「お礼なんて……僕だって楽しい時間だったのに、そこまでお願いできないよ」
遠慮することなんて聞く前からわかっている。彼がいくら優しくったって、人の希望を優先的に叶えようと甘やかすことがないのは、とても誠実で責任感が強いからだ。
「ダメですよ。本の貸し借りは対等でも、勉強は教わったんですからお礼は受け取ってください」
ただ手料理を振る舞うのに口実が欲しいだけ。もう少し長く一緒にいる理由がほしいだけ。
言葉の端々に滲んでしまう想いに、気付かない素振りをされてしまうのは悔しいけれど……生徒であるうちは困らせたくもないから、甘んじるしか無い。
「そう言われると……じゃあ、僕にも手伝えそうなくらい簡単を一緒に作ろうか」
いつからだったろうか。仕方ないねって、今日だけだよって言うように甘やかされるようになったのは。
その度に期待が膨らんで、卒業まではと思っていた想いは溢れていく。
先生の顔をして、薄いカーテンのような仕切りを隔てるのに、優しく微笑んで見せるから……なんて、好きが止まらない理由を押しつけはしないけど。
「決まりですね!」
ただ知りたいのだ。彼にどう思われているかの――ヒントが、欲しい。
献立を決めて買い物を済ませ、キッチンに並ぶ。
例えばそれが、複数の生徒に囲まれてのことだったり、お互いにまったく特別な感情が無ければ、さして珪も気にしなかっただろう。
珪は、綾花の好意を知っている。
自分に向けられたそれが、単なる生徒が先生を尊敬する眼差しではなくて、子供が大人に憧れる物でもなくて……1人の女性として、珪へ恋心を向けてくれていると理解していた。
学生時代を振り返っても、今の生徒たちを見ていても。大多数の若人の恋心は、一瞬の熱にしか過ぎない。もちろん、そうでない人もいることは身をもって知ってはいるけれど、きれい事ばかりの本の中ですら、描かれる青春時代の恋は幼いものだ。
だから綾花も――そうなるだろうと、どこかで思っていた。自分が手一杯でもあったし、接点が無くなれば自然と冷めるものだからと、軽く流していた。……はず、だった。
「珪先生、多めに作って冷凍しておくか、味違いの常備菜を冷蔵しておくかならどっちがいいですか?」
手際よく調理を進めて行く綾花に、思わず言葉を詰まらせる。
考え事をしていたとも言えなくて、「作りやすい方で」と濁した。
(よくない、よな……)
生徒に慕われて嫌がる教師はいないだろう。
そこに違った色が帯び始めても、まあこの年頃はそんなものかなと思う余裕もある。
自分が追いかける側でないからこそ、それが本気かどうか吟味して、相手を試すことだって――なんて考えてしまうのは、少なくとも気に掛かっているからだ。
振り向くつもりもないのなら、相手の思いがどうであれ自分には関係ないと言い切れる。
なのに、実際はどうだ。
先生でなくなっても好いてくれるのかとか、一時の熱ではないのかと気になって。
これでは、あれこれ理由を探して向き合わないようにしているだけではないのか。
(……ずるいな)
本当は自信がないだけだ。
学校の中という狭い世界で物を見ているから、気になるだけじゃないかって。
先生と生徒という、少し秘密を抱える関係だからこそ憧れが増すんじゃないかって。
これは、綾花を遠ざけるための言い訳のようで、珪が自身に言い聞かせていることだ。そうして特別な目を向けないように、冷静さを失わないように。……自分が、戸惑わないために。
もっと恋愛経験を積んでいれば、こんなことにはならなかったのかもしれないけれど、悔いたところで経験値は増えやしない。
見て見ぬ振りをしないのなら、向き合っていくしかない。そうなると、重くのしかかるのは『大人』として、そして『先生』としての配慮と常識だ。
(もうすぐ彼女も卒業……そうしたら)
きっと伝えてくれる言葉がある。でも、すぐに応えたらあらぬ噂を立てられるかもしれない。
想われていると知っていて、知らない振りを続けるのにも限度があるし、誠意に欠ける。でも。
その日が来たとして、何と答えるべきなのかは――まだ、見えてこない。
「あとはこれで、様子を見ながら煮詰めるだけです!」
朗らかな笑顔を見せる綾花は、だし汁が煮立つまでお片付けもしちゃいましょうと洗い物をし始めた。
今夜はあっさりめの肉じゃがで、濃いめに煮詰めたものと後で分ける予定なこと。そのまま味違いでも楽しめるし、食感を変えるなら卵で綴じても美味しいと話す姿は、見慣れたものではないはずなのに。
「あと、スコップコロッケなんかも……パン粉の代わりに粉チーズでも美味しくできるんですよ」
色々とアレンジの利く料理だから試してくださいねと笑って話してくれるのを、当たり前のように聞いているけど。
「……珪さん?」
「あ……ごめん。色々気を遣わせて」
「いえ、私が好きでやっていることですから」
わかっていたことなのに、改めて思うと焦りが生まれる。
彼女に思われていることも、こうして世話を焼いてくれることも。
(……決して、当たり前なんかじゃないんだ)
じっと鍋を見張っているには長すぎるけど、ゆっくりと本を読むには短い時間。
コトコトと煮立つ鍋の音を聞きながら、綾花は今がその時だと勇気を振り絞った。
「……この前、図書準備室でした話。覚えてますか?」
後になって『夜の相性』が何を示すか知った綾花は、随分大胆なことを聞いてしまった気恥ずかしさにのたうち回ったものだ。珪も、まさかの話題を振られて一瞬目を瞬いたけれど、綾花の真剣な面持ちにそうでは無いのだろうと口を噤む。
そう、焦点を当てるべき話題は――。
「私が他の人と付き合ってほしいって、本当に思ってますか?」
「それは……」
言葉とは難しいものだ。
思っているか、思っていないか。その二択で心を言い表すことができたなら、どれほど良かったか。
前提条件が絡み合い、結果としてはこうだけれど、真の答えとしてはそうではない。なんて、ややこしいケースに発展すれば、綾花から珪の真意を汲み取ることは難しくなってしまう。
(そうやって言葉ならはぐらかされる……でも)
先生としての建前も、大人としての節度も、必要なのはわかっている。
けれど今知りたいのは、そんな当たり前のことではなくて、純粋にただ1つの想いだ。
「珪さんとして私の事どう思ってるのか、言葉以外で教えてください」
告白をしたところで、彼がするべき返事は決まっているのだろう。
だからこそ言葉を飲み込むし、困らせるようなことはしないと踏みとどまれている。
卒業まであと少し。頑張ると決めた期限の日まで目前になって、今さらながらに思ってしまった。
彼と近づけるような切っ掛けがあって、想いを匂わせても傍に置いてくれて。それなのに、待ってくれていなかったらどうしようかって。
「珪さんの今の気持ちが知りたいです」
真っ直ぐに見つめる目は、潤んでなかっただろうか。不安でいっぱいではなかったろうか。
どうかこの気持ちを告げるまで、待っていてほしいと言えればいいのに。
「知ったら、どうするの?」
「え……」
不思議そうに、珪は問うていた。
困っているでも、照れているでもない。ただ、じぃっと見つめ返して、様子を窺っている。
「それは、だって……知っていたら」
「うん」
このまま想っていてもいいのだと、確信が欲しい。
今自分が歩いている道は、珪に繋がっているのだと……がむしゃらに走って迷子になっていないと。ゴールが見えていなくても、遠回りでも確実に辿り着けるとわかっていたら。
――じゃあ、そうでなかったら?
大切で特別な生徒だと言われたら。……心を許せる友だちの1人だと言われたら。
今はそれで十分ですって笑って、大人しく引き下がって。恋愛対象になれないことに区切りを付けられるだろうか。
どくんどくんと心臓がうるさい。知りたいことは、知りたくないことかもしれない。
けど。
「何も変わりませんよ。ただ、知りたいだけです」
努めて冷静に、綾花は微笑んで見せる。
なんと言えばいいのか、口にしていいのかもわからない想いを込めて、珪は綾花を強く抱きしめた。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年06月05日
参加申し込みの期限
2023年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年06月12日 11時00分
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