LUCK COMING ～いつもそばに猫がいた～｜リアクション

LUCK COMING ～いつもそばに猫がいた～

「即興ライブ、盛り上がったねぇ！　みみみん！」
　弾むように歩くのは、狗民きとり。いつもは地味目端っこ女子のきとりだが、今は手作りの垂れ耳わんこ帽子『本体さん』を被る、キュートなアーティストいぬみんだ。
　その歩調にピッタリ合わせて軽やかに歩くのは、可愛いわんこ―――だと思うのだが、きとりによると違うらしい。彼女は狗星みみみ。いぬみん星の住民という事だが……うん、きっと犬っぽいナニカであろう。まあとにかく。ふわっふわの魅惑ボディに、いぬみんとお揃いのエメラルドのようなキラッキラの瞳。とーっても可愛らしい事に間違いはない。

　彼らはつい先ほどまで、シーサイドの広場で即興のライブを行っていた。
　きとりがアレンジした歌をいぬみんとして歌い、みみみがリズムに合わせて飛んだり跳ねたり。元気で楽しい彼らのライブは、たくさんの人を魅了したのだ。
　その熱気も冷めやらぬ中、彼女達は心地よい高揚を楽しみながら歩いていた。
「この島は本当に楽しいねぇ！　みみみん」
　にっこりときとりが話しかければ、みみみはきとりとお揃いのエメラルドの瞳を、「そうだね」と言わんばかりに煌かせる。いぬみん星のお姫様とお嬢様は、言葉を使わなくても十分に心通わせているのだ。
「ね！　最高だよね！」
　話が盛り上がったのか、元気にうんうんと頷きあった彼女達。すると、視界の端に色とりどりな物がゆっくり動いているのに気が付いた。

「うわー………大きいねぇ！」
　きとりは立ち止まり、日差しに手をかざしながら瞳を輝かせた。
それは、海辺に立つ観覧車。カラフルなゴンドラが、お客さんを乗せながらゆっくりと回っている。
きとりはしばらく観覧車を眺めていたが、ふと茶目っ気ある瞳をみみみに向けた。
「みみみん、あれ一緒に乗ろうよ！」
　え？　と小首を傾げるみみみ。きとりはにっこりと笑った。
「あそこからだと、寝子島がきっと良く見えるよ！」
　きとりは考えたのだ。海も、山も、街も。スペシャルで大好きなこの寝子島を、観覧車からたくさんみみみに教えてあげたいと。
　もちろんその熱意はみみみに伝わった。ぴょんと跳ねると、みみみはきとりの腕の中にダイブ！　きとりはぎゅっとみみみを抱きしめた。
「よーし、レッツゴー！　お気に入りの場所とか教えちゃうね♪」

　とっても仲良しな彼女達。楽しく素敵な休日はまだまだ続く。