ひねもすのたり、雲の切れ間に｜リアクション

ひねもすのたり、雲の切れ間に

～ケモノの檻、もれいびたちの昼～

「おし、皆集まったな。それじゃ記念撮影しようぜ！」
　午前１０時、旧市街のまたたび市動物園に志波武道、旅鴉月詠、八神修、猫村翡翠、後木真央の５人が集まっていた。
「一番最後に来た奴の台詞じゃないね」
　写真を撮ろうとはしゃぐ武道に、月詠の冷静なツッコミが突き刺さる。
「流石誰よりも早く来て絵を描いて待ってた月詠ちゃんは言うことが違うぜ……」
「集団で行動するときに少し早目の行動を心がけるのは当然」
「ま、別に時間には間に合ったんだからいーじゃねーの。あ、すみませんちょっと写真撮ってもらって構いませんか？」
　武道はたまたま通りがかった大学生風の男に声をかけ、カメラを渡す。
「他人の手を煩わせなくても俺が撮ったのに」
　修が戻ってきた武道に言った。
「いーのいーの。折角なんだし皆で写る方がいーだろ？」
「そうそう、修はちょっと気を回し過ぎだよ」
　修をなだめる武道の言葉に翡翠も便乗する。
「ほらほら早く並ぶのだ！　撮ってくれる人を待たせちゃ駄目なのだ！」
　真央が声をかけると、５人は動物園入口に置いてある猿菩薩像の周りに並んだ。この猿菩薩像は以前月詠が彫って寄贈したものである。前列に月詠と真央、後列は向かって左から武道、修、翡翠の順番で並んだ。
　カメラを任された男の「ネコたすネコはー？」に合わせ、５人揃って『にゃあ！』と応えてポーズをとった。