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仲良くなりたい、その11
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ひとと比べて長寿な種族であっても、不老不死というわけにはいかない。
どれほど偉大であっても老いには勝てぬし、病も患う。生きとし生けるものの宿命として、始まりがあれば終わりがあるのは、至極当然のことだ。
それが理解できぬほど、
片夏 阿呂江
も幼子ではない。どれだけ父が素晴らしく誇らしかろうが、決して逃れられぬ時がやってきてしまうことは理解していた。
(……それはもっと、長として立派な姿を見せてからだとは思っていたがのう)
薄暗い蔵を片付けながら、阿呂江は小さく息を吐く。
親不孝をしない限り、親を看取るのは娘の仕事。いつか見送る側に立つことくらい、頭の片隅にはあったけれど。まだまだ縁遠い話とも思っていたのに、その日は呆気なくやってきた。
――片夏村の長として慕われていた阿呂江の父、
片夏 玉水
の
訃報
。
大妖怪と名を馳せたとて、世の理を覆す力を持ちはしないのだと、痛感した瞬間だった。
母の代わりに喪主を務めるためには、すぐさま涙を零すわけにもいかない。それも玉水の娘とあれば、なおのことだ。立派な姿を周囲に見せねば、不安だって広がるだろう。
村の名を冠するに相応しい大妖怪であった父、玉水との最期の逢瀬。近隣はもとより、遠方からも挨拶に来る者をもてなすためには、気の抜ける時間などあったものではない。
幼い頃より顔見知りの者から、生まれる前に世話になったという知人まで。
多くの人に名残惜しまれる父に、誇らしさもあれば「どうして」と詰め寄りたい思いもあり……てんやわんやの葬儀から何から、全てが終わったのは阿呂江が村に戻って1週間ほど経った頃だった。
「父上……」
来客も落ち着き、片夏村は日常を取り戻しつつある。だから、阿呂江は蔵へ赴いたのだ。
粛々と喪に服すと気が滅入ってしまうでもなく、思い出を辿るように足を踏み入れたでもない。
通路を狭くする樽に、棚には年代物のラベルが貼られた瓶。あれも、これも、それも、なんだったら目に付くもの全てと言ったっていい。並んだと言うより押し込められたという状態に近しい酒の数々を前に、阿呂江は盛大に息を吐いた。
「ええい、物には限度というものがあろう!」
まずは元より蔵にあったもの。それから弔いにと頂いたもの。
何より蔵が溢れる要因となったのは、祝い酒だ。
死んだと思った玉水が、幽霊となって再び舞い戻ってきた――それ自体は大変喜ばしい。
だけれども、問題はそのあとだ。
慌ただしい葬儀は祝宴となり、村をあげてのお祭り騒ぎが三日三晩どころの話ではない。
さめざめと涙して仏様にと酒を持ってきたかと思えば、めでたい話だと再び酒を持ってやってくる。来客は落ち着くどころか増え続ける一方で、蔵に入り切らぬと振る舞われた酒も少なくない。
なのにこうして、溢れかえってしまっている。原因は明白だ、一番飲むと思われた主役の玉水が酔い潰れてしまったためだ。
ただでさえ幽体を持って間もない頃。何が要因で姿を維持できぬようになるかも知れぬというのに、飲み食い出来ると知った玉水が飛びついたのは酒樽だった。
祝いだと盛り上がる場に煽られたのもあって、景気よく酒樽を空けた玉水は酔い潰れ、『幽霊の二日酔い』という肴を提供して以降、一切酒には手をつけていない。
そんな父も、今は母と悠々外出できるほどに回復した。が、心配をかけた手前控えているか、母が目を光らせている……と言ったところだろう。
玉水の回復を見守って、宴もお開きとなった。そうなると、振る舞いきれなかった酒は嗜む程度では到底飲み切れる量ではない。
(ほとぼりが冷めたら飲むつもりでいるのもしれぬが)
樽ごといくからいけなかったのだと、軽く一升瓶ならと手にする父が容易に想像できた。
いくら飲み食いできるからと、無理をして異変があったら大変だ。幽体になったとはいえ、いつまで維持できるのか……コントロールできるかも不明な今、父には健やかに暮らしてもらわなければ。
帳簿を片手にいくつかの酒を探しだし、阿呂江はそれを自室の床下へ厳重に隠した。
「……さて。片付けは切り上げて、そろそろ身支度もせねばの」
「足労をかけて申し訳ない。よう参ってくれたな」
恰幅の良いといえば聞こえはいいが、ぽってりした腹を持て余すように撫でる
銭屋 ポン松
は、客間に顔を出した阿呂江に軽く頭を下げた。
「いえ、此度は……お悔やみもお祝いも遅れてしまいまして」
「とぼけるか? お主の働き、聞き及んでいるぞ」
指摘に動じずニコニコと食えぬ笑みを浮かべる様は、まさに商売人だ。恩を売っておけば今後も贔屓にしてくれるという下心も、下手に出てたんまり謝礼を貰っておこうという魂胆も、無いとは言い切れないのだから末恐ろしい。
けれども大切なお得意様として、玉水の友人として。何より阿呂江を良く知る友人の1人として、当然のことしかしておらぬと、ケロリと言ってしまいそうでもある。
「何人もの参列者が、お主から聞いて来たと話しておった」
屋敷で葬儀の準備に追われていた阿呂江には、父の知人を洗い出して伝達する余裕もなかった。そんな中で、報せを方々に伝え回っていたのがポン松だ。
「ははは。人の口に戸は立てられぬものです、私だけではないですよ」
「そうだとしても、ポンに礼を言わねばならぬだろう」
腹の探り合いをする気は毛頭無い、事実を伝え礼を尽くす。阿呂江は茶菓子のお代わりを持ってくるように使いに頼み、改めてポン松に感謝の意を示した。
「今は出掛けている父上や母上に代わって、感謝申し上げる」
「ほほう? お二人分ですか。これは豪勢な礼ですね」
にんまりと笑うポン松は、少々引っかかる物言いをした。
続いてやってきた茶菓子のお代わりに、遠慮無くと頬張る姿は菓子しか眼中にないようにも思えるが。
(やれやれ。こうもわかりやすい取引を持ち出されるとは)
まだ阿呂江をおぼこい童だと思っているのなら、改めさせなければ。そのために、今日は朝から蔵掃除をしていたのだから。
「もちろん、儂からの礼も用意してある。酒はどうだ?」
「酒、ですか」
「ああ。今から案内する蔵にある酒を、好きなだけ持っていってよいぞ」
これは、ポン松にとって悪い条件ではないはずだ。
酒の好みはあるかもしれないが、各所から届いた祝い酒に安酒は混ざっていないだろう。たらふく飲むにも、じっくり飲むにも適した酒をくれてやるというのだから。
「ほほう、どんな酒でも?」
茶菓子に伸ばしていた手を、顎に添える。
興味を示した姿にほくそ笑むと、阿呂江は玉水が二日酔いになってから酒を控えていることを告げた。
蔵だけでは飽き足らず、屋敷の一部屋にも酒が押し込められている。持っていってもらえるとありがたいと付け加えて、にんまりと笑い返した。
――感謝の気持ちはもちろんある。
何も葬儀やその後の祝宴で奔走したのは、阿呂江1人ではない。次期長としては未熟な自分を、陰に日向に支えてくれた者たちがいてこそ、やり遂げられた。であれば、その協力者を労わねばなるまい。
ポン松の活躍を考えれば、これくらいの謝礼は安いものだ。なぜなら……玉水が秘蔵していた銘酒は、そこには無いからだ。
(父上が一切断酒するとも思えぬからな)
これからは飲み方を改めると約束を取り付けたとき、家族一緒に酌み交わしてみるのも悪くない。だから阿呂江は、一部の酒を移動させたのだ。
「はっはっは。いいでしょう、受け取りましょう。ですがね、娘殿」
「なんじゃ?」
「人様の大事な物に手を出すほど、私も落ちぶれてはないですよ」
ずずっとお茶をすすって、全部顔に出ていると伝えると、阿呂江はどうしてと言わんばかりに袖で顔を隠す。
「まあ、私のような商売人や、図太い相手にはそれくらいで丁度いいと思いますがね」
ペロリとお代わりの茶菓子も平らげて、腹を撫でる。そのふてぶてしさに悔しくも思うが、父以外にも尊敬できて頼れるあやかしが多くいることも、また事実。
「この村の長を継ぐに相応しいあやかしになろうというのに、ポンを凌げぬとは……」
まだまだなんてプライドの高い阿呂江は中々に認められない。が、それと誠意は別だ。
「ええいポン! こうなったら夕餉も食っていけ、そこで儂のとっておきを開けようではないか!」
「おお、さすがは大狐の娘殿。若手あやかしの中で、右に出る者はいない程に気前が良い」
「ふっふっふー褒めてもこれ以上は何も出さぬぞ♪」
年齢や性別なんて垣根は、2人の友情の前にはない。
気楽な物言いが飛び交う居心地の良さだけが、そこにあった。
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あとがき
担当マスター:
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから!
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
たいっへんお待たせいたしました!
参考シナリオを楽しく読んでいたらこんな時間でした。
『これ!』という1本勝負な方も、書けるだけ書いた方も、じっくりじっくり読み込みました。
シナリオが公開される前後には、ともだち設定の反映もあるかと思います。
思ったように進展して嬉しい人も、ぐぬっとなる人もいるかもしれませんが、関係は変わっていく物です。
今回を踏まえて、次のステップを目指して頂けますと嬉しいです。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ!」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします~!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年06月05日
参加申し込みの期限
2023年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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