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LUCK COMING ~いつもそばに猫がいた~
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蒼白い人魂が傍らを過ぎれば痩せた肩を強張らせ、赤い目玉の半透明なナニカをうっかり青い眼に映してしまえば皺深い瞼をぎゅうっと閉ざし、足元を人型じみた小さなナニカが駆け抜ければ額に深い皺を刻ん押し殺した悲鳴を零す。
己の幼い頃から家に仕え、英国から寝子島にまでついて来てくれたメイドが目にするもの耳にするものなにもかもに怯える様子を見かね、
「メアリ」
ウォルター・B
は手を差し伸べる。家事も身の回りの世話も完璧にこなし、礼儀作法にも隙が無い老メイド――
メアリ・エヴァンズ
は、けれどおばけや幽霊の類が苦手だ。
「手を繋ごう」
「い、いいえ、ウォルターさま」
周囲を群れ飛ぶ人魂よりも蒼白い顔色をしているその癖、最早職業病なのか老メイドは頑固だ。
「主のお手を煩わせるわけには」
「メアリが教えてくれたんだよ、怖いときはわたくしと手を繋ぐとよろしいですよって」
「そうでしたでしょうか」
「僕がすごく小さい頃の話だけどねぇ」
ほら、と手を伸ばす。
「メアリ、不思議な物語は好きなのにねぇ」
「……幽霊は別にございます」
怖い夢に怯えて眠れなかった幼い日の夜に児童文学を読み聞かせてくれたときよりも眠るまで手を繋いでいてくれたときよりも、ずっとずっと皺深く小さくなったメイドの手を取ろうとしたとき、
「ウォルターさま」
猫とあやかしがそぞろ歩く奇妙なお祭りに怖じていつもより丸くなっていた背筋が急にぴんと伸びた。眉間にぎゅうっと寄っていた皺が強固な矜持によってなくなる。いつも通りの冷静な表情になる。
「稲積さまがおられます」
筋金入りメイドの優美な仕草で示すのは、祭りに紛れ込んだ人間を珍しがるあやかしたちに取り囲まれて立ち尽くす蒼い黒髪の少女。
「お行きくださいませ」
言うなり、老メイドは足元を通りがかった茶虎猫を抱き上げた。驚く猫を瞬く間に宥め、小さく微笑む。
「わたくしにはこちらの騎士が居りますので」
「分かった、けど……ここに居て、動かないで」
「かしこまりました」
メイドの笑みが揺るぎないことを確かめ、ウォルターは正面を向く。あやかしに囲まれた教え子の背中を見据え、大股に、迷いのない足取りで近づく。
『ねえねえ、きみ、どこの子?』
『人間? 人間だよねえ?』
『あっち行かない? おかし食べる?』
わやわやと喋りかけるあやかしたちに悪気はなさそうではあるものの、いかんせん、
「はーい、ごめんねぇ」
教え子の手や肩を毛むくじゃらやらつるつる触手やらで掴んでいるのは頂けない。
「僕の連れなんだよねぇ」
「っ、ワットっ……」
縋るようなまなざしを向けてくる教え子――
稲積 柚春
の肩をあやかしの手から取り返す。なんだよう、としつこく絡みついてこようとする触手を振りほどくため、
「稲積、ちょっとごめんねぇ」
「ひゃあっ……?!」
肩を抱き寄せ、膝裏に腕を回して抱き上げる。
「ウォルター、先生っ」
「落ちるといけないからねぇ、ほら、腕はこっち」
あやかしに囲まれ蒼褪めていた頬が見る間に赤くなるのを見ない振りして、己の首に両腕を回させる。
『えー、いっちゃうの』
『みんなで遊べばいいのにー』
『ねー』
ねー、と顔を見合わせてしょんぼりするあやかしたちにまたねと笑い、ウォルターはメイドのもとへと向かう。
「あ、あああの……っ」
「怖くなかった?」
ふわふわと飛んで行く三つ目の小鬼やもふもふした緑色のナニカを横目に、狼狽えるばかりの教え子に問えば、首に抱き着く細い腕にぎゅっと力が籠った。
「……でも、ワットが来てくれたから」
「ウォルター先生」
「う、……ウォルター先生……」
呼び名を訂正してくすりと笑うと、柚春はちょっと複雑そうな顔をした。腹のあたりにこつんと当たる感覚を感じて目をやれば、帯留めに結わえ付けられる格好で柚春について来ていたカプセルギアが揺れている。
光の加減か、剣呑に睨まれている気がして、ウォルターはちらりとまた笑った。
「はい、よくできました」
よいしょと柚春の足をそっと地面に下ろしたのは、捩り鉢巻きに法被姿の黒猫が営む鮎の塩焼き屋。
「ご褒美に先生が奢ってあげようかなぁ」
「えっ、でも」
「三尾もらえるかなぁ」
串に刺されて炭火で焼かれた鮎を買い求め、一本を柚春に手渡す。二本食べるのかしら、鮎が好きなのかしらと柚春は瞬いて、
「今晩は、稲積さま」
猫を抱いて近づいてきた老メイドの姿にふうわりと藍色の瞳を和ませた。
「メアリさん、今晩は」
「こちらへどうぞ」
メアリが招くのは、猫のかたちにも見える大岩。ふわふわの苔に覆われた岩の上には先客の猫たちがいるものの、
「稲積、ほら」
ウォルターに手を取って座らせてもらい、柚春はまた頬を赤くした。これはこども扱いなのかそうではないのかと迷ううち、岩の上でうたた寝していた猫がにゃあと鳴いて膝にすり寄って来る。てしてしと小さな手で膝を叩かれ、手にした鮎を狙われていることに気づいて柚春は慌てた。
「わ、これはだめ」
せっかく買ってくれたんだから、と猫の魔の手から鮎を守ろうとしてお尻が滑った。岩から滑り落ちそうになって、
「気を付けてねぇ」
ウォルターに腰を支えるかたちで助けられ、柚春は小さく頷く。
「君には塩があんまり良くないんじゃないかなぁ」
柚春にちょっかいをかける猫におっとりと声を掛けながらも猫の手は止めないまま、ウォルターはくすくすと笑う。
(……レモンの、香)
教え子と猫が戯れる様子を微笑ましく眺めていて、ふわり、柚春の細い腕を飾るアロマブレスレットから漂う香に気が付いた。檸檬の爽やかな香の底に、甘く大人びたローズの香。
体温の上昇に応じて零れるアロマの仕掛けは、否が応でも彼女の感情を己に知らせる。近くに寄れば寄るほどに感じてしまう教え子からの恋情を、けれど今は気付かぬ振りして、
「これはメアリの分ねぇ」
少し離れた場所からこちらを見つめるばかりの老メイドに鮎の一串を差し出す。ありがとうございますと微笑みながらも、メイドはどこからか出した紙で丁寧に鮎を包んでメイド服のエプロンに仕舞った。
腕の中でにゃあにゃあと鳴く猫に匂いだけですよと皺深い指を舐めさせながら、メアリは長く仕え続けている主を見つめる。最近主と共にいることの多い少女を見つめる。
(ウォルターさま)
祖国で起きた不幸な出来事の後、正義感に満ちた少年だった彼は憑かれたように知識を頭に詰め込み始めた。日夜問わず、たとえ疲れ果てて熱を出していても机に向かい続けた。何かから逃れるように、勉学以外のことは考えたくないかのように。
深夜に呻くように泣いていたのを知っている。
何ものにも剥がせぬような笑顔の裏を、おそらくは知っている。
逃れるようにこの島へとやって来て、そうして教師の職を得て、
(……ようございました)
ほんの少し表情が和らいだように見える――否、もとより笑顔は柔らかかった。変わったのが何処かと問われても確りとは答えられないけれど、それでも、
(この島に来られて、本当に良うございました)
先生、と柚春がウォルターに話しかけている。
「お酒が合いそうな味ですね、ウォルター先生」
「そうだねぇ、欲しくなる味だねぇ」
くすくすと笑うウォルターの横顔を眺めながら、柚春はあの春の日を思い出す。あの日、先生と未来の小さな約束をした。
「お酌の約束、覚えてますか」
恐る恐る問うてみても、先生はちらりと横顔で笑うばかり。
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グループ参加
5人まで
シナリオジャンル
NPC交流
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
74人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年07月23日
参加申し込みの期限
2022年07月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年07月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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