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満ちるのは月か心か、それとも?
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あれから幾度と夜を迎えても、考えないようにしていた。
視界に月を捉えたって、細ければ安堵し、丸くても「ちょっと欠けてたかも」なんて言い聞かせて。
だから、ちゃんと意識して満月を見上げるのは、
万条 幸次
にとって1年ぶりだ。
(だいじょうぶ……)
竹林に並ぶのはぼんぼりで、ジオラマのようなビルじゃない。
手だって握れる、鋭い爪なんてない……ちょっと汗が滲むのは、隣の彼女が可愛すぎるからだ。
(でも)
去年は夢だったけれど、今年は? また夢を見るのか、それとも――。
ざわりと全身が泡立つ感触がして、自分の意思と関係なく猫化するのではと恐怖に包まれた。
「先輩、大丈夫ですか?」
背丈の近い
愛猫 萌々子
と目線が合うと言うことは、巨大化なんてしてないということ。彼女が慌てて頭を隠そうともしないということは、耳も生えてないらしい。
そんな当たり前なことを認識するのに、少し時間がかかってしまった。
「あ、えと、……ってか顔近っ!?」
「ずっと声をかけてたんですよ? なのに気づいてくれないから」
これがどうでもいい悩みだったなら、冗談のひとつでも言えただろうけど。幸次には余裕が無くて、下手な言い訳も思いつかなくて。ただ顔を逸らすことしかできなかった。
「ごめん……折角、2人で出かけてるのに」
「そうですよ」
少し被せ気味に言い放つ萌々子は、怒っているのだろうか?
どれほど考え込んでいたかはわからないけれど、月を見ていい意味で言葉を失っていたのではないから、面白くない空気にさせていたのは明白だ。
「皆さん神社の縁日に寄られているのか、ここを通る人は少ないです。2人きりと言ってもいいくらいですよ」
両手を広げ、萌々子はくるくると回ってみせる。白いワンピースの裾が柔らかに揺れて、月光に照らされた黒髪が淡く光っているようにも見えた。
「悩みごと、少しは言いやすくなりませんか? 私で良ければですけど」
彼女は怒っていない、ただ心配しているんだ。
そのことに安堵と申し訳なさが入り交じって、幸次はゆっくりと空を仰ぐ。
猫の目みたいにまんまるな月。
「……去年のお月見は、猫の姿で楽しむつもりだったんだ」
キャットロードのアーケードの上で、人なら怒られるその場所で。
遮る物がない高い場所は、さぞ眺めがいいだろうと、足取り軽く登っていって。
「寝ちゃったんだよねぇ」
折角いい場所だったのにと、自嘲する幸次は震える手を握りしめた。
夢ですよって笑って欲しいのか、寄り添って欲しいのかも分からなくて。ただ彼女が悲しい顔をしなくて済むように、自分へ大したことないよと言い聞かせるように、詰まりそうな息を吐き出して笑った。
――みぃんな壊しちゃう、夢を見たんだぁ。
「凄かったんだよ、怪獣映画に出てくるような巨大な猫になって、寝子島で暴れ回る夢!」
自然も人も建物も、何もかもがあっけなかった。
ちょっとじゃれついただけで混乱に陥る島が、おもちゃ箱のようだった。
……そう語る幸次が、不自然なくらい饒舌で。無理に笑おうとしているから、心を痛めているのだと萌々子は察した。
「その巨大猫が自分だって認識はあるんだけど、別の視点から見下ろしてて……あれって正夢だったりするのかなぁ?」
この1年は何もなかった。
それでも、この『ろっこん』は不明瞭な点が多い。暴走しないだなんて言い切れない。
「ほら、俺は猫になると……」
好戦的になるところがあるから、夢とは思えないのだ。
そう続けるか迷って萌々子を見れば、話に水を差すまいと引き結ばれた唇が戦慄いている。
「愛猫さん?」
「どうして、笑うんですか。そんな取り返しのつかない様子を見てしまってたら、誰だって怖くなります」
「あはは~……だってカッコ悪いじゃん、夢なのにさぁ」
「夢でも……夢だからこそっ! 先輩が怖いと思うことは、全然かっこ悪くないです!」
同じ能力ではないが、この力の恐ろしさを萌々子だって知っている。
結果的に何も起こらなかったから良いという話ではない、使いどころを誤れば『そう』なるのだと、自戒のためにも恐ろしいと思った気持ちは忘れてはならないとも思う。
「私は……初めてろっこんが発動した時に、衝撃波でお父様のネクタイを切ってしまいました」
夢ではなく現実の話。『ろっこん』に目覚めたからこそ寝子島への縁も強く感じたし、あの一件があったからこそ受験の後押しになったのも事実だ。
けれど、父に一矢報いたかったわけではない。
「もし衝撃波がズレていたら……例えば、喉元に当たっていたら」
狙って使ったわけじゃない。それどころか、力を使えるだなんて知らなかったのだ。
だからといって、萌々子が父に風の刃を向けたことには変わりない。
「ごめん……」
「どうしてですか?」
「いや、だって……俺のは夢なのに」
「関係ないですよ。この力は、使い道を誤ると怖い……それは一緒です」
ずっとこの能力と付き合っていくのか、ある日消えてしまうのかも。
どんな時に力が増幅し、暴走してしまうのかも――わからない。
「絶対に暴走させません、なんて言えません。でも、私がついてますから」
心ここにあらずであれば、声をかけてあげる。
悩みがあるなら聞いてあげる……できることは僅かしかない。
「それでも不安なら、今だけでも大丈夫だと思ってもらえませんか?」
解決策なんてないけれど、それくらいなら。1人で不安にならないでほしい。
願いを込めるように、少しでも彼の不安が晴れるようにと萌々子は優しく笑う。
「――――っ!」
そんな彼女がたまらなく愛しくて、幸次は衝動的に抱きしめる。
突然のことに短い悲鳴が聞こえた気がしたけれど、構うものか。
「ちょっ、あの、先輩! 強いです!」
「へ? あ、ごめんっ!」
強く抱きしめられては、抱き返すこともままならない。
辛うじて身じろぎできるようになった萌々子は、手を伸ばし――背中では無く、彼のボサボサな頭をぽんぽんと撫でる。
「元気、出ましたか?」
「……ありがとう、元気出たよ……っと、これじゃあ愛猫さんから月が見えないねぇ」
残念だけど、と笑って体を離し、代わりにしっかりと手を握りしめる。
もう情けない顔をしていないから、彼女の目を見て笑える気がした。
だから、なのかもしれない。
「綺麗だね、月。愛猫さんと見てるからかな?」
彼女が傍にいると思うと、さっきよりも月が優しく光ってるように見える。
その気持ちを素直に伝えたかっただけなのだけど、何故か萌々子は顔を赤らめた気がした。
「つ、月は……ずっと綺麗でした、よ……?」
「そーだよねぇ。さっきまで怖がってたなんて、もったいないな~」
温泉街に続く道は、まだまだ長そうだから暫く見ていられそうだけれど。
一緒に見られて良かったなと、今なら心から思える。
ほわほわとした笑顔で月を見上げる幸次に、萌々子はさっきとは別の意味で顔を赤らめた。
(……本当に、月のことだったのでしょうか)
勘違いしてしまったなら恥ずかしいけれど、幸次もすっかりいつもの調子を取り戻したようだから、萌々子はそれに免じて笑って流すことにした。
「月はずっと……来年も再来年も、ずーっと綺麗ですから一緒に見ましょうね!」
彼が知っていても知らなくても、どちらに受け取られてもいい言葉。
気づいたときにはどんな顔をするだろう?
萌々子はちょっぴり、その時が楽しみだった。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
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NPC交流
定員
30人
参加キャラクター数
22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年08月20日
参加申し込みの期限
2022年08月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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