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予想できない雨と処暑にぶり返す暑さは恋と似ている
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いつもなら出会えた幸運を喜ぶのに。
心がまとまらない
城山 水樹
は、雨で濡れた肌を拭いていた手を止める。
「ヒュー……」
やっと雨宿り先が見つかったことに息を吐いていた
ヒュー・ヒューバート
は、その気配に気づくのがやや遅れ――その動揺しきった彼女の顔に、少しだけ躊躇った。
それが水樹には、物憂げに見えたのかもしれないし、何かを切り出されると恐れたのかも知れない。
「……水樹」
いつも通り優しく囁いたはずの声音は届かない。
激しい雨のように後悔が降り注ぐ水樹には、少しも明かりの差さない曇天に覆われた心には、何も。
(何を言うの……でも言わなきゃ、今更でも)
たとえ口にして己の心が壊れるのと引き換えでも、彼に告げなければいけないことがある。
「わ、私……」
稲光が空を走る。ひと繋がりの空を別つようなそれは、二人の関係を示しているのだろうか。
遅れて響く轟きは、彼が全てを知った時に感じる怒りだろうか。
――それとも、興味を無くして怒りすら向けられないのだろうか。
「…………っ!」
「っ! 待って、水樹!!」
駆け出した水樹を、ヒューは必死に追いかけた。
こんな悪天候の中を走り出して、どこへ行こうというのか。彼女の姿を見失うまいと目を凝らすのがやっとで、水たまりに盛大に足を突っ込み泥水が跳ねようが、車にクラクションを鳴らされようが今は構わなかった。
彼女も、ただ逃げ出すことに必死だったのだろう。細い路地の行き止まりを見つめ、呆然と立っていた。
雨はまだ止まないどころか、酷くなるばかり。距離をつめる足音も聞こえないのか、水樹は振り返ろうともしない。
(ここは……)
飲み屋街、いや――さっきまでいた場所から考えるに、シーサイドタウンの二丁目方面。いわゆる大人の遊び場なので、雨宿りする場所など困らないくらいある。
けれど、今の水樹と共に入る場所かと言われれば違うのだろう。
「水樹」
雨音に負けないように声を出し、手を差し出す。
逃げ出したいなんて思えないくらい優しく微笑んで、彼女の答えを待とうと決めた。
「雨がやむまででいいから、身体を冷やさない所に行こう?」
ゆっくり振り返る彼女は、もしかしたら泣いていたのかもしれない。
今はただ、差し出された手を握り替えされたことで安堵するしかなかった。
ただの、じゃれあいだったと思えれば。温かいシャワーに打たれながら、水樹はぼんやりと伝えるべく言葉を考える。
ヒューに、許してなんて都合のいいことを言えないのもわかってる。それに許されたからってこの悪夢から解放されるだなんて思わない。それでも。
一人黙ってると苦しいんだって、気づいてしまった。あの大切な人を、あの優しい笑顔を裏切っているのではないかと思うと、開放的に遊んだだけと思っていた夜が重くのしかかってきて。
話すのも怖いって、ずっと逃げ続けていた自分が拗れさせたのに、都合が良すぎるだろうか。
もし隠さなくていいなら、あなたが受け入れてくれたならと考えては涙が止まらない。
また願っていい? そう無邪気に問えればどれだけ楽だろう。
バスローブを纏って出てみると、ヒューはテレビで天気予報を眺めていた。
いつもだったら、こうして出てくれば優しく抱き寄せてくれる。広いシャワールームだったなら、一緒に浴びることさえある。
……なのに彼は、一瞥をくれるだけで優しい甘さはくれなかった。
テレビからは、どこかの河川が氾濫しそうだの、海沿いの様子などを映して不安を煽る。
「水樹の嫌がることはしないよ」
ヒューは気持ち程度のサービスで置かれたコーヒー類を眺め、これでいいかと水樹に問う。思わず反射的に頷いた水樹は、テーブルに置かれたケトルを手に立ち上がった彼に間合いを詰められて緊張してしまう。
「触れることも、何かを聞くことも。嫌がることはしないし、待ってというなら待つから」
簡単に引き寄せられない距離を空けて、ヒューはゆっくりと声を絞り出す。
「……お願いだから、この雨の間は一緒にいてくれないかな?」
コーヒーができあがる頃まで水樹は言いよどんでいて。
「温かくしてまっててね」
そう言って、ヒューはバスルームに向かった。
水樹を狭いここに閉じ込めるつもりなど毛頭無い。シャワーに打たれ、己の両手を見つめるヒューは、ここまで拗れてしまった要因はなんだったろうかと冷静に思い出す。
許せない所は、今はあるとも無いとも言い切れない。何かを変えてしまったのなら、七夕まつりで見かけた二人組が関係するのだろうかと、彼女の凍り付いた顔に漠然と感じるだけだ。
一人で迷いどこかへ行ってしまわないでくれたなら、寄り添うことも助けることも出来るのに。
頼りない僕にも全てを話してくれたなら、出来ることはあるのだろうにと思うのは、傲りだろうか?
どうか、置いていかないで。そう素直に縋れたらどんなに楽だろう。結局、水樹の負担になるかもしれないからと、水樹を傷つけるだろうからと及び腰になっていたのではないか。……大切にしていると思い込んで、深く聞かず放っておいたために溝が広がったのではないか。
もう手が届かないなんて言わないでほしい。遅くなってしまったけれど、受け止める心づもりはしてあるんだ。
バスローブに身を包み部屋に戻ると、水樹がマグカップを両手で持って座っている姿が見えて安堵する。
その顔つきは、落ち着いたとも言いがたいけれど……何かしら話をしてくれる気があると思っていいのだろうか。
わざと音を立てるように、小さな冷蔵庫を開ける。物色する理由もないので、目に付いたミネラルウォーターを手にして、水樹が警戒しないように離れて座ろうと――思ったけれど、大した選択肢もなくてベッドに腰掛ける。
会話の切り口になりそうな天気は、切り出さなくとも窓を叩き付ける雨音が物語っている。
ギラついた内装ではなくビジネスホテル寄りなデザインを選んだとはいえ、そういった用途にあつらえられた部屋でシャワーを浴びた二人など、本当は言葉も要らないんだろうけれど。でも。
「っ、ヒュー……あのね」
沈黙に耐えかねたのか、口を開いたのは水樹が先だった。
聞いて欲しいことがあると、とても大事な話があるんだと。……それが、欠片も良い話ではないことは、彼女の涙を堪えるような真剣な面持ちから痛いほど伝わってきた。
「うん。ゆっくりで構わないよ」
彼女が遡ったのは、5月――タイへ一人旅に出たときのこと。
そんなにも悩ませていたのかと思ったとき、耳を疑う言葉が出てきた。
「ごめんなさい……私、ヒューのこと裏切った……」
タイで出逢った美女と、一夜の過ちがあったこと。それが恋人を裏切ったという自責から心に重く残っていること。ぽつりぽつりと話す水樹は、嗚咽を堪えようと肩を震わせても、話すのを止めなかった。
七夕の時に、二度と会うまいと思った相手と遭遇して混乱したことも、三度会えばこの悪夢が現実まで侵食してきそうな恐ろしさに怯えていることも、全部。
「もうどうしたらいいのかわからなくて……」
ヒューは泣きじゃくる彼女をそっと抱きしめるしかできなかった。
彼女が心から悔やみ自分を責め苦しんでいるのはわかる。だけど簡単に同調できる話でもいつものように甘やかせる余裕もなかった。
ただ互いが眠りに落ちるまで、ずっと泣きじゃくる彼女を抱きしめていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年07月25日
参加申し込みの期限
2022年08月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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