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満ちるのは月か心か、それとも?
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土砂降りの雨に見舞われた、
あの日
に吐露した気持ちは全てが洗い流せたわけではないけれど。
彼と連絡が途絶えたまま疎遠になることを選べず、
城山 水樹
はNYAINEで
ヒュー・ヒューバート
とのやりとりを少しずつではあるが再開することにした。
自分が彼を裏切り、その罪悪感から壁を作り、酷い対応をしてきたはずなのに――彼は素っ気なくすることなく返事をくれる。
今日だって、お月見デートがしたいと誘ったのは水樹のほうだ。事実を打ち明けた今、どんな顔して言うつもりだと閉口されたっておかしくはない。それなのに彼はこうして、久しぶりのデートとは思えないいつもの顔で待ち合わせ場所に来てくれた。
それだけでも嬉しいと思えるし、今の距離感が当然だとも思うのに、己は貪欲だ。当たり前のようにエスコートされていた手が、繋がれないことに不安を覚えている。
寝子島神社の縁日を横目に、2人静かな温泉街のほうへと足を向ける。月明かりに足を止め笑い合う恋人たちにドキリとしたり、違う人だとわかれば安堵して隣を見上げ。今はこの距離で満足するべきなのかと、月へ問うように手を伸ばす。
(cry for the moon……)
去年のお月見
は、ナイトプールで過ごした。その時も彼を誘うのに緊張したけれど、あの時は初恋のように高鳴る胸が煩かったのを覚えている。
「水樹?」
「……届かないなって」
そりゃそうよねと、肩をすくめて歩き出す。
手を伸ばせば届きそうでも触れられない、彼の手と同じだと思う。伸ばすことさえおこがましいと、思ってはしまうのだけれど。
それでも歩調は合う。落ち着いた距離を探すように、肩の距離が近づいて。甲が触れそうで触れないところで緊張している熱を伝える。
耐えきれずに指を絡めたのは、どちらからだっただろう。
余計な言葉などなく繋いだ手に、じわりと幸せが伝ってくる。夢でもなくて、渋々といった横顔でもなくて、当たり前に彼と手を繋げている。
優しい温かさが水樹の身体を駆け巡ると、不安を包んだ涙が押し出されるように溢れ出た。
「え、水樹!? どうしたの」
求めたのは、どんな刺激でも一時の高揚を誘う熱でも無かった。
そんなこともわからなかったのかと自嘲する思いと、これだったのかと見つけられたことに安堵する思いが重なって、水樹の涙は止まらない。
「うれしいの……だって、もう二度と、この手と繋げないと思ってたから……繋いではいけない、と思っていたから……」
月よりも美しいと褒めてくれたその口は、抱きしめてくれたその腕は、まだ他の人の物になっていないだろうか。まだ、このぬくもりは自分のためにあると思っていいだろうか。
不安はつきないし、資格などないとわかってる。わかっているけれど、繋がれた手はやはり幸せで。
(……ありがとう)
この手を繋いでくれて、払わないでいてくれて。
たたみ掛けるように色々と告げたところで、気持ちが重く感じるかもしれない。それにまだ、本当の意味で許されているとは確信がもてなくて、水樹は言葉を飲み込んだ。
代わりに、遠慮がちに繋いでいた手をしっかり握りしめたまま、空いた片手で涙を拭う。
精一杯の微笑みを見せることが、今の自分にできることだった。
ヒューはそんな彼女の、内に隠した不安を――気づかないことにした。微笑めるなら、今はそれでいいと同じく微笑み返す。
柔らかに微笑み合って手を繋ぐ2人は、どこか遠慮のある、けれど初々しさともとれるような。そんな恋人たちだった。
温泉街のほうまで抜けてきて、気分が落ち着いてきた水樹はようやく余裕がもてた。
けっこうボロボロと泣いてしまったけれど、メイクは落ちてないだろうか。酷く泣きはらした顔をしていないだろうか。一度どこかで、化粧室でも寄ってみて――。
「……あのね、ヒュー」
まだ気軽に弾む会話はできないけれど。
去年とは違った緊張が、言おうか言うまいか言葉を詰まらせるけれど。
「結構泣いちゃったから、ちょっと寄りたいところがあるんだけど」
「ああ、いいよ」
「一緒に、温泉でも?」
この前だって、シャワーを別々に浴びた。それくらい距離が開いてしまっている。
それでも繋いだ手が温かで優しかったから、もう少し傍に近づきたかった。
ヒューは先ほどと同じく即答はしてくれなくて、ぎゅうっと繋いだ手を握り答えを待つ。
「…………いいよ」
たっぷりと熟考した彼は、少し困ったように繋いだ手の指先を遊ばせた。
「じゃあ、少しの間だけ離さないとね」
確かに、行き着く先が混浴だとしてもくぐる暖簾は別々だ。家族用の貸し切り風呂でも無い限り、このまま連れだって入浴することは叶わない。
ただほんの僅かな間。以前の自分なら気にしないほどの短い時間で、少し前の自分ならその僅かにも縋りたい大切な時間。
「あとで、ね」
今の水樹は、名残惜しみながらも自分から手を離すことができた。それは、罪悪感に苛まれていた時と変わってきていたのかもしれない。
暖簾の前で一時の別れを告げ、ヒューは男性の脱衣所で息を吐く。さっきまで繋いでいた手を眺め、ぼんやりと思うのは彼女のことだ。
(また放してしまったら、水樹は再び自分を責めてしまう)
繋ぎ止めておかなければならない。彼女は自分に愛想を尽かしたわけでも、拒絶していたわけでもなかった。
(繋いではいけないって、そんなわけ)
求められたなら返してしまう。……求められていなくとも、切望してしまう。そんな気持ちを押しつけたくはなかったし、それが枷になってはと抑え込んでいただけだ。
彼女は罪の意識に捕らわれて、罪悪感を基準に心が揺れ動いている気がする。許せるか、許せないかと白黒をつけた答えを今すぐ出せと言われれば淀みはすれど――愛せるのか否かという問いならば、答えは明白だった。
罪の贖罪に何かを求めることもなく、そう告げてしまうのは苦しめるのだろうか。
(……放したくない。壊したくもない)
今まで、どんな風に触れていただろう。ヒューはぎゅっと手を握りしめて、優しく笑えるように重い息を緩く長く吐き出した。
待たせてしまっただろうかとヒューが混浴の露天風呂へ向かうと、丁度水樹が何かを注文していたのか、大小の青竹が並んだ桶を抱えて出てきたところだった。
「冷たいので良かった?」
「そうだね。温泉に浸かりながらなら、冷たくて良さそうだ」
必要最低限の会話。それでも、重苦しくはなかった。
貸し切り状態の露天の、月が一番綺麗に見える場所。温泉を堪能しながら、青竹の爽やかな香りと共に冷酒を頂く。
潤す程度に軽く口をつけ、隣にいる水樹との距離感を探り。月を見上げてもう一口と味わい、手を伸ばせば指先が触れる。
軽く絡め、驚かさないようにと心がけ手を握り混めば、自然と寄り添い合うことができた。
やっぱり話が弾むわけじゃない、それでも。水樹が怖がらずにここに居てくれることが、こうして2人でいられることが何より大切だった。
しっかりと手を繋ぎ、守るように労るように寄り添って。無言で月を眺める時間は、風流と呼べるのかはわからないけれど。
(言葉は、今は忘れよう)
真っ直ぐ届くかわからないものなんて、なくたっていい。
本心は裏の意味はと疲弊するものなんか、使わなくたって。いくらだって心は寄り添える。
「…………っ!」
そんな風に思っていたから、本当に不意打ちだった。
彼女から贈られたキスは勢いに乗せられたはずなのに、たどたどしいとも言える軽い触れ方で。祈りをのせるように長く、心で何か思いを告げているのかというほどに、訴えかけてくるようなキスだ。
深く合わせるわけでも、腕を身体に沿わせるでも無く、ただ本当に純粋で長い……永遠とも思えるようなキスをした。
「……これが今の、私の気持ちよ」
言葉がいらないのは、水樹も同じだったのか。まだ心の内でまとまらないことがあるのか。
触れ方を考えあぐねるヒューには、緊張した面持ちの彼女に微笑み返すことが精一杯の気遣いだった。
望む言葉を今すぐに告げられないけれど、ただ黙って抱きしめることで伝わるだろうか。惹かれ合うようにキスをすることで、都合良く不安を払拭することなんてできないだろうけど。
今は、これが――彼女の心を労りつつできる、最大限の気持ちの通わせ方だと思うから。
瞼を伏せる水樹は知らない、ヒューがとても慈しむように目を細めたことを。
知っているのは、頭上の月だけだ。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
30人
参加キャラクター数
22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年08月20日
参加申し込みの期限
2022年08月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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