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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
キャットロード・セレナーデ
【スイーツみたいに甘くって】
いつもの光景。いつもの道程。いつものやりとり。
それがいい、と八神 修は思う。
「お、猫だ」
「この前もこのあたりで見たよね、この子」
七夜 あおいも変に意識したり、身構えたりしない。自然体の二人だから、午後のなにげないひと時が心地よい。
キャットロードにも猫は多く、訪れるたびに猫だまりに出くわしたり、物欲しげな瞳に負けておやつをやったり、ベンチに腰掛け何も考えずぼんやりと眺めたりする。時おり無防備にも膝へ乗ってきた子を、無心に撫でたりもする。
それがいい。
「修くん、今日はどうする？」
「そうだなぁ。少しこのへんブラついて……ああ、小腹も減ってきたかも」
「じゃあさっき言ってた秋物を見てから、どこかお店入ろっか」
「ＯＫ」
流れるように予定を決めると、猫たちに別れを告げて二人は歩き出す。
午後のキャットロードは盛況だ。人通りも多く活気に満ち、そこかしこにカップルの姿もある。修たちもおそらくそのように見られていることだろう。
「照れるな……」
「えっ、なにが？ どうかした？」
「いや、なんでも」
怪訝そうなあおいは少し鈍感なところがあったりするし、気づいていないようだけれど。
青果店の二階にあるフルーツパーラーへ入店する。あれこれ買って少し荷物が増えてしまったので、休憩タイムだ。
「あおい、ここのメニューはすごいぞ」
「どれどれ？」
案内されたテーブルで、二人で顔を寄せてメニューを確認する。
「わっ、なにこのパフェ！ いちごがこんなにたくさん……！？」
「こっちのプレートメニューもボリューム満点だな。おっ、ミニタルトセットも捨てがたい」
「迷っちゃうねえ」
しばらく吟味した後、いちごのデザートプレートとそれぞれにドリンクを頼むことにする。プレートはシェアしていただけば、学生のお財布にも優しい。
品物が届く間、雑談に興ずる。はじめこそ買った服のコーデだとか、最近聞いている音楽だとかの話がのぼるが、高校三年生の二学期だ。話題は自然と受験やら将来の展望やらへとシフトする。
「春からの生活はどうするんだ、一人暮らし？」
「今探してるところ。部屋を借りるとか、シェアハウスとか。また寮に入るのもありかな」
「桜花寮みたいなあたたかいところが見つかるといいな」
「うん、祈ってて。修くんは？ 受験勉強は順調？」
「それがなあ……」
だるん、とテーブルに突っ伏す修。勉強の鬼、彼ともあろう者が少々、お疲れらしい。
「もちろん手を抜くつもりはないんだが。気を張り続けていると、さすがに時々、緊張の糸が途切れてな……」
「へぇ、修くんでもそんなこと、あるんだねえ」
「そりゃ、俺も人間だからな」
つまり今日は、そんな日だったのだ。張りつめたものがぱちんと弾けて、外へ出て気分を入れ替える必要があった。
あおいに協力を頼めば、こうして快く付き合ってくれるのだからありがたい。
「ああ……あおいはいいなあ。受験が終わっていいなあ……」
「あはは。うらやましいでしょ」
「うらやましいなあ……」
「はいはい。頑張ってね、修くん」
うにゃうにゃと猫のように拗ねるそぶり。
「はあい。がんばりま～す」
「もう、何それ。ふふふっ」
あおいに頭を撫でられていたところで、いちごのプレートとドリンクがやってきた。顔を赤くしながら、あおいはいちごの入ったヨーグルトドリンク、修はアイスレモンティーを受け取った。
いちごのプレートはパフェに負けず劣らず、見るからにインパクト抜群。いちご入りのベイクドチーズケーキにワッフル、アイスクリームがセットになっている。フランボワーズソースをかけて、味を変えて二度楽しむこともできる。
それぞれを半分ずつにカットしてシェアすることにした。
「いただきまーす！ ……うん、美味しい！ みずみずしい～」
「青果店だけあっていいいちごを使ってるな。ケーキも繊細で味わい深い」
「このお店、アタリだね」
しばし、いちごのスイーツをめいっぱい、楽しんだ。
「すぐに冬がきて。春がきて。そうしたら……」
お腹も満たされたところで、店を出た。その足で、雑貨店のキッチンフロアへ向かう。
揃いのエプロンも少々古びてきた。いっそ新調しようか、交代で使うのもいいね。などと相談する中でふと、あおいがつぶやいた。
「あっという間、だね」
修は黙したまま、うなずく。
このエプロンを一緒に、何度着る機会があるだろう。あと何度、こうして一緒に買い物へ出かけることができるだろう。
もちろん互いに新しい門出だ。永遠の離別ではないのだけれど。
「これを着て、何を作ろうか。なんでもいいよ」
「そうだなぁ。この前レシピを見せてもらった、あの料理はどう？ ほら、鶏肉を使った……」
春は遠いようで近い。過ぎ去る時を惜しみながらも、大切に過ごしていこう。修はそう、心に決めた。
いつもの光景。いつもの道程。いつものやりとり。
それがいい、と八神 修は思う。
「お、猫だ」
「この前もこのあたりで見たよね、この子」
七夜 あおいも変に意識したり、身構えたりしない。自然体の二人だから、午後のなにげないひと時が心地よい。
キャットロードにも猫は多く、訪れるたびに猫だまりに出くわしたり、物欲しげな瞳に負けておやつをやったり、ベンチに腰掛け何も考えずぼんやりと眺めたりする。時おり無防備にも膝へ乗ってきた子を、無心に撫でたりもする。
それがいい。
「修くん、今日はどうする？」
「そうだなぁ。少しこのへんブラついて……ああ、小腹も減ってきたかも」
「じゃあさっき言ってた秋物を見てから、どこかお店入ろっか」
「ＯＫ」
流れるように予定を決めると、猫たちに別れを告げて二人は歩き出す。
午後のキャットロードは盛況だ。人通りも多く活気に満ち、そこかしこにカップルの姿もある。修たちもおそらくそのように見られていることだろう。
「照れるな……」
「えっ、なにが？ どうかした？」
「いや、なんでも」
怪訝そうなあおいは少し鈍感なところがあったりするし、気づいていないようだけれど。
青果店の二階にあるフルーツパーラーへ入店する。あれこれ買って少し荷物が増えてしまったので、休憩タイムだ。
「あおい、ここのメニューはすごいぞ」
「どれどれ？」
案内されたテーブルで、二人で顔を寄せてメニューを確認する。
「わっ、なにこのパフェ！ いちごがこんなにたくさん……！？」
「こっちのプレートメニューもボリューム満点だな。おっ、ミニタルトセットも捨てがたい」
「迷っちゃうねえ」
しばらく吟味した後、いちごのデザートプレートとそれぞれにドリンクを頼むことにする。プレートはシェアしていただけば、学生のお財布にも優しい。
品物が届く間、雑談に興ずる。はじめこそ買った服のコーデだとか、最近聞いている音楽だとかの話がのぼるが、高校三年生の二学期だ。話題は自然と受験やら将来の展望やらへとシフトする。
「春からの生活はどうするんだ、一人暮らし？」
「今探してるところ。部屋を借りるとか、シェアハウスとか。また寮に入るのもありかな」
「桜花寮みたいなあたたかいところが見つかるといいな」
「うん、祈ってて。修くんは？ 受験勉強は順調？」
「それがなあ……」
だるん、とテーブルに突っ伏す修。勉強の鬼、彼ともあろう者が少々、お疲れらしい。
「もちろん手を抜くつもりはないんだが。気を張り続けていると、さすがに時々、緊張の糸が途切れてな……」
「へぇ、修くんでもそんなこと、あるんだねえ」
「そりゃ、俺も人間だからな」
つまり今日は、そんな日だったのだ。張りつめたものがぱちんと弾けて、外へ出て気分を入れ替える必要があった。
あおいに協力を頼めば、こうして快く付き合ってくれるのだからありがたい。
「ああ……あおいはいいなあ。受験が終わっていいなあ……」
「あはは。うらやましいでしょ」
「うらやましいなあ……」
「はいはい。頑張ってね、修くん」
うにゃうにゃと猫のように拗ねるそぶり。
「はあい。がんばりま～す」
「もう、何それ。ふふふっ」
あおいに頭を撫でられていたところで、いちごのプレートとドリンクがやってきた。顔を赤くしながら、あおいはいちごの入ったヨーグルトドリンク、修はアイスレモンティーを受け取った。
いちごのプレートはパフェに負けず劣らず、見るからにインパクト抜群。いちご入りのベイクドチーズケーキにワッフル、アイスクリームがセットになっている。フランボワーズソースをかけて、味を変えて二度楽しむこともできる。
それぞれを半分ずつにカットしてシェアすることにした。
「いただきまーす！ ……うん、美味しい！ みずみずしい～」
「青果店だけあっていいいちごを使ってるな。ケーキも繊細で味わい深い」
「このお店、アタリだね」
しばし、いちごのスイーツをめいっぱい、楽しんだ。
「すぐに冬がきて。春がきて。そうしたら……」
お腹も満たされたところで、店を出た。その足で、雑貨店のキッチンフロアへ向かう。
揃いのエプロンも少々古びてきた。いっそ新調しようか、交代で使うのもいいね。などと相談する中でふと、あおいがつぶやいた。
「あっという間、だね」
修は黙したまま、うなずく。
このエプロンを一緒に、何度着る機会があるだろう。あと何度、こうして一緒に買い物へ出かけることができるだろう。
もちろん互いに新しい門出だ。永遠の離別ではないのだけれど。
「これを着て、何を作ろうか。なんでもいいよ」
「そうだなぁ。この前レシピを見せてもらった、あの料理はどう？ ほら、鶏肉を使った……」
春は遠いようで近い。過ぎ去る時を惜しみながらも、大切に過ごしていこう。修はそう、心に決めた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2023年01月25日
- 参加申し込みの期限
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- 2023年02月01日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2023年02月01日 11時00分
