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【もう、戻れない】
ほんのひと時、寸の間に湧き上がった懐旧の念。ちっぽけな、ただのそれだけと
椎井 莉鳥
は、少なくとも彼女自身はそう思っていた。それとも思い込もうとしているだけなのだろうか。
何の変哲もないベンチから、やけに離れがたく感じる自分を自覚する。
(なんで……今頃)
終わったはずなのに。まだ残る温もりにすがるよう、缶コーヒーを両手に握り込む。すぐにも立ち上がり家路につく時間だというのに、心がベンチの背もたれをがっちりと掴みそれを拒絶していた。
浮かんでは消えゆく顔。かつては鮮明に思い出せたものだが、今は少しばかりぼやけている。別れて半年だ。記憶の鈍化かもしれないし、意識して頭の中から追いやろうとしてきた、その成果のあらわれとも言えるかもしれない。
(ああ。そう。そうか。このベンチ)
人の記憶能力はままならず、時に自身へ酷な働きもする。不意に蘇ってくる思い出はまさしく、莉鳥が腰かけ離れがたく思うこのベンチにまつわる記憶だった。
(あいつとここで、二人で、よく話をしたっけ)
幼なじみで、恋人だった。そうなろうと語り合ったわけでもなく、気づいた時にはそうだった。中学2年生の頃だったろうか。
まさに、このベンチだ。部活帰りにコーヒーやたまにはちょっとした惣菜、ひと口スイーツなど買い、ここで放課後のけだるさを紛らわせた。どれほどの長い時を過ごしたことだろう。どの記憶にもバカ話をする彼の姿や、莉鳥のツッコミにおどける顔ばかりがあった。
コーヒーをひと口含む。行き交う人通りは絶えない。
高校へ入学してからも関係は変わらなかった。時計の針の進みが歪むように、かすかな変化を見落としていただけかもしれないが。家族との確執から彼は家を飛び出し寮暮らしを始め、バイトに明け暮れるようになり、莉鳥もまた陸上部での記録の伸びに手ごたえを感じ始めた頃だ。ベンチへ座る機会は減ったが互いに変わるものはないと信じていた。なんと無垢だったことだろうか。
(ただ、間が抜けてたのかもね)
コーヒーをひと口。
高校1年。バレンタインデーに、チョコを渡したのもこのベンチだった。
ベンチ、バレンタイン、元カレの記憶が強く紐づけられているのは、その日が莉鳥にとって忘れがたく、そして歪みの始まりの日でもあったから。チョコを渡し、莉鳥は彼を両親の不在に部屋へ招き、水が湧き出し川となるのと同じ程度には自然な流れで、初めてを経験した。裸身の上をなぞる彼の指先の感触は鮮烈だった。もちろんついばむようなキスも、この上なく間近に見た彼のまつげの細さも、痛みと衝撃も。
それからだ。莉鳥の中で何かが歪となり、ズレが生じていった。ズレは矯正されることなく広がり、莉鳥の内を歪めていった。
月光と夜、水のささめき
を思い出す。あの夜、ボートと波に揺られながらのキスもまた、決定的だったのだろう。今でも自分が分からない。なぜあんなにも凍えていたのだろう。おもわずすがりつき、芯からのぬくもりをよりにもよってなぜ、彼へと求めたのだろう。まるで雨濡れて怯える子犬のように哀れで無力な存在だった。あの夜の自分は。
その年の期末試験は莉鳥の中ですっぽりと抜け落ち、関わることをまるきり放棄して、結果一年の留年を喫することとなった。莉鳥が一年をもう一度繰り返し足踏みしている間に、彼は一歩を先に踏み出し、前へ進んでいった。
それで、終わり。コーヒーをあおる。缶はすっかり冷えていた。
いまだ自身に、説明をつけることができないでいる。戸惑いや混乱はいくらか落ち着いたが、歪みが正されたとは思わない。
(……仕方がないじゃない)
人の心の営みは必ずしも目に映る表情や感情の吐露ばかりではなく、奥底の全てをも言語化できようはずがない。人は人が思うよりはるかに繊細で、複雑精緻で、孤高で、不条理な存在だ。仕方がないことだ。
けれど、こうも思う。誰もが現代小説やドラマや漫画の登場人物のように単純かつ明朗で一本気な心の持ち主ならば、なんと生きづらいことか。誰もが誰をも理解し得るなら、隠し事の一つもできず、敷かれたレールの上を進み続けるしかないではないか。
(帰ろう)
だから莉鳥は目をそらす。終わったことだ。振り返るのは今でなく、もっとずっと、先でいい。
不意にこぼれた涙をぬぐい、起ち上がり、歩き始めた。ベンチを振り返ることはなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2023年01月25日
参加申し込みの期限
2023年02月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2023年02月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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